木曜日, 5月 15, 2025

アフリカビジネス事例 アフリカに進出する女性起業家のビジネス事例(後編:日本人編)

SDGsの意識が高まる昨今、アフリカでは、社会問題の解決に貢献するビジネスが注目されています。

前編では、アフリカ人女性起業家に焦点を当て、古タイヤの再利用による靴の製造、農業、救急医療、障がい者雇用など、様々な分野で起業し、社会貢献と同時に成功を収めたビジネス事例をご紹介しました。(前編はこちら

後編の今回は、アフリカに進出した日本人女性起業家に焦点を当て、そのビジネスや活躍の様子についてご紹介します。

ケニアのバラを通してSDGsに積極的に取り組む「AFRIKA ROSE」

AFRIKA ROSEは、ケニアのバラの輸入販売事業を行っています。

寒暖差の激しいケニアの高地のバラは、大輪で持ちがよく、色彩やグラデーションも個性的です。
ケニアの切花産業は、雇用を創出し、伝統的な輸出産品のコーヒーや茶に並ぶ輸出産業へと成長していることから、国家をあげて取り組まれている産業です。しかし、ケニア産のバラは主にヨーロッパに輸出されており、日本に輸入されている量は全体のわずかで、日本ではなじみの薄いものでした。そのような状況の中、AFRIKA ROSEはバラの輸入およびオンライン販売を開始しました。

AFRIKA ROSEは、創業当初から「貧困をなくそう」「人や国の不平等をなくそう」「パートナーシップで目標を達成しよう」といった目標に取り組んでいます。

AFRIKA ROSEの提携するバラ農園は、児童労働がないこと、働く環境が労働者にとって過酷でないことといった基準をクリアし、スタッフのための無料のクリニックや食堂にも取り組んでいます。

近年は、肥料の再利用、CO2削減など環境に関する目標にも積極的に取り組んでいます。

創業者の萩生田愛さんは、2011年ボランティアでケニアに渡航。小学校づくりのボランティアに参加しながら、貧しい村では両親に仕事がない家庭が多く、家計を支えるために子供たちが仕事をしなければならない現状を目の当たりにします。
その経験から、単純な寄付や学校の建設ではなく、品質の良いバラを日本に届けることで現地の雇用を促進するフェアトレードという形で2012年事業を開始。2022年には、ケニアのバラ農園の生産者の数も創業当時の200名から10倍の2000名に増加しました。

タンザニアで路上で暮らす青年たちを、パン職人として育てる「JOY BAKERY

2022年7月、タンザニアの都市ダルエスサラームにパン店「JOY BAKERY」がオープンしました。カレーパン、あんパン、メロンパンといった日本でなじみのある商品を豊富に展開しています。

JOY BAKERYでは、路上生活者だった青少年をパン職人として雇用しています。

タンザニアでは、幼いころに両親を亡くすなどして路上で生活する青少年がいます。彼らは、スコールなどの自然災害やマラリアといった危険と常に隣りあわせで暮らしています。貧困の中、毎日を生き抜くための仕事に追われ、学校に通うこともままなりません。

創業者の松浦由香さんは、学歴のない彼らが職を得るために、スキルが必要な手仕事をつくろうと考えました。その中で、タンザニアにはパン食の文化があることに着目します。世界でもトップレベルの日本のパン製造の技術と比べると、タンザニアのパンにはまだまだ伸びしろがあり、産業としての発展の余地があると感じ、パンを軸にビジネスプランを決定しました。

松浦さんは、パンに関する経験はありませんでしたが、自宅でパンづくりを練習し、タンザニア現地のホテルに売り込みます。クラウドファンディングを利用し、様々な困難を乗り越えながら事業を開始しました。

現在はJOY BAKERYの運営のほか、日本のラジオ番組への出演などの活動もされています。

日本からアフリカへ進出するアパレルブランドの先駆け「andu amet」

andu ametは、2012年創業、エチオピアの上質な羊の革を使用した製品を提供するアパレルブランドです。

andu ametでは、原料の調達から製品の作成、お客様へのお届け後まで、関わる工程すべてにおいてエシカル、サステナブルであることにこだわっています。

製品に使用している革は、食肉の副産物として生じたものを使用し、動物の権利を守る。現地の若手職人の直接雇用や技術指導を行い、産業を育成する。再生可能エネルギーの使用など自然環境に配慮した事業活動、製品を長く使い続けることができるように無期限のアフターフォローを行うなど、様々な視点から取り組んでいます。

創業者の鮫島弘子さんは、近年では2017年JETRO「Future Leading Women」、2021年ニューズウィーク「世界に貢献する日本人30」に選出。過去にも数多くの賞を受賞しています。日本や世界においても高く評価され、日本からアフリカへ進出するアパレル企業の先駆けともいえるブランドです。

今回ご紹介したほかにも、以前のブログ記事(ファッション×SDGs アフリカに貢献する日本発アパレルブランドのビジネス事例)で取り上げた「RICCI EVERYDAY」、「SHIFT 80」も日本人女性が起業し、アフリカでビジネスを展開しています。アフリカ現地のシングルマザーの雇用や、女性を性被害から守るためのスポーツブラの寄付など、女性を支援する事業やサービスを展開し、社会問題に貢献しています。

まとめ:アフリカでビジネスを展開するためには?

今回はアフリカで活躍する女性起業家に焦点を当て、アフリカのビジネス事例をお伝えしました。

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参照元:
https://afrikarose.com
https://www.instagram.com/joybakery_dar/?hl=en
https://anduamet.com/pages/company

浅見 佳
浅見 佳
大学時代バックパッカーとして各地を旅行したことから海外に興味を持ち、2017年に世界一周旅行を経験。訪日外国人へのインタビュー番組のラジオパーソナリティ、海外大学進学に関するイベント運営、貿易事務や翻訳など海外と関わる仕事に幅広く携わる。現在は、中古車輸出販売で世界から注目を集める㈱ビィ・フォアードのデジタルマーケティング部にて、オンライン集客などに従事。

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