株式会社ビィ・フォアードが運営するアフリカマーケットリサーチでは、ケニアとタンザニアのリサーチ会員に「住まい探し」に関するオンラインアンケートを実施しました。
調査概要
調査方法:オンラインアンケートをメールで送信
調査期間:2022年2月11日~2月25日
調査対象者:ビィ・フォアードリサーチ会員 665名 (ケニア:303名、タンザニア:362名)
現在の住まいの形態・タイプは?持ち家?賃貸?戸建て?集合住宅?
ケニアのリサーチ会員に住宅の形態を聞いた結果、戸建てと集合住宅(マンション)では、「戸建て」が62.7%と、「集合住宅」の34.0%を上回る結果となりました。日本では全国の世帯の53.6%が戸建てに暮らし、43.5%が共同住宅に暮らしています(*1)。それと比較すると、今回のケニアのリサーチ結果では、戸建ての割合が高くなっています。なかでも、「戸建ての賃貸」が32.7%と最も多い結果となりました。
日本では経済成長と共に、昭和63年から平成30年までの30年間で、共同住宅は2倍以上に増加しており、特に東京都では71%の世帯が共同住宅に暮らしています。ケニアでも今後、経済成長とともに、首都ナイロビを中心に共同住宅の建設が進んでいくかもしれません。 次に、賃貸・購入の割合を見ると、「賃貸」が63.7%と、「購入」の33.0%を上回りました。「賃貸」と聞くと、マンションなど集合住宅が多いイメージを持ちますが、賃貸と回答した人のうち、「戸建て」が51%に及んでいるのは興味深い結果です。年代別で見ると、「賃貸」は20代が73.7%、30代が67.2%、40代が65.6%、50代50%、60代11%と、若年層ほど「賃貸」が多いことが示されています。
タンザニアでは、「戸建て」に暮らす人が74.8%と、ケニアよりもさらに10%以上多く、なかでも「戸建ての購入」が46.1%と最も多く、ケニアよりも「購入」の割合が高い結果となりました。
賃貸と購入の割合を見ると、「購入」が50%、「賃貸」が50%でした。「購入」と回答した人の中で「集合住宅」を購入する人は7.8%と少数派で、多くが「戸建て」を購入していました。
年代別で見ると、ケニアと同様、若い世代ほど賃貸の割合が多いことが示されています。
購入時の住まいの状況は?土地?新築建売?中古?
ケニアで物件購入したと回答した人のうち、「土地」から購入した人が54%と最も多く、次に「新築建売」が30%、「建築中」の物件を購入した人が13%、「中古物件」を購入した人が3%という結果となりました。「建築中」の物件を購入するのは、日本では珍しいように感じますが、アフリカではまだ中間富裕層でも住宅ローンを組むハードルが高く、収入が入ったときにすこしずつ資材を購入し、家を建築していくケースが多くみられます。街中を歩いていると、何年も建築途中の状態の家をよく見かけるのもこのためです。そのため、建築している途中で売りに出したり、購入したりするケースも一般的なようです。
物件購入時の支払い方法は、「現金」が79%、「ロ―ン」が19%という結果になり、住宅ローンのハードルの高さが伺えます。住宅ローンのハードルの高さは、その金利の高さと、返済期間の短さが大きな要因です。ケニアでは、住宅ローンの金利は平均11%、返済期間は平均11年と言われています。返済期間が35年で金利が今や1%以下の日本と比較すると、それはもうローンの返済が大変に感じますし、現金で購入する人が多いのも頷けます。
タンザニアもケニア同様に、「土地」から購入する人が50%と最も多く、次いで「新築建売」(27%)、「建築中」物件(18%)、「中古」物件(5%)という結果になりました。「建築中」物件の購入がケニアよりもさらに高い割合となりました。
購入物件の支払い方法は、「現金」が89%、「ローン」が8%と、ケニアよりもさらに住宅ローンのハードルが高い傾向があることが伺えます。タンザニアで最もよく知られている銀行のひとつの住宅ローン情報を見てみると、金利は17%、返済期間は最大で15年と記載されていました。金利17%でも「他社に負けない低金利」と謳っているほどなので、多くの人にとって住宅ローンはハードルが高いでしょう。
購入時の価格は?
ケニアで住まいの購入価格は、$9,999以下(約120万円以下)が35%で、日本と比較するとかなり低コストで住まいが購入可能なことが伺えます。$10,000~$50,000(約120万円~620万円)は中間層のボリュームゾーンで、全体の57%がこの価格帯で購入しています。
タンザニアでの住まいの購入価格は$12,000以下(約140万円以下)で購入した人が55%におよび、日本と比較すると低価格で住まいの購入が可能なことが伺えます。
賃貸の価格は?
ケニアの賃貸物件の家賃は、月$100以下(約12,000円以下)が39%、$100~$199(約12,000円~24,000円)が39%、$200~$249(約24,000円~30,000円)が15%と、$249以下で全体の93%を占めました。
タンザニアの賃貸物件の家賃は、月$50以下(約6,000円)が29%、$50~$99(約6000円~12,000円)が29%、$100~$199(約12,000円~24,000円)が34%と、$199以下で全体の92%を占めました。
物件探しで重視した点は?
ケニアで住まいを購入した人たちに、購入する際に重視した点を最大3つまで選んでもらいました。建物・敷地面積(58%)が一番多く、次いで価格(53%)、利便性(46%)、周辺環境(46%)という結果でした
タンザニアで住まいを購入した人の結果は、建物・敷地面積(65%)が一番多く、次いで周辺環境(39%)、価格(38%)、利便性(38%)、居住地・エリア(36%)でした。ケニアもタンザニアも、土地から購入する人が多いため、広さや環境など土地の条件が多く選ばれました。
ケニアの賃貸物件に住んでいる人に聞いた重視した点としては、価格(68%)が最も多く、次いで利便性(56%)、周辺環境(46%)、居住地・エリア(40%)という結果でした。購入した人と比べると、賃貸の人には、住まいの広さよりも価格や立地を重視する人が多いことが示されています。
タンザニアの賃貸物件に住んでいる人に聞いた重視した点としては、価格(56%)が最も多く、次いで周辺環境(50%)、利便性(46%)という結果でした。ケニア同様、賃貸の人は広さよりも価格や立地を重視する傾向が見られました。
物件探しに利用した方法・媒体は?
物件購入された方に、どのように住まい探しをされたか、役立った検索方法について聞きました。
ケニアもタンザニアも最も多かった回答は、家族・友達でした。不動産エージェントを介して物件を探すと、手数料がかかることや、信頼できない悪徳のエージェントも存在することから、家族や知人の紹介で物件探しをされる人が最も多いようです。ただし、最近では、Facebook(8%)やInstagram(4%)などSNSのコミュニティー・グループを使って物件探しをされる方や、掲示板サイトや不動産サイトを活用して信頼できるエージェントを探す人も増えてきています。
賃貸されている方にも、どのように住まい探しをされたか、役立った検索方法について聞きました。
購入した方と同様に、最も多かった回答はケニア・タンザニアともに家族・友達でした。タンザニアでは、Instagram(14%)、Facebook(7%)、掲示板サイト(6%)、不動産サイト(3%)と、SNSやウェブサイトを活用して住まい探しをする人が全体の30%にのぼりました。
ビィ・フォアードが運営する不動産サイト
アフリカの経済成長・人口増加による不動産の需要に加え、インターネット上で物件を探すデジタルユーザーの増加などを鑑みて、ビィ・フォアードでは、信頼できる不動産エージェントと、物件を探しているユーザーをマッチングする不動産サイト「BE FORWARD REAL ESTATE」を運営しています。現在は、ナイジェリア・タンザニア・ザンビアの三か国に展開していますが、これまでの反響を受けて、今後は多国展開も視野に入れています。
タンザニアのサイト”BE FORWARD REAL ESTATE TANZANIA”
まとめ
今回の記事では、ケニアやタンザニアのリサーチ会員の「住まい探し」についてご紹介しました。
ビィ・フォアードでは、アフリカの消費者の生の声が聞けるアフリカマーケットリサーチサービスを行っております。上記以外にも様々なデータがありますので、ご興味のある方はこちらから無料で資料請求していただけます。
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<アンケート回答者データ>
ケニア対象者:303名
タンザニア対象者:362名
<参考文献>
*1 総務省統計局平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果