【2025年版】アフリカビジネス注目国「タンザニア」|経済・人口・日系企業の進出状況を徹底解説

なぜ、タンザニアへ注目するべき?

多くの人が「タンザニア」という国名からイメージするのは、アフリカ最高峰キリマンジャロ、ライオンやキリンといった野生生物が暮らすサバンナ、特産品のコーヒーや、オリンピックで活躍する陸上アスリートかもしれません。

しかし、タンザニアは「21世紀のフロンティア」と呼ばれるアフリカの中でも大きなポテンシャルを持つアフリカビジネスの注目国であり、日本企業の進出事例も増えつつあります。

今回記事では、タンザニアの経済や社会の最新事情と、最新の日系企業のビジネス進出事例についてお伝えします。

タンザニアの基礎データ:人口、民族、地理など

人口急増中のたいへん若い国

タンザニアの人口は約6523万人(2024年、IMF調べ)で、アフリカではナイジェリア、エチオピア、エジプト、コンゴ民主共和国に次ぎ5位に入る規模です。

多くのサブサハラ・アフリカ諸国と同様にタンザニアは非常に若い国です。全人口における15歳未満の国民の比率は約45%で、25歳未満までの合計は約64%にもなります。

それだけではありません。タンザニアの合計特殊出生率(当該国の女性1人が一生の間に出産する子供の平均人数)は4.66人(2022年)とアフリカの中でも上位に位置しています。(2023年世界銀行調べ)ちなみに、同じように現在人口が急増しているケニアの合計特殊出生率は3.21人、エジプトは2.75人なので、いかにタンザニアの数値が高いかがわかるのではないでしょうか。

結果、平均年齢の若さ+出生率の高さのダブル効果で、タンザニアの人口はさらに増加し、2050年の人口は現在の2倍以上の1億4000万人と予測されています。(参照元 JICA)このように、現在のタンザニアは生産年齢人口が大きく増加する人口ボーナス期に入っているため、長期的な経済成長の継続が期待できるのです。

キリスト教とイスラム教が共存

次に、タンザニアの民族構成と宗教事情について見ていきましょう。

タンザニアは、約130の民族が住む多民族国家です。バンツー系アフリカ人が多数を占めていますが、歴史的にインド洋を挟んで向き合うアラビア半島やインドとの交流により、ザンジバル島を中心にアラブ系、沿岸部にはインド系住民も住んでいます。特定の多数派民族はいませんが、最大の民族は主に国の北西部に住み、人口の約16%を占めるスクマ族とされています。

このため、タンザニアの国語は東アフリカ諸国の共通語のスワヒリ語であり、旧植民地時代からの経緯で英語も公用語となっています。

宗教については、インド洋沿岸地域とザンジバル島で主流のイスラム教と内陸部に多いキリスト教が概ね人口の40%ずつで、それ以外の人は伝統宗教を信じています。ただし、宗教間の争いなどは稀で国内の治安が安定している理由でもあります。

主要な都市と地域

最大都市はかつての首都であるダルエスサラームで、人口500万人を超える経済の中心地です。現在も官公庁や中央銀行など主要な機関のほとんど、さらに国際空港や国内・国際鉄道のターミナル駅や、インド洋に面したタンザニアの主要貿易港もあり、事実上の首都として機能しています。

第二の都市は、北西部のビクトリア湖沿岸に位置するムアンザで、人口は90万人ほどです。この都市はビクトリア湖を経由したウガンダ、ケニアなど隣国との貿易拠点として発展してきました。

現在、タンザニアの法律上の首都として国会機能が置かれているドドマは国の中央部に位置しており、人口は41万人程度の中規模都市です。周辺では乾燥した気候を生かし、ワイン生産が盛んに行われています。

インド洋に浮かぶザンジバル諸島は、過去にアラビア半島のオマーン王国が東部アフリカのインド洋沿岸を支配した際に首都を置いた経緯から、独立当初はタンザニアとは別国家でした。そのため、連合国家となった現在も自治政府が置かれています。人口は180万人(2023年)で、クローブ、シナモンなどの香料の名産地、またビーチリゾートとしても有名です。

地理と気候

タンザニアの国土面積は94万5,087km²世界31位(日本の約2.5倍)です。国土の大半がサバナ気候に属していますが、中央部が乾燥したステップ気候、南部と北部の高原部は温暖冬季少雨気候、東部のインド洋沿岸は高温多湿の熱帯気候と、地域によって様々な気候に分かれています。

また、ンゴロンゴロ保全地域セレンゲティ国立公園といった野生動物の保護地域も全土に数多く存在し、多くの観光客を魅了しています。

安定した政治体制

初代大統領ニエレレは1960年代後半からアフリカ流の社会主義国建設を目指したものの、経済の低迷を招きました。しかし、1980年代後半から政治・経済の自由化が進み、90年代からは経済成長が軌道に乗り始めます。

現在、タンザニアでは複数政党制が行われていますが、独立以来、歴代政権はタンザニア革命党が担ってきました。しかし、大統領は選挙によって定期的に交代しており、アフリカの他の多くの国とは異なり、独立以来内戦やクーデターを経験していません

また、国内治安は良好で民族や宗教に起因する対立は少なく、国内の殺人発生率(2020年)は10万人あたり4人で、アフリカ平均の13人を大きく下回っています。(世界銀行調べ)

このようにタンザニアは政情が安定している国だと言えるでしょう。しかし、昨今はインフレ等による経済格差の拡大などの要因によって野党勢力の支持が高まっており、その抑え込みのための政権の強権化が懸念されています。

タンザニア経済の最新事情

次にタンザニア経済の最新状況について見ていきましょう。国全体の経済規模を示すGDPは、801.7億USドル(名目・2024年)で世界では83位、アフリカでは11位という位置にあります。

GDPの成長率は、1999年〜2019 年の30年間に平均6.5%を記録しました。コロナ禍の影響で一時的に成長率が落ち込んだものの、2022 年以降は年平均約 5.1%伸びており、IMFでは2025年に6.0%の成長を予測しています。

この背景には、安定した政治体制・財政政策と人口ボーナスにより農業、情報通信などのサービス業、建設業などが好調、金や銅など鉱物資源の輸出拡大、GDPの約18%を占める観光業の発展、さらには東アフリカ共同体(EAC)、南部アフリカ開発共同体(SADC)の両方に加盟して内陸国への物流ゲートウェイとなっている、といった要因が挙げられます。

なお、東アフリカ共同体、南部アフリカ開発共同体といったアフリカ域内の地域連合についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ご興味があればぜひご覧ください。

・モノカルチャー経済脱却と経済統合を目指す!アフリカ域内貿易の活性化への取り組み

また、今後の展望として、インド洋沖合に膨大な量の天然ガス資源が存在しています。しかし、採掘には数百億ドル規模の投資を要するため、現在タンザニア政府はエクソンモービル、シェルなどの欧米石油メジャーと組んで開発を検討している状況です。

タンザニアの社会・経済が抱える課題とは?

一つ目は貧困問題です。タンザニアの国民1人あたりGDPは1200ドル程度で全世界で166位、アフリカ55ヶ国の中でも31位で(IMF調べ)、いまだ国民の90%が1日3USドル未満で生活しており、電化率も42.7%という状況です。政府は貧困削減をスローガンに掲げ、2030年に一人当たりGDP3000ドル達成を目指しています。

二つ目は失業率です。若い労働人口はすでに非常に多く、今後さらに増え続ける見込みですが、その一方で若年層の失業率・ニート率が高いため貧困や犯罪などの社会不安にもつながる問題となっています。これは、急増する若年人口に対し十分な職がないだけでなく、タンザニアの教育環境も、学校や教師の不足、質の低下という問題を抱えているために、両方からのアプローチが必要です。

三つ目は主要産業である農業の生産性です。タンザニアはアフリカ有数の農業国で、人口の約7割が農業に従事し、GDPと輸出の30%を占めていますが、単位面積あたりの生産性が低く、さらに灌漑設備が乏しいため旱魃などの際に収穫高が安定しないという問題があります。

四つ目は基本的なインフラ整備です。例えば道路の舗装率は8.9%と非常に低いため、国全体の物流コスト増の要因となってきました。また、最大都市ダルエスサラームでは、2030年の人口は現在の2倍近い1000万人規模と予想されており、交通渋滞、電力不足、衛生環境などの改善が急務となっています。逆に言えば、こういった課題の中に次のビジネスチャンスが眠っているかもしれません。

日系企業の進出事例

最後にタンザニアにおける日系企業の最新動向を紹介します。

ヤマハ発動機

二輪大手のヤマハ発動機は、2023年7月にクーリメイトタンザニアを設立しEC(電子商取引)で購入された商品を配送する事業に乗り出しました。

タンザニアでもEC取引は急拡大していますが、課題であるラストワンマイル配送インフラ整備にビジネスチャンスを見出し、二輪車によるスピーディな配送、専用アプリによる配送物の常時トラッキングなどのサービスを展開しています。同時に、配送ドライバーの雇用創出による地域経済への貢献と、ヤマハ製二輪車の使用によるブランドイメージ向上を狙っています。

ダイキン工業

空調大手のダイキン工業は、2020年6月にタンザニアの電子サービス企業・WASSHA株式会社と合弁で、Baridi Baridi(バリディバリディ)を設立し、エアコンのサブスクリプションビジネスを立ち上げました。具体的には、ダイキン工業製の省エネ性能が高いインバータエアコンを消費者へ貸し出し、WASSHAが持つモバイルマネーを経由した料金回収技術を活用し、エアコンの使用時間に応じて使用量を課金するというビジネスモデルです。

なお、ダイキン工業のタンザニア進出については、こちらの記事でも詳しく紹介しておりますのでぜひご覧ください。

・21世紀最大のビジネスフロンティア、アフリカへ進出する日本企業を紹介!
・アフリカのサブスクリプションサービス事情 エアコンの普及と環境負荷の低減を実現:Baridi Baridi

パナソニック

家電大手のパナソニックのタンザニア進出の歴史は古く、1968年に乾電池、70年代後半からはラジオの製造を開始しました。現在は、いまだ電化率が低い農村地域へ向けたソーラーランタンソーラーストレージ(太陽光発電+蓄電システム)、また、電化が進む都市部へ向け電設資材を展開しています。 

LINDA PESA

2022年にフィンテック(金融+IT)スタートアップとして設立されたLINDA PESAは、タンザニアを舞台にスモールビジネス向け経営管理アプリの提供により、現地の中小企業に対する与信機能の提供、マイクロファイナンスによる直接融資といったビジネスを行っています。

アフリカには4400万を超える中小企業が存在しますが、現状ではその多くに信用情報の蓄積がなく、70%以上の中小企業が融資や資金調達といった金融サービスを利用できていません。

同社が提供する経営管理アプリはそういった中小企業の経営状況を情報として「見える化」するものです。タンザニアの中小企業にこれまで利用できなかったファイナンスの機会がもたらされれば、新たな設備投資など成長の可能性が高まることでしょう。

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参考
世界経済のネタ帳
IMF – World Economic Outlook Databases
世界銀行
JICA
ヤマハ発動機
ダイキン工業
パナソニック
LINDA PESA

アフリカビジネス事務局
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BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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