月曜日, 10月 14, 2024

2020年代のアフリカでのオンライン教育のビッグビジネス化

近年、アフリカではオンライン教育がすごい勢いで拡大しています。
多くの大学やインターナショナルスクール、専門的な職業訓練校などがアフリカでのオンライン教育へ進出し、ビジネス的にも成功を収めています。

今回はそんなアフリカのオンライン教育に関して触れてみたいと思います。

アフリカでオンライン教育が拡大する背景

アフリカの様な急激な経済発展が起こっている国々では、高等教育の重要性が叫ばれています。

ドイツの教育学者ナトルプ(haul Naborp) は、著書『社会的理想主義』の中で、国民教育への投資は「賢明にして利回りより良き投資 」であると書いています。国や社会の発展において、教育の重要性は昔から言われている通りですが、1960年代になると教育が経済発展の最も大きな要因の一つと考えられるようになりました。参考:経済発展 における教育の役割

その理由は、効果的な教育は労働力や技術革新の質的向上に貢献するからです。

現在アフリカでは、より高度で専門的な学位や資格を取得しようとする動きが活発化しています。より高い報酬とより良い待遇を獲得する為、多くの労働者や学生たちは熱心に勉強に励んでいるのです。

しかしながら、急激に進学希望者の増えているアフリカ諸国では「学びたければ来なさい」と言う従来の教育スタイルは、すでに合わなくなって来ています。

理由1:通学費用や時間の削減

広大な面積を誇るアフリカでは、通学するだけの時間的余裕や金銭的余裕に限りがあります。教育機関の近くに住もうとすると高い賃料を払わなくてはならず、通学する場合も多くの時間を移動に費やさなくてはなりません。

理由2:就学費用やその他の負担を軽減

全ての就学希望者が専業学生という訳ではありません。働きながら学位や資格を取得し、雇用促進やキャリアアップを目指したい人も多くいるのです。カリキュラムをこなす為に、多くの時間を学校で過ごす事は彼らのスタイルには合いません。

また、教育を受けるための費用負担も大きな問題です。ナイジェリアでは、イギリスやアメリカの学位を取得する為に彼らが支払う金額はなんと最大5万ドルにもなります。

そのような金額を支払ってでも学位を取得したい人が多いのは、アフリカ諸国において、学位や資格がどれほど重要なのかを表しています。 (参考:Why Nigerians are saving up to $50,000 to pay for UK and US degrees)

そのような背景から、アフリカでは従来の「通学して教室で学ぶスタイル」の教育からオンライン教育へのシフトが起こっているのです。

アフリカでのオンライン教育の成功例

アフリカン・バーチャル大学(AVU)は、サブサハラ・アフリカの27カ国以上で最大の遠隔学習・eラーニングネットワークを構築し、4万人以上の卒業生を輩出しています。数学、科学、教師教育、ICTスキルなど219のコースを行なっていて、英語、フランス語、ポルトガル語で無料で利用することができます。(参考:African Virtual University)

MOOC(Massive open online course)の最大手の一つであるCoursera(この分野では他にUdacityとedXがある)の設立者であるDaphne Koller氏が、2013年2月末に世界銀行を訪問してCourseraの取り組みと学習について熱く語りました。

その結果 世界銀行の支援を受けて、タンザニアでは市場に通用するITスキルを学生に身につけさせるための幅広い取り組みの一環として、Courseraのサービスを取り入れようとする新しい試験的な取り組みが始まっています。(参考:MOOCs in Africa)

eLearning Africaは、ICT(情報通信技術)に関係する教育とトレーニングの分野で働く専門家のグローバルネットワークです。教育関係者、トレーナー、技術専門家、政策立案者、投資家などが参加しています。

eLearning AfricaはICT教育におけるアフリカの専門知識と才能を世界に広める最大の専門家コミュニティで、アフリカでのEラーニングに関する主要な教育機関となっています。(参考:Africa’s Home for Ideas, Innovation and Sustainable Solutions for Education, Training and Skills Development since 2005)

オンライン教育がもたらすアフリカの未来

発展途上にあるアフリカにおいては、まだまだ解決すべき問題がたくさんあります。例えば、貧困、児童婚、暴力、人身売買、環境破壊、児童労働、伝染病などが挙げられます。有効な教育はこれらの問題を解決する糸口になると考えられています。従来の教育システムでは教育を受ける事ができなかった人々が、場所や時間に縛られず、コスト的にも受け入れやすいオンライン教育を受ける事で、アフリカに内在する以下のような多くの問題が解決できると考えられます。

多くの人が教育を受けるようになれば、アフリカの貧困率は下がります。

その理由は、人々が多様な知識と技術を持つようになり、雇用と仕事の創出が容易になるため、国の開発プロセスが加速されるからです。日々の生活のために犯罪に手を染めることも少なくなるでしょう。質の高い教育を受けることで、善悪の判断ができるようになり、犯罪に手を染めることが少なくなると思われます。質の高い教育は、国民一人当たりのGDPを押し上げ、その国の経済成長にとって重要な要素の一つです。より多くの人が教育を受ければ、先進国化が進み、識字率の高い国は当然一人当たりの所得が高くなります。

教育のもう一つの利点は、雇用市場における高収入の確保です。競争の激しい就職市場では、低学歴の人に比べ、高学歴の人の方が仕事を得るチャンスが多いでしょう。高い水準の教育を受けることで、人々には多くの収入を得る機会があります。逆に、教育の欠如は高い報酬や雇用機会を人々から奪います。適切な教育が行われていないため、アフリカの保健分野はひどい状態になっています。教育を受ける人が増えれば、健康分野も改善されます。アフリカでは乳幼児の死亡率は高水準となっています。医学、薬学、小児科学など、保健分野の教育を受ける人が増えれば、乳幼児死亡率が大幅に下がり、欧米などの先進国のように健康的な生活が送れるようになると考えられます。参考:The Importance of Education in African society

まとめ

現在アフリカで提供されているオンライン教育のシステムは、海外の大学や高校によって提供されているものが多いのも事実。参入できる隙間が多く残っていると言えます。実際に雇用の場で役立つ専門的な知識や技術を学ぶためのオンライン教育機関はまだまだ少ないのです。そう言った意味でも、オンライン教育分野の成長は今後アフリカで最も注目すべきビジネスチャンスのひとつとなるでしょう。

アフリカでのビジネスを展開する前に、現地でのマーケティング調査を念入りに行うことで、ビジネスを新規に展開する前に適切なリスクサーベイをすることができます。

現地でのマーケティング等でお悩みの場合には、弊社のマーケットリサーチサービスをご利用していただくというソリューションもあります。

アフリカビジネス事務局
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BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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