カーボンクレジット市場は、2030年に世界全体で最大1800億ドル(約26兆円)になると予測されています。その中でも特に、前回の記事でもご紹介したアフリカは、カーボンクレジットの供給源として注目されています。
今回は、アフリカで実際にどのようなプロジェクトが行われているのかをご紹介します。
ルワンダの電力問題解決に挑むNuru Energy
Nuru Energyは、ルワンダなどの途上国で持続可能なエネルギーアクセスを提供する非営利組織です。この組織は、地元のコミュニティに対して、手頃な価格でエネルギーソリューションを提供することを目的としています。
Nuru Energyは、ソーラーシステムを活用した携帯可能なソーラーパネルや、充電式の照明デバイスが含まれている発電ソリューションを提供しています。これらのシステムは再充電が可能で、未電化地域において、サステナブルな電力供給を可能にしています。
彼らの取り組みは、エネルギー貧困(冷暖房や調理、照明など、生活に必要なエネルギーサービスを十分に享受できない状態のこと)を緩和することを目指しています。クリーンで手頃な価格のエネルギーが提供されることで、コミュニティメンバーは安全かつ効果的な照明を利用でき、夜間における活動や学習が促進されます。
また、非営利組織として、持続可能なビジネスモデルを築くことに焦点を当てています。地元のコミュニティと連携し、地域のニーズに合わせたソリューションを提供することで、エネルギーアクセスの向上を実現しています。
Nuru Energyのコンゴ民主共和国におけるカーボンクレジットプロジェクト
ルワンダを拠点として活動しているNuru Energyですが、ルワンダとの国境付近にあるコンゴ民主共和国のゴマという町で、Peace Renewable Energy Credits(P-REC)のプロジェクトを設立しました。P-RECは、プロジェクトに関連する社会的および経済的共同利益に対するエネルギーピースパートナーズ(EPP)による追加認証を持つ国際再生可能エネルギークレジット(I-REC)です。P-RECは、再生可能エネルギーの普及を未電化地域に拡大し、生活の質を向上させることを目的としています。
コンゴ民主共和国(DRC)は、電化およびエネルギー消費の割合が世界でもっとも低い国の一つです。現状、国が供給する電力網が未整備のため、拡大する需要の3GWのうちの三分の一しか賄えていません。
2020年2月、P-RECの初の販売がコンゴ民主共和国東部のゴマで新しい資金を提供しました。これらのP-RECは、Nuruが建設した1.3MWの太陽光発電のミニグリッドから発行されました。この取引の収益は、ミニグリッドに沿って35の街灯の設置する資金を提供するために使用されます。2020年3月時点で、約2万8,000人、Ndosho地区の人口の約三分の一以上が、このプロジェクトにより生活の改善を実感したそうです。また、2023年7月には、IFCなどから40億ドルの資金調達を行い、さらなる拡大が計画されています。
アフリカでのカーボンクレジットのプロジェクトが抱える課題
今後もアフリカではカーボンクレジットのプロジェクトが活発に発足されていくと期待されていますが、まだまだ多くの課題があります。
例えば、カーボンクレジットを取得するためには、特定のプロジェクトを実施し、二酸化炭素排出を減少させる必要がありますが、そのために必要な資金や技術の不足がボトルネックとなります。
また、カーボンクレジットの認証プロセスは複雑であり、国際的な基準に合致する必要があります。これらの基準に適合することが難しく、適切なガイドラインやサポートが不足している現状があります。
まとめ
今回は、アフリカのカーボンクレジットにおけるプロジェクトや課題についてご紹介しました。
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