2023年11月に開催された“ネットショップ担当者フォーラム 2023 秋 in 東京”にて、「越境EC1000億円までの軌跡」をテーマに、株式会社ビィ・フォアード(以下、BF)代表取締役の山川博功がセミナー登壇いたしました。講演は、越境ECに詳しい、世界ヘボカン株式会社 代表取締役の徳田祐希氏が聞き手となり、ディスカッション形式で行われました。
前編の今回は、講演内容をもとに、越境ECでの商品選び、販売数や在庫管理、投資といった観点からビジネスを成功に導くポイントをご紹介します。
(後編では輸送手段の開拓や現地でのマーケティング、越境ECから派生したビジネス展開についてご紹介します。)
株式会社ビィ・フォアードについて
越境ECサイトによる中古自動車・自動車部品の輸出販売を手掛けています。
ネット通販売上高ランキング国内13位。越境ECサイトとしては、2位以下を大きく引き離し、日本国内第1位。(出典:日本ネット経済新聞(2023年版))
第20期(2022年7月~2023年6月)の決算において、創業初の売上高1,000億円を突破しました。
現在、世界200以上の国や地域にマーケットを拡大。越境EC事業を通して構築したネットワークを活用し、中古車輸出プラットフォーム、海外輸出代行サービス(ポチロジ)、アフリカビジネス進出サービス等の事業も展開しています。
売れる商材やサービスに気付く
当然のことですが、お客様に欲しいと思われるものは売れます。ニーズのある商品を提供することは、ビジネスの基本です。越境ECにおいても、売れる商品やサービスに気付き、それを選ばなければ成功への道のりは困難です。
BFでも、日本の中古車が売れるのであれば、日本の高品質なPCや携帯電話も売れるのでは?という考えからそれらを販売したことがありましたが、そちらは不発に終わりました。
商材を選ぶ際には、自分たちが売りたいもの、自分たちの思い込みではなく、お客様が本当に欲しているものを理解することが必要です。
販売がうまくいかないときには、広告や登録者数など、集客の部分に目を向けがちです。しかし、それ以前に、お客様の欲しいものは何か?課題は何か?をまず考えます。
そういったニーズは、日ごろの、お客様とのやり取りの中にあります。そこに片目をつぶって見なかったことにしてしまうのではなく、きちんと気付いて対応していくことが、ビジネスを成功に導くカギとなります。
日本から行きづらい場所を目指す
BFは、世界207の国や地域との取引実績があります。アフリカやカリブなど、日本からの直行便はなく、乗り継ぎが2~3回必要で、到着まで1日半~2日かかるような国や地域も含まれています。そして、そのような国々が主要な販売先でもあります。
ECの中の世界においては、現実的な距離は問題ではありません。
日本になじみがない国や地域だからこそ、商品やサービスに興味を持ってもらえる可能性があります。また、競合他社も進出しにくいからこそ、大きなビジネスチャンスが広がっています。
人が行きづらい・行かない場所は、物も流通しづらい場所です。そのような場所では、物流ネットワークを持っていることがビジネスに優位に働きます。
その中で、商品やサービスを購入していただいて、お客様のもとにきちんと届けること。現地で信頼されるサイト、企業になること。そうして、知名度が高まり、集客できることが強みとなっていきます。
適正な販売価格を守る
BFは、年間約13万台を世界各国へ輸出販売しています。
(比較参考:国内新車販売台数「三菱」年間約9万台、「スバル」年間約10万台)
この約13万台という台数は、BFの事業にとって、最も利益が高く、コストを抑えられる台数です。
現状、マーケットは広げますが、販売台数は増やさない方針です。販売台数を増やすことは可能ですが、むやみに増やすことはしません。
中古車市場には、市場価格が存在します。その適正価格を必要以上に引き下げたり、引き上げたりすることはしません。値引きのリスクを負うことなく、確実に利益を取ることを大切にしています。
在庫管理を徹底する
商品を仕入れて売る場合、短い期間で売って利益を上げることは大切なポイントです。
BFの販売する中古車は、在庫日数がかかると値下げをし、粗利が落ちます。
他社の商品の代理掲載ではなく、自社の在庫としてサイトに掲載して販売する場合、BFの商材である自動車は、ヤード(自動車輸出のための作業をするための施設)に保管する必要があるために、保管する期間が長くなればなるほどコストが掛かります。
商材によって、コストや消費期限は異なります。商材に適した方法で、在庫管理を徹底することで、無駄なコストを省きます。
適切なタイミングで、適切に投資する
BFのECサイトは、独自のECシステムを採用し、売る側、買う側ともに利用しやすく開発しています。サイトで使いにくいところは先回りして改善し、常にお客様の使いやすさを追求しています。
BFの売り上げは、2009年~2013年までの5年間で13億円から500億円に成長しました。
この急激な成長のきっかけは、システム開発です。人の手では足りないところもあり、急成長した当時、得た利益をすべて投じるほどの姿勢で開発を進めました。
中古車業界では、システム開発に巨額の投資をする会社は少なく、競合があまり気にかけないところに注目したことでも他社との差別化が進みました。
2011年ごろからは、SEOやリスティングといったデジタルマーケティングへの投資も開始。
当時、主要な販売先であるアフリカ大陸の国々に向けて広告を配信している会社が少なかったため、クリック単価が安かったことも追い風となりました。
適切なタイミングで、適切に投資することが、ビジネスの成長へとつながります。
まとめ:越境ECでビジネスを展開するためには?
前編の今回は、越境ECでの商品選び、販売数や在庫管理、投資といった観点からビジネスを成功に導くヒントをお伝えしました。(後編では、輸送手段の開拓や現地でのマーケティング、越境ECから派生したビジネス展開についてご紹介しています。ぜひそちらもあわせてご覧ください。)
日本発の越境ECには、将来的なビジネスチャンスが広がっています。
越境ECや海外へのビジネス進出をご検討中の企業様は、ぜひBE FORWARDまでお問い合わせください。
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