火曜日, 3月 19, 2024

東アフリカ、西アフリカの主要決済手段の違い

アフリカといっても広く東西南北中央の地域に分かれており50カ国以上の国があります。それぞれの国・地域によって言語や文化、商習慣や嗜好は異なります。昨今、テクノロジーの発展により商習慣の変化も激しく、特に決済手段の多様化が目立ちます。そこで、今回は東アフリカと西アフリカにおける国ごとの決済手段の違いをご紹介します。

東アフリカの決済手段

まず東アフリカではモバイルマネーが多くの場面で使われています。特にケニアは通信会社が運営するM-pesaと言われる決済手段が圧倒的なシェアを締めています。

そもそも、モバイルマネーとは、電子ウォレットサービスのことで、銀行口座に紐付けなくてもスマートフォンや携帯電話にお金を預けることができ、送金や支払いができます。例えば、ケニアでは町の至るところにM-Pesaと書かれた小さい看板があるお店や個人商店があり、そこで現金を預けると自分の携帯番号に紐付いた電子ウォレットにチャージできます。チャージしたお金は、公共料金の支払い、個人間送金や店舗での支払いなど様々な支払いに利用できます。

そうしたモバイルマネーは、人々の生活に浸透していて、私自身がケニアで生活をしていたときには、財布は持たずともスマートフォンは必ず持っていたほどでした。また、普段の買い物だけでなく、ECなどのオンラインの決済手段にモバイルマネーが利用されることもあります。例えば、アフリカ最大のECサイトであるJUMIAでは、現地決済の場合は、日本だと現金が主流かもしれませんが、M-Pesaでの決済のみを受け付けています。

浸透した背景としては、M-Pesaの運営元である通信会社Safaricomの利権とUnbanked(銀行サービスを利用できない人)の問題があります。読み書きが出来ない、住所がないなど、なんらかの理由で銀行口座を開設できない人たちや、銀行の店舗やATMが限られている地方に住む人たちでもモバイルマネーは利用できます。モバイルマネーが発達する前は、そうしたUnbankedの人たちは、遠方にいる家族に送金が出来なかったり土に現金を埋めて隠していたりしたそうですが、モバイルマネーを利用することで個人間の即時決済が可能になり安全にお金を保管することができるなど様々な便益を受容できるようになりました。

西アフリカの決済手段

対して、西アフリカの主要決済手段は、ナイジェリアは銀行、現金決済が主流ですが、ガーナやカメルーンではモバイルマネーや現金が利用されることが多いようです。

ナイジェリアでは、未だに現金決済が主流ですがモバイル銀行決済が実は多く利用されています。ナイジェリアの主要銀行はモバイルアプリを提供しており、普及した理由はまずモバイルアプリの使いやすさが挙げられます。例えば、ユーザインターフェースが使いやすく、あまりモバイルアプリを利用したことがない人でも簡単に利用できるようになっています。また、日本の場合は、銀行決済は平日だと翌日着金で手数料も数百円かかることが多いですが、ナイジェリアの銀行のモバイルアプリは、即時決済で手数料も約50ナイラ(約10円)と比較的安価な手数料で送金が可能です。そしてモバイルアプリから様々な支払いができ、公共料金や携帯電話の通信料金の支払いだけでなく、宝くじやドバイのビザなどの支払いなど可能です。他にも、ナイジェリアの最高貨幣は1000ナイラ(約200円)と小さく、近年インフレが激しく現金で支払いをすると大量の札束を用意し支払いのたびに数える必要がありますが、モバイルアプリを利用すればそうした手間が省けるなどの利点があります。生活コストを例に取ると、食パン一斤が約500ナイラから800ナイラ(100円から160円)ほどですが、顧客の平均単価が50,000ナイラ(約10,000円)ほどのレストランがあります。支払いが50,000ナイラの場合は1000ナイラを50枚用意しないといけません。

このようにナイジェリアは銀行決済、現金主義の社会ですが、ガーナではモバイルマネーが利用されています。ケニアやタンザニアのようにMTNやAirtelなどの通信会社が提供しているSIMカードにお金をチャージでき個人間送金や、各所への支払いが可能です。

BE FORWARDのマーケット・リサーチサービス

さて、BE FORWARDでは中古車の販売だけでなく今までのアフリカ各国との取引ノウハウを活かし日系企業様のアフリカ進出をサポートするマーケット・リサーチを行っています。各国のエージェントやBE FORWARD Supportersのネットワークを生かした独自調査も可能です。以前ご紹介したアフリカの国際決済のトレンドに続き、今回は東西アフリカの一部の国の主要決済方法に関してご紹介しましたが、他の国に関して詳しく知りたい、話を聞いてみたいといった場合にはこちらからお問い合わせください。

青木 文
青木 文
ナイジェリア在住。ナイジェリアでSaaS事業の立ち上げ後、現在はフィンテック関連企業の事業開発に従事。

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