株式会社ビィ・フォアードが運営するアフリカマーケットリサーチでは、ケニアとタンザニアのリサーチ会員に「食文化・食生活」に関するオンラインアンケートを実施しました。
世界では、台湾のように外食率が8割程度と高い地域もあれば、日本のように3割程度のところもあります。昔からある食文化や、近年のワークスタイルの変化などの様々な要因により、外食文化のトレンドは変化しています。日本では、1970年代後半~90年代にかけて経済成長とともに外食産業が盛んになり、その後は横ばいの傾向にあります。では、ケニア・タンザニアでの外食事情はどのようになっているでしょうか?この記事では、地元でポピュラーな食べ物や外食の頻度などを、アンケート結果を元にレポートします。
前編:地元でポピュラーな料理と外食の頻度
後編:外国料理への反応、外食や家の食事で重視すること、人気の調味料、冷凍食品や缶詰の利用頻度
調査概要
調査方法:オンラインアンケートをメールで送信
調査期間:2022年3月10日 ~3月20日
調査対象者:ビィ・フォアードリサーチ会員 711名(ケニア:283名、タンザニア:428名)
ポピュラーな朝食と外食の頻度
ケニアやタンザニアでは、その貿易の歴史から、インドやアラブの影響を受けた料理が多くあります。朝食で最もポピュラーなのは、インド由来のチャパティ(薄焼きパン)とチャイ(紅茶)の組み合わせです。
インドのチャパティは素焼きのものが多いですが、東アフリカで食べられているチャパティは油が生地に練りこまれていて、チャイも砂糖たっぷりのものが多く、腹持ちがいいです。道端で売り歩いている商人もいて、チャパティは1枚30円程度、チャイは1杯30円程度とお手軽に購入できます。
近年では西洋文化も入ってきて、食パンを食べる人も増えてきていますが、チャパティやマンダジ(インド由来の揚げパン)などインド由来のものが朝食として根強い人気があります。
下のグラフは、朝食をとることが一番多い場所を選んでもらった結果です。ケニアでは、「自宅」が78.8%と最も多く、次いで「カフェ(食堂)・レストラン」が10.6%、「オフィス(購入してくる)」が4.9%、「オフィス(お弁当)」が3.2%でした。ケニアでは、自宅でチャパティやチャイなどを食べてから、出勤する人が多いようです。
一方、タンザニアでは、「自宅」が53.7%と最も多いものの、ケニアと比較すると自宅で朝食をとる人が25%も少ない結果となり、「カフェ(食堂)・レストラン」が22.6%、「オフィス(購入してくる)」が16.4%と、外食で済ます人が39.0%に上りました。
また、タンザニアでフルタイムワーカーだけの回答結果を見ると、「自宅」が38.1%なのに対し、「オフィス(購入してくる)」が30.2%、「カフェ(食堂)・レストラン」が19.8%と、半数の人が朝食を外食で済ませています。オフィスで朝食をとる人が多い要因としては、朝食を9~10時と出勤後の遅めの時間にとる人が多いことや、チャパティやチャイをオフィスに販売にくる販売員の存在、道端でも気軽に朝食をテイクアウトできることなどがあげられます。
ポピュラーな昼食と外食の頻度
昼食でポピュラーなのは、主食・おかずを選んで、それにサイドメニューがついてくるセットです。ローカルフードのウガリ(トウモロコシ粉から作る東アフリカの主食)、白米、ピラウ(アラブ由来の炊き込みご飯)などの中から主食をひとつ選び、おかずとなるトマトベースのシチューは牛肉、鶏肉、牛ホルモン、魚などの具材から選べます。それに煮豆や野菜炒めがついてくるセットです。ムスリムが多いため、豚肉は専門のお店でないと提供されません。
昼食をとることが一番多い場所を選んでもらった結果、ケニアでは、「カフェ(食堂)・レストラン」が38.5%と最も多く、次いで「自宅」が31.1%、「オフィス(購入してくる)」が11.3%でした。「昼食はとらない」という人も8.5%いました。
就業者のみの回答を見ると、「カフェ(食堂)・レストラン」が40.2%、「自宅」が23.1%、「オフィス(購入してくる)」が12.8%、「オフィス(お弁当)」が9.4%でした。外食の割合(カフェ・レストラン利用or購入してオフィスで食べる)は、約半数でした。
タンザニアでは、「自宅」が36.9%と最も多く、次いで「カフェ(食堂)・レストラン」が35.0%、「オフィス(購入してくる)」が18.9%、「オフィス(お弁当)」が3.0%という結果でした。半数以上の人が、昼食では外食(カフェ・レストラン利用or購入してオフィスで食べる)をしていることが示されています。
就業者のみの回答で見ると、「カフェ(食堂)・レストラン」が34.2%と最も多く、次いで「自宅」(27.2%)、「オフィス(購入してくる)」(26.6%)という結果でした。就業者の6割以上が昼食では外食していることになります。ローカル食堂で注文すると、オフィスに持ってきてくれることもあります。
※「自宅」の回答については、コロナ禍で在宅ワークが進んでいることも背景にあることや、パートタイムワーカーの勤務時間による可能性などが考えられます。
続いて、昼食で外食する頻度について聞きました。ケニアでは、「ほぼ毎日」の回答が32.5%と最も多く、次いで「週2~3回」が16.6%、「週4~5回」が13.4%という結果になりました。「2~3か月に1回以下」(11.7%)と滅多に外食しない人が1割強いる一方で、週1回以上外食する人は全体の7割以上に上りました。
タンザニアでも「ほぼ毎日」外食すると回答した人が32.2%と最も多く、次いで「週4~5回」(18.2%)、「週2~3回」(16.8%)、「週1回」(12.1%)という結果となり、週1回以上外食する人は全体の8割弱に上りました。
ポピュラーな夕食と外食の頻度
一般的に家庭で作られる夕食は、昼食と同様、主食のウガリ・白米などから1品、トマトベースのシチュー1品(具材は牛、魚、鶏など)、煮豆や野菜炒めといった伝統料理が多いです。外国料理が家庭で出てくることは、一般的な家庭ではほぼないと言っていいでしょう。パスタも時々出てきますが、油と簡単な味付けで炒めただけのようなものが多く、私たちが想像するイタリアンとは違います。
一方、夜に営業しているレストランは居酒屋やバーに併設された屋台が多く、ニャマチョマと呼ばれる牛肉の串焼き、フライドポテト、ローストされたチキンやヤギ肉など、お酒と一緒に提供される肉料理がポピュラーで、伝統的な家庭料理を提供するお店はグンと減ります。お酒ではなく夕食提供がメインのレストランは、ホテルに併設していたり、外国料理を提供していたりと、フォーマルなところや価格の高いところが多くなり、一般の人には少し敷居が上がります。
夕食で外食する頻度を聞いた結果、ケニアでは、「ほぼ毎日」が23.3%と最も多く、次いで「2~3か月に1回以下」が20.5%となり、頻繁に外食する人とほとんどしない人に分かれました。週1回以上外食する人は半数以上に上りました。
年代別で見ると、20代が最も外食する頻度が多く、ほぼ毎日外食する人が24.5%、週1回以上外食する人は6割近くにのぼります。若年層の方が外食の頻度が多い傾向にあります。
男女別で見ると、男性は「ほぼ毎日」外食をする人が26.7%、週一回以上外食する人は半数以上にのぼります。一方、女性は「2~3か月に1回以下」が34.5%と最も多く、外食をする人は少ない傾向です。夕食での外食については、年代よりも男女の差の方が顕著に表れています。夜に営業しているレストランは居酒屋に併設されていることが多く、そういったお酒の場にいるのは圧倒的に男性が多いです。女性が夜に気軽に行きやすいレストランは多くありません。
タンザニアでは、「ほぼ毎日」外食するという回答が27.3%と最も多かったですが、ケニア同様、「2~3か月に1回以下」が17.8%と次いで多く、頻繁に外食する人とほとんどしない人に分かれました。
年代別・男女別で見ると、こちらもケニア同様、若年層・男性の外食率が高く、年配の人・女性の外食率が低いという傾向がありました。
まとめ
今回の記事では、ケニアやタンザニアのリサーチ会員の「地元でポピュラーな料理と外食の頻度」についてご紹介しました。
後編もぜひご一読ください。
後編:外国料理への反応、外食や家の食事で重視すること、人気の調味料、冷凍食品や缶詰の利用頻度
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<アンケート回答者データ>
ケニア対象者:283名
タンザニア対象者:428名