地球上で2番目に大きなアフリカ大陸。約3000万㎢の広大な地には56の国や地域が存在し、13億人が居住します。アフリカでは2000以上の言語が話されていると言われていて、最も文化の多様性に富んだ大陸でもあります。例えば、ナイジェリアでは520もの言語が、次いでカメルーンでは277、コンゴ民主共和国では214の言語が話されています。また、アフリカでは多くの民族が居住することに加えて、植民地支配によりヨーロッパの言語を受け入れてきた歴史があり、その言語事情は複雑です。同じ民族同士で話す母語、同じ国の中で別の民族の人とコミュニケーションをとるために使う母国語、行政手続や高等教育で必要な公用語など、アフリカでは2つ以上の言語を話せるのが当たり前のように見られます。バイリンガルもトリリンガルも全く珍しいものではありません。
アフリカで最も話されている言語 (第2言語として話す人を含む)
そんな多様性溢れるアフリカで、最も話されている言語をご紹介します。
前提として、「話す」といってもネイティブスピーカーからノンネイティブスピーカーまで、流暢さのレベルは様々で、正確に「話す」人数を把握するのは難しいため、様々なソースを参考にした推定人数となります。
まずは、第2言語として話す人も含んだ、アフリカで最も話されている言語をご紹介します。植民地支配の影響で、英語やフランス語などヨーロッパ言語が共通言語として広く使われていることがわかります。
アラビア語:推定2億人
アラビア語のネイティブスピーカーだけでアフリカに1億4000万人以上いると言われています。これは世界のアラビア語ネイティブスピーカーの62%にあたります。第2言語として話す人も5000万人~1億1000万人いると推測されます。北アフリカの11の国で公用語として採用されていて、エジプト、チュニジア、リビア、モーリタニア、スーダン、アルジェリア、モロッコなどで話されています。
英語:推定1.3億~2.5億人
アフリカの英語スピーカーは推定1億3000万人以上いるといわれています。ただし、流暢でないレベルも含むと、何倍もの英語スピーカーがいると推測されます。旧イギリス領の国の多くが英語を公用語として採用し、アフリカ56の国・地域のうち27で公用語もしくは第2言語として話されています。ネイティブスピーカーはアラビア語やスワヒリ語と比較すると少なく、多くは第2言語として行政やビジネスの場で広く使われています。
英語を公用語もしくは第2言語とする主要国には、南アフリカ、ナイジェリア、ガーナ、カメルーン、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、ウガンダ、マラウィ、ボツワナ、タンザニア、ルワンダ、ブルンジ、モーリシャス、ナミビアなどが挙げられます。
スワヒリ語:推定1.5億~2億人
UNESCOによると、2023年時点で世界には2億人を超えたスワヒリ語スピーカーがいるとも言われています。タンザニアとケニアでは国語として、ウガンダとルワンダでは公用語として採用されています。東アフリカ・中央アフリカ・南部アフリカの人々に広く共通言語として使われていて、2022年にアフリカ連合(AU)は英語やフランス語などに並んでスワヒリ語をオフィシャル言語として採用しました。映画ライオンキングで使われている「ハクナマタタ」や「シンバ」や「プンバ」はスワヒリ語で、皆さんにも馴染みがあるかもしれません。
フランス語:推定1.3億人
世界で3億人いるフランス語スピーカーのうち、44%にあたる1億3000万人以上がアフリカにいるといわれています。アフリカで進む人口増加を考慮に入れると、2050年には世界のフランス語スピーカーの85%がアフリカの人になる予測です。旧フランス領の20の国がフランス語を公用語として採用しています。主要国としては、コンゴ民主共和国、アルジェリア、モロッコ、セネガル、リビア、カメルーンなどが挙げられ、西アフリカや中央アフリカで広く第2言語として話されています。
西アフリカのピジン英語:推定7500万人
ナイジェリア、ガーナ、ギニア、カメルーンなどの西アフリカで主に話されるピジン英語。ピジン英語とは、英語と現地語が混ざって派生された言語で、特に若者の間で使われています。どの国でも正式な言語として採用されていませんが、ナイジェリアだけで7500万人のピジン英語スピーカーがいると言われています。2016年にはBBCがピジン英語を採用し、ナイジェリアを中心に西アフリカにニュースを届けています。
ハウサ語:推定7000万人
ハウサ語は主に西アフリカで共通言語として話されている言語です。ナイジェリア北部、ニジェール南部、ガーナ北部などで話され、第2言語として話す人も含めると推定7000万人以上がハウサ語を話すと言われています。
ヨルバ語:推定4500万人
ヨルバ語は主に西アフリカで共通言語として話されている言語です。主にナイジェリア南部や中央部で話され、推定4000万人以上がヨルバ語を話すと言われています。
ポルトガル語:推定4000万人
アフリカのポルトガル語スピーカーは推定4000万人と言われています。旧ポルトガル領であるアンゴラ、モザンビーク、赤道ギニア、サントメプリンシペなどで公用語として採用されています。
最も話されているアフリカ言語 (母語のみ)
続いて「母語」として最も話されているアフリカの言語と地域をご紹介します。
言語 | 地域 | 主要国 |
アラビア語 | 北アフリカ | エジプト、チュニジア |
ベルベル語 | 北アフリカ | アルジェリア、モロッコ |
スワヒリ語 | 東アフリカ | タンザニア、ケニア |
ハウサ語 | 西アフリカ | ナイジェリア、ニジェール |
ヨルバ語 | 西アフリカ | ナイジェリア |
フラ語 | 西アフリカ・中央アフリカ | セネガル、ガンビア |
イボ語 | 西アフリカ | ナイジェリア |
オロモ語 | アフリカの角 | エチオピア |
アムハラ語 | アフリカの角 | エチオピア |
ソマリ語 | アフリカの角 | ソマリア、エチオピア |
ズールー語 | 南部アフリカ | 南アフリカ |
ショナ語 | 南部アフリカ | ジンバブエ |
上記でご紹介したのは、アフリカに2000以上あると言われている言語の中でも、1000万人~2億人のスピーカーがいる主な言語です。
100万人以上のスピーカーがいる言語は2000のうち75程度で、多くの言語は文字を介さず口語で受け継がれています。しかし、グローバリゼーションと都市化の波によって、小規模の言語は絶滅の危機に直面していると言われています。
まとめ
2000以上の言語が存在するアフリカで、最も話されている言語を二つの視点でご紹介しました。旧植民地国であるヨーロッパの言語が広く共通言語として使われている一方で、母語として話されていることばを理解することは、その多様な文化を理解することにも繋がります。
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<参考文献>
University of Kansas Libraries
UNESCO “World Kiswahili Language Day”
BBC “Why the future of French is African”
BBC “Pidgin- West African lingua franca””
Oxford Research Encyclopedias “Language Endangerment in Africa”
LINGVIST “The most spoken international languages and lingua francas of Africa”