東アフリカのシリコンバレーとして、ケニアは通称「シリコン・サバンナ」と呼ばれています。ケニアはアフリカの中でも新しいビジネスを始める環境に恵まれており、スタートアップが数多く誕生しています。
日本を含め世界中から注目されるケニア。今回はケニアに関するビジネス情報をお伝えします。
ケニアでビジネスが発展する理由:国民100%以上のモバイル所有率!
【基本情報】※2021年
人口:5,438万人 (前年比 ∔120万人(+2.3%))
モバイル接続環境:5,924 万人 (前年比 +220万人(+11%))
SNS利用者:1,100 万人 (前年比 +590万人(+25%))
ケニアはアフリカ先進諸国の中でもインターネット普及率が高く、携帯電話やモバイルマネーの普及率も高いことから、携帯電話を活用したビジネスが数多く生まれました。
特に、携帯電話は多くの人が1台以上所有していることから、携帯電話での接続数は総人口の割合を超え、国民100%以上のモバイル所有率となっています。
SNSへの関心も高く利用者の割合も年々増加しており、政府もICT化を進めていることから、デジタル関連のイノベーションの創出、起業家育成も盛んです。
また、ケニアには持ち込み・持ち出し額の制限もなく、クレジットカードやATMの設備も整っているため資金の調達が便利です。メディアの規制も少なく、国際的な新聞や雑誌も広く入手可能です。そして、言語に関しても、ケニアの人たちは現在は初等教育から英語を学んでいるので同僚たちとは英語でやり取りすることに不自由ありません。
上記のようなビジネス環境から、ケニアはアフリカの中でもビジネス進出しやすい国と言えます。
実際に、英企業では携帯サービスプロバイダーVodafone、British American Tobacco社、食品メーカーCadburyなどが進出しています。そのほか、カナダの靴メーカーBata、ドイツの化学品製造企業Beiersdorfといった外資系企業が数多く進出しています。
日本企業では、東芝、日本通運、日本光電、豊田通商といった企業がケニアの首都ナイロビに拠点を持ち活躍しています。

ビジネス革新を生み出すケニア
ケニアが「シリコン・サバンナ」として急成長した背景として、ケニア政府のイノベーションの創出、起業家育成に向けてサポートを惜しまない姿勢があります。また、ケニアは海外からの投資を積極的に呼び込むというスタンスをとっています。このような状況から、ケニアではインキュベーション施設が充実し、数多くのスタートアップが誕生しました。
インキュベーション施設とは、創業初期段階の起業者を支援する目的のもと、通常よりも安価な賃料でワーキングスペースを提供します。事業の立ち上げや拡大、成功に向けた専門家によるアドバイスを提供する施設です。会議室やプリンターなどの設備が整えられており、事業育成プログラムやセミナー、ワークショップのほか、入居者の交流を促すパーティーやヨガイベントなども開催されています。スタートアップと中小企業をつなぐ取り組みや、求人やインターンシップの紹介を行っている施設もあります。
ケニアの首都ナイロビでは2010年以降、インキュベーション施設やコワーキングスペースの需要が高まりました。2010年にNailab、2011年に88mph、2014年Nairobi Garage、2015年にMettaやThe Baobab Network、2016年にIkigai等の施設が相次いでオープンしました。
ここでは、ケニアの代表的なインキュベーション施設とスタートアップの一例をご紹介します。

アフリカでの起業を後押しするインキュベーション施設: Growth Africa
2002年にナイロビにて創立以来、現在はウガンダやエチオピアなどにも拠点を持ち、スタートアップや中小企業の事業拡大を支援しています。エコシステムや金融リテラシーといった専門分野のコンサルテーション、投資や求人の募集なども行っています。起業家やスタートアップを多方面から支え、ビジネス発展に向けた幅広い活動をしています。
施設利用者に向けて、JICA、日経新聞主催のビジネスプランコンテストNINJA Business Plan Competitionへの参加も促しています。こちらのコンテストでは日本からは豊田通商や楽天などの企業が参加し、アワードとして投資や事業連携の提供などを行いました。
日本企業との連携も視野に入れたスタートアップとの出会いも期待できそうです。
ケニアの強みを生かして成功したスタートアップ: M-KOPA
Solar Home System(屋根上にソーラーパネルを設置し、太陽光発電により照明、携帯充電器、TVなどを稼働させる)を販売。IoTやモバイル決済の技術を活用し割賦販売を可能としたPAYG(Pay As You Go:支払った分だけ使用できる方式)の仕組みをビジネスモデルとしています。
PAYG型SHSはサブサハラ以南などの非電化地域に暮らす各家庭に割賦販売され、ユーザーは携帯電話等を通じて支払った分のみ使用できます。各家庭が負担する日々の支払額を低く抑える一方で、支払いが滞った場合には遠隔操作で製品機能を停止することもできます。また、デジタル技術を活用することで利用データを分析し、追加サービスの提供なども可能です。
2010年に創業したM-KOPAは、現在ではケニアやガーナなど国を超えて6つの拠点を持ち、1,000人以上の従業員、100万人以上の顧客を持つ企業へと成長しました。携帯電話の所有率が高く、モバイル決済が普及していたケニアだからこそ成功したビジネスといえます。
海外の企業からの出資やイノベーションに関する賞を数多く受賞しており、日本からも、住友商事、三井物産が出資しています。
まとめ:ケニアに進出するためには?
ケニアはアフリカの中でもビジネスを始める環境が整っており、インキュベーション施設やスタートアップが数多くあり、新しいビジネスを始めるチャンスがあります。
BE FORWARDは15年間でアフリカだけでも56の国と地域に販売実績があり、ケニアにはナイロビとモンバサに7つの拠点を持ち、アフリカでの知名度とネットワーク、独自の輸出経路を持っています。
アフリカの国々やケニアの企業や個人にリーチするために、弊社「マーケットリサーチサービス」や「バナー広告サービス」、「アフリカ進出サービス」などのサービス内容をご覧ください。ご興味を持たれるものがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
参照元:
JETRO 海外進出日系企業実態調査
JETRO 地域・分析レポート
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