アフリカでは急速な経済成長が進む一方で、貧困や感染症など、多くの社会問題を抱えています。これらの課題は人々の生活に悪い影響を与え、経済発展を阻む要因です。
近年、社会的な課題を支援ではなく、ビジネスの力で持続的に解決しようとする取り組みが広がっています。「ソーシャルビジネス」と呼ばれる新たな動きです。
ソーシャルビジネスでは、現地における課題やニーズをきちんと理解し、社会的な問題の解決と収益性の両立を目指します。単なる慈善活動ではなく、アフリカの人々の生活を根本から変える力を持っています。
この記事では、
・アフリカが抱える社会的な課題
・アフリカで問題解決に取り組むソーシャルビジネスの事例7選
を解説します。
ソーシャルビジネスの動きを知れば、日本企業がアフリカへの進出を成功させるポイントも見えてきます。
アフリカにおける新しいビジネスの可能性に関心をお持ちの方は、この記事をぜひご覧ください!
アフリカが抱える5つの社会課題

アフリカは世界でもっとも若い大陸といわれ、労働力と資源が豊富な地域です。しかし同時に、多くの社会問題があるために、経済の発展が難しい地域とも見られてきました。
特に大きな社会課題として、
・貧困と所得格差
・感染症と脆弱な医療体制
・教育アクセスの格差
・インフラ整備の遅れ
・環境と気候変動
の5つがあげられます。
貧困と所得格差
アフリカでは、依然として多くの人々が貧困に苦しんでいます。サハラ以南の地域では、人口のおよそ半分が1日1.9ドル(およそ285円)未満で生活しています(世界銀行、2021年)。
特に、都市と農村の間では大きな所得格差があります。農村では雇用の機会が少なく市場へのアクセスも限られており、貧困に陥りがちです。
若者人口の急増にもかかわらず雇用が十分に創出されていない国では、貧困や失業が社会不安・治安悪化の原因にもなっています。
感染症と医療体制の脆弱さ
アフリカはマラリアや結核など、感染症による負担が大きい地域です。新型コロナウィルス感染症の影響で、医療体制の脆弱さも改めて浮き彫りになりました。
特に地方部では医療設備や医薬品が不足しており、適切な治療を受けられない人が数多く存在します。
医療にアクセスできない社会は、健康を損なうのはもちろん、労働生産性や教育機会を失うことにも直結します。
教育機会の格差
アフリカの国々では、依然として大きな教育格差が存在しています。
教育水準を表す指標の一つは、文字が読み書きできる人口の比率を表す識字率です。アフリカの識字率は他の地域よりも低いことが知られています。国ごとに見ると、ケニアやタンザニアの識字率は80%を超える一方で、20〜30%台の国もあります(総務省)。
特に農村地域や低所得層の子どもは学校に通うのが難しく、質の高い教育を受けられない状況があります。
教育水準が低い理由として、教師が足りていない点や教育インフラが整備されていない点が課題です。
高等教育を受け専門的スキルを持つ指導者が不足すれば、経済成長にとって必要な人材育成が遅れてしまいます。
インフラ整備の遅れ
アフリカの多くの地域では、生活や生産活動に必要なインフラ整備が行き届いていません。特に、電力や道路・物流に関するインフラは経済活動への影響が大きいです。
電力不足は多くの国で深刻な問題です。世界銀行の推計によると、サハラ以南に暮らす人々のうち、5.8億人以上が電気を利用できていません。
道路や港湾、物流ネットワークも未整備の地域は多いです。こうしたインフラの不足は事業展開を難しくし、市場へのアクセスを妨げています。
環境問題と気候変動
気候変動は農業に大きな打撃を与えており、アフリカも例外ではありません。干ばつや洪水が食料不足を引き起こし、安全な生活が脅かされています。
都市部ではごみの処理問題も深刻です。アフリカでは都市エリアを中心に経済が発展していますが、それに伴いごみの量も急増しています。環境問題は健康を悪化させ、生活への不安も大きくさせてしまう効果も持っているのです。
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ソーシャルビジネスがアフリカで活躍する理由

アフリカの社会課題はどれも深刻で対応が迫られています。一方で、問題解決の手段として、ソーシャルビジネスが成果を上げやすい環境が整いつつあります。
ここでは、
・ソーシャルビジネスが広まる背景
・なぜソーシャルビジネスが課題解決の手段として活躍するのか
について解説しましょう。
援助からビジネスへ:持続可能な解決への取り組み
過去、アフリカにおける課題解決に向けた取り組みは、国際機関や先進国からの援助に頼るケースがほとんどでした。
しかし、援助だけでは継続した取り組みが難しいという問題点があります。課題解決が一時的なものに終わってしまうケースが少なくありません。
そこで近年は、「援助からビジネスへ」といった流れが加速しています。社会課題を解決する活動をビジネスとして成立させ、収益を上げながら続けられる仕組みが注目されているのです。
こうした仕組みをソーシャルビジネスと呼んでいます。
モバイル社会と若年層主導の起業文化
アフリカでは、固定電話や従来型のインフラが未整備な状態が長く続きました。しかし近年は、携帯電話やモバイルマネーがとても速いスピードで普及しています。
こうしたサービスにより、製品やサービスにアクセスできる消費者が増え、市場が拡大しています。金融・教育・医療など多くの分野で新しいサービスが生まれやすくなったのです。
さらにアフリカでは、人口の6割以上を若年層が占めています。若い人々は起業に積極的で、ITを活用したスタートアップが各地で誕生しています。若者主導の起業文化も、ソーシャルビジネスが広がる重要な原動力です。
社会的価値と収益性を両立するソーシャルビジネス
ソーシャルビジネスの特徴は、「社会的価値」と「収益性」の両立を目指す点にあります。援助やボランティア活動とは異なり、事業を続けるためには収益を生み出す仕組みが欠かせません。
ソーシャルビジネスの定義は人によって少しずつ異なりますが、経済産業省はソーシャルビジネスを
・社会性(解決が求められる課題に取り組む)
・事業性(社会性をミッションに事業を続ける)
・革新性(商品提供の仕組みを開発し、新たな価値を創出する)
を兼ね備える事業と定義しています。
アフリカは未解決の課題が多いからこそ、事業性と社会性・革新性とを両立させたビジネスが生まれやすいとも言えます。
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アフリカの社会課題を解決するソーシャルビジネスの事例7選を紹介!

アフリカのさまざまな国で、社会課題を解決するためのソーシャルビジネスが活躍しています。多くの取り組みの中でも、ぜひ知っておきたいビジネスの事例7選を紹介しましょう。
【ケニア】M-KOPAによる電力・金融インフラの供給
ケニアではM-KOPAが、電力インフラが不足する農村地域向けに、ソーラーパネルや家庭用電力機器を「分割払い」で提供しています。
利用者はモバイルマネーを使って、毎日少額ずつ料金を支払います。初期費用の負担を抑えることが可能です。この製品には、LEDライトやラジオ、充電用のUSBポートなどがついています。
M-KOPAのサービスにより、多くの家庭で照明や通信を利用できるようになりました。ケニア国内だけでもすでに500万人以上が恩恵を受けています。さらに、2024年には1.6万人分の雇用を生み出すなど、現地の経済にも貢献しています。
●関連記事:M-KOPAを取り扱っている過去の関連記事一覧
【ナイジェリア・ケニア】uLessonやEneza Educationによる教育サービスの提供
ナイジェリアのuLessonやケニアのEneza Educationは、モバイルアプリとSMSを活用して教育機会を提供するサービスです。
uLessonは動画授業や演習問題をスマホ・タブレットを通じて配信し、生徒の理解度を高めます。
EnezaはSMS(ショートメッセージサービス)を活用して、学習問題を配信したり教師と交流ができるサービスです。SMSを使うことで、インフラが脆弱な農村部でも、子ども達が教育を受けやすい環境を作っています。
IT・デジタル技術を活用したこれらのサービスは、アフリカにおける教育格差の解消に大きく貢献しています。
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【ルワンダほか】Ziplineによる医療アクセスの革新
米国のカリフォルニアで立ち上げられたZiplineは、ルワンダでドローンを活用し、医薬品を即日配送するビジネスモデルを開発しました。
ルワンダは交通事情が悪く、75%の道路が未舗装で雨季には走れなくなってしまいます。インフラが未整備でも、ドローンであれば迅速に血液やワクチンを届けられるため、医療水準が大きく改善しました。
政府と連携して全国規模で展開しており、他国にもサービスが広がりつつあります。
●関連記事:Ziplineを取り扱っている過去の関連記事一覧
【エチオピア】GreenPath Foodが取り組む有機農業と環境保全
GreenPath Foodは、小規模農家と協力しながら有機農業を推進し、国内・海外向けに作物販売を支援する事業です。
具体的には農家に対して、
・EUにおけるオーガニック作物の認定
・野菜や果物栽培の技術指導
などに取り組んでいます。
農家に安定的な収入をもたらすと同時に、環境保全にも寄与しています。持続可能な農業と輸出ビジネスの両立を実現しているプロジェクトです。
【ナイジェリア】Releafによる農業の流通改革へ向けた挑戦
Releafは、ナイジェリアでパームナッツ(油やし)の加工や流通の効率化にチャレンジする企業です。
パームナッツ農家と加工工場の間を取りもち、油やしのサプライヤーとして機能を果たしています。工場では加工・製造プロセスの効率化にも取り組んでいます。
安定してパームナッツを出荷できる環境を整えることで、産業の工業化を進め、生産性向上に寄与しています。
【ブルンジ】Kaze Green Economyによる廃棄物と気候変動への対策
Kaze Green Economyはブルンジにおいて、廃棄物を代替的な木材や再生燃料へとつくり変え、販売するビジネスを展開しています。
例えば、とうもろこしの芯など、家庭から出る生ごみや農業で生じたくずを集めます。こうした廃棄物を、環境負荷の低い木炭や燃料にして地域に提供しているのです。
地域における廃棄物処理の問題を解決すると同時に、雇用の機会をつくり出したり、気候変動対策にもつながっています。
【エジプト】Manshiyet Nasrによる都市ごみ回収とリサイクル
エジプトの首都カイロでは、Manshiyet Nasr地区で始まった取り組みを通じて、都市ごみ回収と資源リサイクルを若者主体で進めています。
この地区はカイロで生じたごみの80%が集まると言われ、「カイロのごみの街」と呼ばれていました。しかし、街に住んでいた若者たちが率先してプラスチックごみの削減やリサイクルに挑戦し始めました。
現在では、リサイクルに取り組む地域として知られています。環境問題への挑戦としてはもちろん、地域に暮らす住民たちの誇りを取り戻す活動としても注目されている取り組みです。
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日本企業がソーシャルビジネスから学ぶべきヒントとは?

アフリカにおけるソーシャルビジネス事例からは、日本の企業にとっても学ぶべき点が多くあります。
重要なのは、自社の強みとアフリカにおける課題をどう結びつけるかです。
例えば、日本の技術力を活かして医療機器や農業機械を提供すれば、社会課題を解決するのに貢献できるかもしれません。
アフリカでの課題解決に取り組めば、社会的意義も大きく評価されます。現地の人々に歓迎されるビジネスは、長い目で見れば安定した収益にもつながります。
社会課題の解決を「事業を成長させる機会」と捉える発想が、今後の国際ビジネスで競争力を持つ鍵になるでしょう。
アフリカ市場への進出はリスクも伴います。そのため、いきなり大規模投資を行うのではなく、「小さく始めて現地と協働する」ことが現実的な戦略です。
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アフリカビジネスへの進出を支援します!
これまで見てきたように、アフリカ市場には大きな可能性があります。一方で、社会における課題や現地における事情の分かりづらさから、いきなり参入するのはリスクも伴います。
特に日本企業にとっては、信頼できる現地パートナーを探し出すのが難しく、大きなハードルとなっています。
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参考資料
AerialFutures: Zipline
Forbes “How Kenya’s M-Kopa Brings Prepaid Solar Power To Rural Africa”
The Guardian “Young, educated and knee deep in rubbish: the recyclers cleaning up in Cairo’s Garbage City”
経済産業省 ソーシャルビジネス研究会
世界銀行 “Updated estimates of the impact of COVID-19 on global poverty: Turning the corner on the pandemic in 2021?”
世界銀行グループ “An Evaluation of the World Bank Group’s Support to
Electricity Access in Sub-Saharan Africa, 2015–24″
総務省 世界の統計

