「海外でモノを売りたい、新しく海外市場へ進出したい」と考えたとき、まず企業が最初に検討するのは販路だろう。しかしアフリカ市場においては販路開拓のノウハウはおろか、現地のリアルな市場動向ですら入手困難であることがほとんどだ。これはつまり、実際にアフリカビジネスで成功した日系企業はそう多くない事実を物語っている。
また新興国、特にアフリカのビジネスにおいて盲点になりがちなのが、物流事情だ。先進国やアジア諸国と比べれば、日本からアフリカへの輸出量はまだまだ少ない。また距離も離れていることから、輸送にかかるコストや時間がかさんでしまう。さらにアフリカ到着後も、現地のインフラは我々が想像する以上に整備が進んでいない。先進国とは異なり、安心で確実な物流を確保するのは至難の業という現実を忘れてはならない。
弊社はこの2点においてアフリカ進出を考える企業をサポートできるという大きな強みを持っている。アフリカ屈指のアクセス数を誇る越境ECサイトBE FORWARD.JPという販路、そして10年をかけて築き上げてきたアフリカ直行航路とアフリカ内陸部まで商品を運ぶ物流網だ。今回はこれら「販路」と「物流」について説明したい。
1.アフリカで一番知られた日本企業~現地で支持されるECサイトで販路開拓をサポート
1-1.世界有数の新興国向けECサイト
世界で名の知れたECサイトと言えばAmazonやe-bayなどが筆頭に挙がる。しかし、実はこれらのどの企業よりも新興国を中心とした多くの国と取引しているのが、弊社の越境ECサイト”BE FORWARD.JP”である。
Amazonのビジネス戦略はあくまで先進国が中心であり、取引国数も18カ国(2018年4月時点)と絞られている。これに対し、弊社の戦略は新興国が中心だ。現在152カ国との取引実績を誇り、その売上の約6割を占めるのがアフリカ市場である。つまりBE FORWARD.JPはAmazonやe-bayが進出できていない新興国市場において、確固たる地位を確立しているという訳だ。このプラットフォームを活用することで、これからアフリカ進出を考えている日本企業の販路開拓を強力にサポートすることができる。
1-2.新興国ビジネスの常識を打ち破る、“料金先払い制“
もう一つの特筆すべき点は、資金回収面である。クレジットカードの普及していない新興国において、料金先払い制はリスク回避のためには必須である。アフリカで信用できるブランドとして浸透している弊社だからこそ、ECサイトで料金先払い制を真っ先に導入することができ、新興国において他社が追随できない大きな強みとなっている。新興国ビジネスにおいて、資金回収の問題は必ずネックとなるが、弊社のプラットフォームを活用することでそのリスクが簡単に解消できるのだ。

2.ビィ・フォアードが築き上げたアフリカ航路と、アフリカ内陸部への物流網で、安く・速く・確実に届ける
2-1.独自の船便を持つ強みと、そこに至るまでの道のり
ビィ・フォアードが開拓した航路であるアフリカ直行便ルートと、アフリカ内陸国への物流サービス「シティ・デリバリーサービス」については初回記事「商品をお客様の手元に届ける ビィ・フォアードがアフリカ進出を成功させた3つの要因」でも触れたが、ここではもう少しその背景と詳細を見て行きたい。
アフリカへ物を運ぶ際、特に船便において最初のハードルとなるのが、便数の少なさや経由便による膨大なコストと、輸送にかかる時間だ。現在弊社はRORO船(ロールオン・ロールオフ船)という巨大な自動車専用船と、コンテナ船を使って中古車を輸出している。今でこそアフリカ直行便や大型船を確保できる交渉力を実現した弊社だが、ここまでの体制を築き上げるのは決して容易な道のりではなかった。

創業当時、初めてアフリカのジンバブエに売れた車は、想定以上に船便を探すことが難航し、受注してから実際に船に乗せるまで、実に2カ月を要した。その後も注文は増加する一方で海外へ運ぶ船がなく、特に船数の少ないアフリカ便では半年待ちになることもあった。物流において船会社への交渉力を高めるためには、とにかくその取引量を増やすことが必須だ。このため当時は赤字覚悟で輸出台数を増やし、一定量の供給数を確保し船便を増やしていった。その後2008年に起きたリーマンショックでは、破格となった中古車を一気に仕入れ、当時の混乱で空きができた船枠に中古車を大量に積んだ。こうして急成長したビジネスで船会社との交渉力を確実に高めて行き、ついには業界で初めてRORO船で中古車をアフリカに直接運ぶルートを確立したのである。
日本企業がこれからアフリカでビジネス進出を考える場合、ゼロからこの海上ルートを開拓していくよりも、弊社の航路を共に活用する方が、お互いにとってWin-Winな関係を築くことができる。また商品のコストと到着までの時間も最小限に抑えることができる。
2-2.現地物流に立ちはだかる壁~アフリカに色濃く残る治安の悪さと政治事情
日本から船が到着し、無事アフリカ大陸に荷物が届いたとしても、そこから先の現地物流も一筋縄では行かないのが現実だ。内陸国に住むお客様に車を確実に届ける輸送手段が確立されていないのである。港に積み下ろされた後の保税地域での盗難や、道路の未整備による運搬時の破損なども多く、警官や政府関係者による“通行料”という名のいわゆる賄賂が要求されることも日常茶飯事である。
また、アフリカにはまだまだ民族同士や国同士の対立が色濃く残る。例えばタンザニアとザンビアは、民族や宗教、文化的背景などの違いから互いへの対立意識が強く、内陸国のザンビア人たちは、自分たちが購入した車を港で降ろしたタンザニア人に運ばせたくない、などといったことが起こる。
こういった背景から、港からお客様の住む地域まで、現地の公式パートナーが一気通貫して届ける「シティ・デリバリーサービス」という体制が生まれた。このようにして弊社は安心で確実な現地の物流を実現してきたのだ。
3.販売ネットワークと物流網を活用~新しい商機を見出す
3-1.運んでいるのは”空気”~輸送時の車内の空きスペースを他商品の運搬に活用
こうした「販路」や「物流力」は、現時点ではどのような日本企業も、なかなか短期間のうちに実現できるようなものではない。そのアドバンテージを生かして、弊社は日本の様々な良い商品を、新興国の人たちの手元に届けたいと思っている。現在弊社では中古車を輸出するコンテナ船に、自動車以外の商材も積み込んで送っている。前述のRORO船は自動車専用船であるため、車内を空にして積み込まなくてはならないのだが、コンテナ船の場合は車内に何を入れてもOKなのだ。
コンテナ船で自動車だけを運ぶのは、隙間だらけの空気を運んでいるとみることもできる。このスペースを活用すれば、輸送コストをかけずに他の商材を運ぶことができる点に着目したのだ。

3-2.挑戦と失敗で得た知見~アフリカで売れるもの、売れないもの
このように弊社は中古車にとどまらず新しい商機について模索し、試行錯誤で挑戦してきた。
日本の工業品は品質、性能、デザイン、どれをとっても、最高水準にあり、それは中古自動車だけに限らない。取引先各国からは、「もっと他の日本製品についても、販売してほしい」という声が多く寄せられている。
しかし実際に売ってみると、アフリカの市場では受け入れられにくかったものも多い。バイクや中古パソコンがその代表だ。バイクに関しては、アフリカでは日本のバイクメーカーの知名度が意外にも低く、代わりに中国やインドのメーカーが市場を席捲していた。日本製のパソコンについても同様で、東芝やソニーがなんとか売れる程度で、やはり日本製ではないヒューレット・パッカードやDELL、そして中国メーカーが人気を集める結果となった。日本製のスマートフォンについても同様である。

一方で好評なのが、機械類や建機だ。クレーン車やシャベル車など日本製の建機は壊れにくく海外で高い評価を得ている。またコピー機などの印刷機器は、日本では中古市場の値付けが異常に安いため、販売先のマーケットさえしっかり把握すれば、売れる商材になることが予想される。
例えばもし、どこかの新興国で農業を営んでいる人が、「こんな農耕器具があたら便利なのに」と思ったとき、それをどうやったら手に入れられるか分からなかったとしても、BE FORWARD.JPにアクセスすれば簡単に手に入れることができる。結果、その地域の農業がレベルアップして、生活水準の向上につながるのではないか。弊社は援助ではなく、そんなビジネスのあり方を通した新興国との関係づくりを目指している。
これまで築き上げた販路と物流網、そしてアフリカビジネスのノウハウを活かして、ビィ・フォアードは今後、日本企業のアフリカ進出をトータルプロデュースするコンサルティング機能をより強化していく予定だ。