木曜日, 3月 28, 2024

【連載第1回】ケニア・タンザニアで聞いた!「家電」の所有状況

株式会社ビィ・フォアードが運営するアフリカマーケットリサーチでは、ケニアとタンザニアのリサーチ会員に「家電」に関するオンラインアンケートを実施しました。

調査概要

調査方法:オンラインアンケートをメールで送信

調査期間:2022年1月28日~2月4日

調査対象者:ビィ・フォアードリサーチ会員 641名 (ケニア:282名、タンザニア:359名)

所有する家電:デジタル家電の普及率が高い

● 「スマホ」「テレビ」「オーディオ機器」「パソコン」などのデジタル家電が「冷蔵庫」「電子レンジ」などの白物家電の普及率を超える

今現在、所有している家電をすべて選んでもらいました。

ケニアで最も所有率が高かったのは、「スマホ」(94.7%)、次いで「テレビ」(82.6%)、「ガスコンロ」(69.5%)、「オーディオ機器」(68.1%)、「パソコン」(60.3%)という結果になりました。

日本では冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、掃除機などのいわゆる「白物家電」の普及率は95%を超えており、炊飯器や冷房も80%以上の普及率となっていますが(*1)、ケニアでは、「冷蔵庫」(53.5%)、「電子レンジ」(33.0%)、「洗濯機」(16.0%)、「炊飯器」(12.1%)、「掃除機」(9.6%)、冷房(8.2%)という比較的低い所有率でした。

デジタル家電の所有率が非常に高く、白物家電の所有率がそれを大きく下回るというのは、興味深い結果です。近年、アフリカでは水や電気などの生活インフラが整っていない地域でも、スマホを使った電子決済サービスなど最先端技術を使ったサービスが広く受け入れられるといったことが多く見られます。いわゆる「リープ・フロッグ現象」と呼ばれる現象で、ある国が既存の技術を経ずに一気に最先端の技術に飛ぶことを指し、まさにデジタル家電の方が白物家電の所有率よりも圧倒的に高いのは、この象徴と言えるかもしれません。

また、アフリカでは比較的低価格でメイドを雇うことができるので、掃除機や洗濯機などの家電に頼らなくても生活が成り立つことも背景にあると考えられます。

続いて、タンザニアの回答です。タンザニアもケニアと同様に、「スマホ」(90.8%)、「テレビ」(73.0%)、「オーディオ機器」(72.1%)、「パソコン」(63.2%)といったデジタル家電が所有率のトップにランクインしました。「冷蔵庫」(58.5%)、「ガスコンロ」(53.5%)、「アイロン」(51.0%)などの所有率が他の家電より比較的高いのは、ケニアと同じ傾向です。多くの調理家電はケニアの方が所有率は高い傾向ですが、「炊飯器」はタンザニアで30.6%、ケニアで12.1%の結果となりました。

タンザニアとケニアで差が見られたのは、冷房・暖房器具です。ケニアの首都ナイロビの気温は12℃~27℃と、赤道直下でも標高が高いため、一年を通して過ごしやすい涼しい気候です。一方、タンザニアの主都ダルエスサラームの気温は20℃~32℃で湿度が高く蒸し暑い気候です。それを反映するように、タンザニアでは「冷蔵庫」(58.5%)、「扇風機・シーリングファン」(41.5%)、「冷房」(11.7%)の回答だったのに対して、ケニアでは「冷蔵庫」(53.5%)、「扇風機・シーリングファン」(18.8%)、「冷房」(8.2%)、と冷房器具の所有率が低い結果となりました。居住地域にもよりますが、ケニアでは「暖房器具」(24.1%)の方が「冷房」(8.25)よりも所有率が高くなりました。

所有する家電(月収別): 低所得層にも必須のスマホ

● 「スマホ」「テレビ」は全ての所得層に需要がある

● 収入が上がると所有率が高い「冷蔵庫」。一方、「洗濯機」は収入に関わらず所得率は低め

ケニアの月収$100以下の層で一番普及している家電は「スマホ」(88.7%)、次いで「テレビ」(61.3%)、「オーディオ機器」(58.1%)、「ガスコンロ」(48.4%)、「アイロン」(37.1%)という結果になりました。日本では普及率の高い冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などの白物家電は30%以下の所有率でした。 対して、月収$1,500以上の富裕層では、「冷蔵庫」(94.1%)、「電子レンジ」(82.4%)、「オーブン」(70.6%)、「掃除機」(64.7%)など、白物家電の所有率が高い水準となっています。圧力調理器、ホットサンドメーカーなどの調理家電も収入が多いほど所有している割合が高く、富裕層への需要があることが伺えます。一方、洗濯機・乾燥機、冷房、炊飯器、暖房器具、食器洗い乾燥機、空気清浄機は富裕層でも所有率が50%以下となっており、比較的需要が低いといえます。

タンザニアの月収$100以下の層で一番普及している家電は「スマホ」(85.8%)、次いで「オーディオ機器」(62.3%)、「パソコン」(53.8%)、「テレビ」(43.4%)、「ガスコンロ」(34.0%)という結果になりました。それ以外の家電は、所有率30%以下という結果になりました。

月収$100以下の「冷蔵庫」の所有率は26.4%でしたが、月収$101~399の層では62.5%、月収$400~$799の層では86.9%、$800以上の富裕層では90.6%と、月収$100以下と以上の間で冷蔵庫の所有率に大きな差があるといえます。

タンザニアの「洗濯機」の所有率はケニアよりもさらに低く、月収$800以上の富裕層でも28.1%となりました。洗濯機を使うためには電気だけでなく安定的な水の供給も必要なため、断続的な断水のある地域では手洗いが以前好まれているのかもしれません。

所有する家電(年代別): 20代・30代ではスマホ、40代ではテレビがトップ

● 20代の第一位「スマホ」、第二位「オーディオ機器」

● 30代の第一位「スマホ」、第二位「テレビ」

● 40代の第一位「テレビ」、第二位「スマホ」

ケニア・タンザニアどちらも共通しているのが、20代・30代は「スマホ」が最も普及しており、40代以降の世代はテレビの普及率が最も高いという点でした。特にタンザニアでは、20代のテレビ所有率が57%に対し、30代は80.4%、40代は91.5%と、20代と30代の間でテレビの需要に大きな差があるといえます。デジタルネイティブ世代である20代にとっては、テレビよりも、スマホを使ってオンラインメディアで情報収集をすることに馴染みがあり、今後ますますグローバル化が進みそうです。

そのほか、調理家電など家事のサポートとして利用される家電は、30代・40代と徐々に所有率が上がっていく傾向にありました。

まとめ

今回の記事では、ケニアやタンザニアのリサーチ会員の様々な家電の所有状況をご紹介しました。

連載第2回・第3回も合わせてご一読ください。

【連載第2回】ケニア・タンザニアで聞いた!生活に影響力のある「家電」とその理由は?

【連載第3回】ケニア・タンザニアで聞いた!好きな家電メーカーランキング!

ビィ・フォアードでは、アフリカの消費者の生の声が聞けるアフリカリサーチサービスを行っております。上記以外にも様々なデータがありますので、ご興味のある方はこちらから無料で資料請求していただけます。

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<アンケート回答者データ>

ケニア対象者:282名

タンザニア対象者:359名


<参考文献>
*1 平成26年全国消費実態調査

今村 蓉子
今村 蓉子
アフリカはじめ世界に月間1万2千台の中古車を輸出する㈱ビィ・フォア―ドのデジタルマーケティング部・チームマネージャー。 大学在学時にケニアを訪れた際、そのエネルギーに魅了され、アフリカに必ず戻ってくると心に決める。貿易会社を退職後、青年海外協力隊としてタンザニアの田舎でコミュニティー開発に携わる。 ビィ・フォアードでは、アフリカ各国で提携している現地エージェントの人材育成やシステム改善、アフリカ内陸国への輸送を行うデリバリーサービスの開拓、ビィ・フォアードの広告塔として世界各地で代理販売を行うビィ・フォアードサポーターズ(会員20万人)の立ち上げ、オンライン集客などに従事する。

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