木曜日, 12月 5, 2024

注目が高まるアフリカカーボンクレジット市場の成長と展望、最新状況

アフリカ大陸は、気候変動の影響を最も受けやすい地域の一つとして認識されています。
昨今、気候変動問題はアフリカで加速しており、最近ではケニアの一部地域で干ばつにより食糧難が深刻化し人々が避難を余儀なくされています。

同時に、アフリカ大陸はインフラが未発展な国も多く、いまだに残る豊かな自然資源と多様な生態系を活用し、カーボンクレジット市場において重要な役割を果たす潜在力を持っており、アフリカのカーボンクレジット市場の注目が高まっています。

(後編では、現在アフリカで実際にどのようなカーボンクレジットのプロジェクトが行われているのかをご紹介します。)

カーボンクレジットとは何か?

カーボンクレジットとは、植林などの活動を通して生まれた二酸化炭素などの温室効果ガス(GHG)の排出量を削減または吸収する効果に対するクレジット(排出権)を、企業間などで売買取引ができる仕組みのことです。

これらのクレジットは、企業や個人が持続可能なプロジェクトをサポートすることで生成されます。
カーボンクレジットは、各国政府やVerraなどのNPOが発行します。プロジェクトの種類にもよりますが、例えばEUのカーボン価格は2019年は二酸化炭素換算で削減量1トンあたり20€前後だったものが徐々に上昇し、2023年には過去最高価格の100€を記録しています。

アフリカのカーボンクレジット市場の特徴

アフリカ大陸では、森林保全や再生可能エネルギーなどのプロジェクトが、カーボンクレジットの生成源として注目されています。例えば、森林の保護や再植林プロジェクトは、二酸化炭素の吸収を促進し、これがクレジットの生成につながります。

実際のプロジェクトでは、Circular Economyの水プロジェクトはウガンダで清潔な水のための井戸の再生のプロジェクトを行い、カーボンクレジットを発行していています。
この清潔な水プロジェクトは、ウガンダで井戸を特定し修復するために現地コミュニティと協力しています。これにより、コミュニティや世帯により地元の安全な水源が提供されます。これは最も必要としている人々やコミュニティに安全な水を提供します。井戸を利用することで、浄化のために水を沸騰させる必要が減少することから、二酸化炭素排出の減少を可能にします。

また、ソーラーや風力発電などの再生可能エネルギープロジェクトも成長しており、これらは地域の持続可能な開発を支援するだけでなく、クリーンエネルギーの普及を促進しています。

アフリカのカーボンクレジット市場の課題と機会

大きなポテンシャルを抱える中、アフリカのカーボンクレジット市場は、いくつかの課題に直面しています。その中には、技術力やインフラの不足、政治的・経済的な不安定さ、そしてプロジェクトの認証や測定の複雑さが挙げられます。これらの要因は、市場の成長を妨げる一因となっています。

アフリカのカーボンクレジット市場は大きな成長機会を秘めています。
例えば、中央アフリカの大きな熱帯雨林のコンゴ盆地の密林は、年間で6億トンの炭素を吸収しているといわれています。これは地球上のどの森林生態系よりも多い量です。地域の持続可能な開発への需要が高まる中、アフリカの豊かな森林の保護やクリーンエネルギーなどのプロジェクトへの投資が増加しています。これにより、地域経済の成長を促進し、同時に気候変動への対応も進めることが期待されています。

アフリカカーボンクレジット市場の将来展望

アフリカのカーボンクレジット市場は、持続可能な開発目標の達成や気候変動対策の推進において重要な役割を果たす可能性を秘めています。国際的な取り組みや投資の増加により、この市場はさらなる成長を遂げ、地域社会の発展と環境保護を両立させることが期待されます。

フィナンシャル・タイムズによると、現状は世界全体のカーボンクレジットの中で11%のみがアフリカ発のプロジェクトですが、2030年には3億カーボンクレジットの発行を目指しています。

また、カーボンクレジット関連市場の成長も見込まれます。2023年9月にはCYNKというアフリカで初のカーボンクレジット取引所がオープンしました。まだ取引できるプロジェクトは少ないですが、今後も注目です。

後編では、現在、ルワンダとコンゴ民主共和国で行われているカーボンクレジットのプロジェクトを詳しくご紹介します。

最後に

今後アフリカ各国でカーボンクレジット関連のプロジェクトは増加が見込まれ、それに伴いカーボンクレジットの取引も活発になっていくのではないでしょうか。以上のようなアフリカの最新情報、リサーチにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください!

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青木 文
青木 文
ナイジェリア在住。ナイジェリアでSaaS事業の立ち上げ後、現在はフィンテック関連企業の事業開発に従事。

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