水曜日, 1月 22, 2025

日本とアフリカで輝く女性起業家のビジネス事例(前編:アフリカ人起業家編)

アフリカでは、女性の起業家による、社会問題の解決に貢献するビジネスが注目されています。

2022年8月に開催された日本政府主導のアフリカ開発会議(TICAD8)においても、TICAD8に先駆けたプレイベントとして「日本とアフリカで輝く女性起業家交流会」が開催されました。国際社会の中でも、アフリカと日本の女性起業家のパートナーシップを強化する動きがあります。

前編の今回は、アフリカに焦点を当て、アフリカ人女性が起業した事業と、そのビジネス事例をご紹介します。

古タイヤをリサイクルし、世界的な靴メーカーへ「soleRebels」:エチオピア

soleRebels(ソールレベルズ)は、2005年に創業したエチオピアの靴メーカーです。手作りの風合いとデザイン性が高く評価されており、ドイツなど海外にも店舗を持ち、Harper’s BazaarやCOSMOPOLITANといったグローバルなファッション雑誌にも取り上げられています。

ソールレベルズの靴は、オーガニックコットンなど天然の素材と、ソール(靴底)はタイヤを再利用した素材で作られています。エチオピアの伝統的な機織りの技術を用い、生産過程において二酸化炭素の排出などもありません。また、従業員の幸福を追求し、法定最低賃金の4~5倍の給与や、医療保険、子供への教育の機会なども提供しています。

環境を壊さずに使用が可能な素材、伝統文化の保護、働く環境の整備など、エシカルな商品を生産しています。現在、世界的に多くの企業が取り組むSDGsを牽引する企業です。

創業者でCEOのBethlehem Alemuさんは、世界経済フォーラムから「ヤング・グローバル・リーダー」に選出、米フォーブス誌から「最も成功しているアフリカ人女性」に選出されるなど、過去に多くの表彰を受けています。エチオピアのみならず、アフリカを代表する起業家です。

テクノロジーを活用して農業の革新を実現「Agrinfo」:タンザニア

Agrinfoは、タンザニアでAgritech(アグリテック)(農業(Agriculture)とテクノロジー(Technology)をかけあわせた造語。日本では、農林水産省が推し進める「スマート農業」がアグリテックと同じ位置づけ)を推進する企業です。

農業に関するデータをドローンで収集、AIや画像を用いて分析し、結果をショートメッセージで送信します。収集したデータはJembeKilimoというプラットフォーム上で統合や視覚化が可能、現在の状況の確認や今後の動向の予測、行うべき農作業の方針決定に役立ちます。

また、JembeKilimo上のデータを活用することで、金融機関からの融資を可能にします。タンザニアでは小規模農家が多く、多くの人々が農業に従事しているにもかかわらず、資金調達が困難な現状があります。そのような状況の中、Agrinfoのサービスは、テクノロジーの力で農業ビジネスの成長を後押ししています。

創業者でCEOのRose Funjaさんは、エンジニアや大学で講師として勤務した後、ICTを活用した社会問題の解決に向けた活動をしています。Agrinfoのほか、起業に向けたコンサルティングや職場の提供を行うImpact Hub Dares Salaamの共同創業者でもあり、女性向けSTEM教育にも携わっています。

迅速、安全、手頃な救急医療の提供を目指す「Emergency Response Africa」:ナイジェリア

ナイジェリアは、救急車や訓練を受けたスタッフの不足、通信インフラの整備の遅れなど、救急医療が未発達な地域です。そのため、急な発作や事故などの際、適切に対処すれば救えたであろう命を、救いきれていない現状があります。

Emergency Response Africaはコマンドセンターを設置し、アプリまたは通話料無料の電話を通して、救急医療チームの派遣、現場到着までの応急処置の指示など、24時間対応します。緊急時に使用できるアプリSignalでは、GPSを利用して近隣の医療施設や事故現場などへのナビゲーションを行い、スムーズな搬送を可能にします。

創業者でCEOのFolake Owodunniさんは、カナダ滞在中に救急通報ダイヤルを利用した経験からナイジェリアやアフリカの国々の救急医療について意識。現状のリサーチ、通信システムの開発、スタッフの教育、資金調達など様々な課題の解決を経て慎重に準備を重ね、2020年にサービスを開始しました。

資金については、JICA(国際協力機構)が主催する開発途上国向けの起業家・スタートアップ支援事業Project NINJA(NINJA …Next Innovation with Japanの頭文字)から資金調達を得ました。Project NINJAについては、以前のブログ記事(アフリカのビジネスを後押し!日本が支援する、アフリカ現地スタートアップのビジネス事例)で詳しくご紹介しています。

雇用者と障がい者双方の課題を解決し、バリアフリー社会を実現「Helm Academy」:エジプト

Helm Academyは、障がい者の雇用に関する様々なサービスを提供しています。

企業向けには、建物や設備、製品デザインが障がい者にとって使いやすいものであるか、接客や対応の内容について、障がい者を雇用する際にも職場環境や態度が適切なものであるかといったことを評価し、改善に向けたコンサルテーションを行います。

障がい者向けには、働く上で必要なスキルを学ぶSEEDプログラムを提供しています。SEED とはSkills Enhancement and Employee Developmentの頭文字で、雇用を目指す方に向けて、スキルを高め、労働市場のニーズとのギャップを埋めるトレーニングを提供します。

SEEDプログラムはデータベースへのアクセス料を民間企業から徴収するビジネスモデルをとっており、障がいを持つ方は無償のトレーニングを通して雇用やキャリア構築の機会を得ることができます。また、障がい者雇用を検討している民間企業も、人材確保に必要な採用コストを抑えられます。

創業者のAmena Elsaieさんは、JICAが提供する日本での研修「共生社会実現のためのアクセシビリティの改善バリアフリー化の推進」に参加した経験があります。共同創業者のRamez Maherさんと共にHelm Consulting を通じてエジプト地域の200社以上にサービスを提供、1700万人の会員をもつ事業に育てました。国連の推進するゼロ・プロジェクト(障がいのある人々の権利を国際的に擁護するプロジェクト)においても、Helm Academyの取り組みはベストプラクティスとして過去3回にわたり選出されています。

まとめ:アフリカでビジネスを展開するためには?

今回は、アフリカ人女性起業家に焦点を当て、現在のアフリカのビジネスについてご紹介しました。

株式会社BE FORWARDでは、中古車輸出事業で培った現地ネットワークを生かし、アフリカへのビジネス進出のお手伝いをしています。

アフリカの企業や個人に向けた「バナー広告サービス」、商品や物資の輸送の際には「海外輸送サービス」、アフリカをはじめ約53の国と地域を対象にアンケートやグループインタビュー調査を実施できる「マーケットリサーチサービス」など、幅広いサービスをご用意しております。

アフリカ進出をご検討中の企業様は、ぜひBE FORWARDまでお問い合わせください。

参照元:
https://www.solerebels.com/
http://www.agrinfo.co.tz/
https://emergencyresponseafrica.com/
https://www.helmegypt.org/helm-story

浅見 佳
浅見 佳
大学時代バックパッカーとして各地を旅行したことから海外に興味を持ち、2017年に世界一周旅行を経験。訪日外国人へのインタビュー番組のラジオパーソナリティ、海外大学進学に関するイベント運営、貿易事務や翻訳など海外と関わる仕事に幅広く携わる。現在は、中古車輸出販売で世界から注目を集める㈱ビィ・フォアードのデジタルマーケティング部にて、オンライン集客などに従事。

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