金曜日, 9月 13, 2024

アフリカ最新情報 GDPに見る地域別の成長実績と今後の見通し

近年、新型コロナウイルスの世界的な流行、ロシアによるウクライナ侵攻、気候変動や異常気象の増大など、世界情勢や経済に大きな影響を与える出来事が次々と起きています。

混乱する世界状況の中、アフリカは今どのような影響を受けているのでしょうか?

今回は、アフリカの地域別の成長実績と今後の見通しについて、アフリカ開発銀行の最新データをもとにご紹介します。

世界平均を上回るアフリカのGDP成長率

アフリカの2022年の実質国内総生産(GDP)成長率は3.8%と推定され、2021年の4.8%から低下しました。

2022年は、アフリカ54カ国のうち31カ国が2021年よりも低い成長率を記録しました。

成長率低下の主な要因は、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱による世界的な経済成長の抑制、金融引き締めが挙げられます。また、新型コロナウイルスによる後遺症や医療ひっ迫の影響、気候変動や異常気象の影響増大も成長を阻害しました。

しかし、世界のほかの国や地域と比較すると、アフリカのGDP成長率3.8%は、世界平均の3.4%を上回っています。

成長率の見通しは引き続きポジティブで安定しており、2023年には4%に回復し、2024年にはさらに4.3%に加速すると予想されます。

アフリカ開発銀行の予測では、2023年に成長率が5%を超えるアフリカ諸国は18カ国に上り、2024年には22カ国に増える見込みです。

東部アフリカの成長に注目! アフリカ地域別の状況

中部アフリカ(コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、カメルーンなど)

2022年の推定5.0%から2023年には4.9%に、2024年には4.6%に低下する見通しです。
低下の要因として、コモディティ※価格が2022年のピークから下落傾向にあることを反映しています。中部アフリカの国々はほとんどがコモディティ輸出国であり、コモディティ価格の変動は、これらの国がコモディティ輸出に依存していることに伴うリスクを示唆しています。

※コモディティ
原油や天然ガスなどのエネルギー、銅や鉄鉱石などの工業用金属、金やプラチナなどの貴金属、あるいは木材や小麦などまで含め、商品先物として取引されているもの。

東部アフリカ(ケニア、タンザニア、ルワンダ、エチオピアなど)

成長率は、2022年の推定4.4%から2023年には5.1%に、2024年には5.8%に上昇する見通しです。
東部アフリカでは、南スーダン以外のすべての国において、2023年の成長率は上昇が予想されています。

先ほどご紹介した中部アフリカとは対照的に、東部アフリカの多くの国はコモディティ輸入国であり、価格の下落はGDP成長率にプラスに働きます。

東部アフリカでは、ICTによる国づくりが進むルワンダや、世界的な都市でもあるナイロビを首都とするケニアなど、経済構造の多様化が進んでいる国があります。

この2国については、以前のブログ記事でも詳しくご紹介しています。
・ルワンダ:https://africabusiness.beforward.jp/africabusiness-rwanda/
・ケニア:https://africabusiness.beforward.jp/news-kenya-startup-incubation/

資源のみに頼らず経済の成り立ちが進むこれらの国々は、新型コロナウイルスの影響からも力強く回復し、大幅なGDP成長率を達成する見込みです。

北部アフリカ(エジプト、モロッコ、リビア、チュニジアなど)

成長率は、2022年の推定4.1%から2023年には4.6%に上昇し、2024年には4.4%となる見通しです。2023年の上昇は、主にモロッコリビアの力強い回復によるものです。モロッコは壊滅的な干ばつ、リビアは石油生産の変動から回復を果たす見込みです。

南部アフリカ(南アフリカ、モザンビーク、ナミビア、ボツワナなど)

成長率は、2022年の推定2.7%から2023年には1.6%に下落すると予想されます。

要因としては、南部アフリカ最大の経済国である南アフリカで、高金利や、絶え間ない停電によって経済活動が停滞している影響があります。南アフリカの成長率は、2022年の推定2.0%から、2023年には0.2%へと低下する予測です。

しかし、適切な政策介入があれば、2024年には成長率が2.7%に回復する可能性があります。

西部アフリカ(ナイジェリア、ベナンコートジボワール、ガーナなど)

成長率は、2022年の推定3.8%から、2023年には3.9%、2024年には4.2%に上昇する見込みです。

西部アフリカの経済の中心は、ナイジェリアです。人口2億人、単独の国としてはアフリカ最大のGDPを誇る国ですが、2022年には、消費者需要の低迷や原油生産量の大幅減少によって成長が減速しました。2023年2月に大統領選挙が行われ、新しい政策や方針のもと、今後は石油生産が回復し、経済成長を後押しする可能性もあります。

また、西部アフリカ地域には、新型コロナウイルス流行以前にアフリカ経済上位国であったベナン、コートジボワールも位置しています。この2国は2023~24年の世界の経済成長率上位10カ国に復帰する見込みです。

まとめ

今回は、近年のGDP成長率の変化をもとに、アフリカの各地域や国についての状況についてご紹介しました。 

不安定な世界情勢の影響を受けながらも、アフリカはその成長を維持し、将来的にも希望がある地域と言えそうです。

アフリカへのビジネス進出をお考えの際には、商品やサービス内容に合わせて、刻々と変わる経済状況を鑑み、最適な国、都市を検討する必要があります。

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参照元:
アフリカ経済見通し2023 (アフリカ開発銀行資料)

浅見 佳
浅見 佳
大学時代バックパッカーとして各地を旅行したことから海外に興味を持ち、2017年に世界一周旅行を経験。訪日外国人へのインタビュー番組のラジオパーソナリティ、海外大学進学に関するイベント運営、貿易事務や翻訳など海外と関わる仕事に幅広く携わる。現在は、中古車輸出販売で世界から注目を集める㈱ビィ・フォアードのデジタルマーケティング部にて、オンライン集客などに従事。

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