アフリカへのビジネス進出を検討するにあたって、「治安」は重要な判断材料です。
本記事では、アフリカビジネスを成功に導くために、安全性の高い国や地域を徹底的に分析し、現地事情や投資環境を詳しく解説します。
アフリカへの企業進出を考え出すと、多くの方が下にあげるような悩みに直面します。
「アフリカは危険そうだ。ビジネスをできるような場所なのか」
「アフリカで企業進出してみたい国があるが、治安は良いのだろうか」
「南アフリカは経済成長しており興味があるが、治安が悪いようで心配だ」
この記事では、アフリカで治安の良い国・悪い国10選を紹介しましょう。治安が比較的良い国はどこかを知ることができます。
アフリカで治安が悪いとされる国でも、安全に過ごせる地域はあります。ビジネス・観光に向いている治安の良いエリアについても解説します。
一方で、アフリカでの治安を心配する方は、越境ECプラットフォームを活用するのも効果的です。越境ECであれば、現場での治安面での不安を気にせず、ビジネスを始められます。
●関連記事:アフリカ治安ランキングを紹介!アフリカビジネス進出に向けての注意点3選も説明
アフリカビジネスに適した治安が良い国の魅力

治安が良い国はビジネスや観光をしやすく、それだけで魅力的です。ここでは、
・治安が良い国・地域はビジネスや観光の魅力が大きい
・アフリカでは治安の良し悪しを事前に知るべき理由
について、それぞれ説明します。
治安が良い国はビジネス・観光の魅力が大きい
アフリカの治安が良い国・地域は、ビジネスや観光が発展する大きな可能性を秘めています。
治安が良く安全な環境であれば、現地でビジネスに携わる人たちが、視察や商談、ネットワーキングなどを安心して行えます。長期的な事業計画も決めやすいです。
観光客にとっても、治安や観光地の安全性は大きな関心ごとです。安心して街を散策し、現地の文化や食事を体験できるからこそ、旅行を思いきり楽しめます。
治安の良さは、ホテルやレストラン、現地ツアーなどの関連ビジネスを活発にします。ひいては観光産業の発展にもつながるのです。
アフリカでは治安の良し悪しを調べておくべき理由
アフリカでは、治安の良し悪しを事前に調べておくのが大切です。
国によって治安の良さが変わるのはもちろん、同じ国内でも地域によって治安は大きく異なります。
正確な安全情報を持たずに訪問すると、予期せぬリスクに直面してしまうでしょう。治安は時間とともに変わっていくため、最新の状況を把握することが欠かせません。
ビジネスという視点から見れば、治安は事業の収益性・継続性に直結します。
治安が良くない地域では物流・スタッフの安全確保・施設やインフラへの被害に関するリスクも考慮せざるを得ません。こうしたリスクは、事業計画や収益の予測に大きく影響します。
一方で、「アフリカは危ない」と行き過ぎた否定的なイメージを持つのも問題です。実際には安全で、ビジネスチャンスに満ちた地域を見逃してしまうおそれもあります。
重要なのは、事実に基づいて治安についての情報を集めることです。
アフリカにおける治安の良し悪しを知る方法
アフリカにおける治安の情報はどのように知ればよいでしょうか。現地の様子を知るには、下にあげるような複数の情報源を見比べることをお勧めします。
・外務省の海外安全情報(外務省危険情報)
・国際機関のレポートやWebサイト
・日系企業・現地日本人からの情報
治安についてはまず、外務省の海外安全ホームページを見てみましょう。国・地域別の危険情報や、最新の安全対策が提供されています。国ごとにレベル分けされた危険度評価は、治安の状況を知るための基本的な情報です。
国際機関や政府機関などのレポートも有用です。世界経済フォーラムの「旅行・観光競争力レポート」や世界平和指数(Global Peace Index)を見ると、治安を含むアフリカ各国の立ち位置がわかります。
JETROや在外日本商工会議所のさまざまなレポートには、実際のビジネス環境に関する具体的な情報が含まれています。
アフリカに進出している日系企業や、現地在住の日本人コミュニティからの情報も貴重です。ブログ記事や専門家による研究論文なども、有益な情報を提供してくれます。
アフリカビジネスの観点から見る治安が良い国・悪い国10選

アフリカで、治安の良い国はどこなのでしょうか?「危険だ」と言われる国には、安全なエリアはないのでしょうか?こうした疑問に答えていきましょう。
アフリカで「治安の良い国」を、先日公開した「アフリカ治安ランキング」と、海外危険情報をもとに総合的に判断しました。治安の良し悪しという観点で、注目すべき国をピックアップしています。
治安の良し悪しで見ると注目すべき国や地域はどこか、すぐに結果を知りたい方は上の図解をご覧ください。
2025年における治安の情勢とビジネス・観光との関係について、国ごとに詳しく解説しましょう。
治安が良い国
まずは、アフリカでも比較的治安の良い国を7つ紹介します。
・チュニジア
・モロッコ
・アルジェリア
・エジプト
・アンゴラ
・エチオピア
・タンザニア
それぞれの国における治安の様子や、ビジネス・観光に関する最新事情を見ていきましょう。
【治安が良い国1】チュニジア
チュニジアは首都チュニスを中心に、アフリカの中では治安が良好な国です。首都圏では、一般犯罪やテロのリスクはありますが、最新の情報を確認すれば安全に過ごせます。
2025年にチュニスで「FITA 2025」という投資やテクノロジーに関する見本市が開催される予定です。海外からの投資や貿易が促進すると期待されています。
また、GDP成長率は安定しており、2025年には1.6%の成長が見込まれています。
観光面では、2024年に観光客数が大幅に増加しました。2025年も「瞬間を生きる」というキャンペーンを通じてヨーロッパからの旅行者を誘致しています。
ユネスコ世界遺産や美しい海岸線は魅力的で、文化体験や持続可能な観光が注目されています。
【治安が良い国2】モロッコ
モロッコは治安が良好で、観光やビジネスに適した国として注目されています。
首都ラバトは、犯罪率が低く、観光警察や監視カメラの設置など、政府の安全対策が充実している都市です。
ビジネス面では、自動車産業が特に成長しており、年間100万台の生産を目指す計画が進行中です。自動車部門やグリーン水素部門へは海外からの投資がさらに活発になると見込まれています。
2024年のJETROによる調査では、日本企業の約70%がモロッコで事業拡大を計画していると回答しました。特に製造業分野での生産能力の増強や輸出拡大が期待されています。
観光分野では、2025年初頭までに400万人の観光客を迎え入れました。前年同期比で22%増加しており勢いが感じられます。特にマラケシュやシャウエンといった人気都市やサハラ砂漠ツアーが注目を集めています。
【治安が良い国3】アルジェリア
アルジェリアは、首都アルジェを中心とした北部では比較的安全が保たれています。観光地や主要都市での犯罪リスクは低めです。ただし、南部や国境付近ではテロや武装勢力の活動が報告されているため注意が必要です。
アルジェリアは再生可能エネルギーやグリーン水素開発に力を入れています。日本企業を含む、外国企業との連携が進んでいるところです。
観光では、2024年には350万人以上の外国人観光客を迎え、前年より10%増加しました。
政府は観光インフラの整備や新たなビザ制度の導入を進めており、サハラ砂漠やローマ遺跡など多様な観光資源を活用してさらなる成長を目指しています。
【治安が良い国4】エジプト
エジプトの治安は首都カイロを中心に改善している傾向にあります。観光地では警備が強化されていますが、スリや置き引きといった軽犯罪は依然として注意が必要です。
有名な観光地のピラミッドでは以前、観光客が襲撃される事件が起きました。しかし今では、警察が24時間体制で活動しておりテロ事件も減っています。
ビジネス面では、2025〜26年度予算案で医療や低所得者層支援に重点を置くなど、経済改革が進行中です。自動車産業の成長や再生可能エネルギー分野への投資も活発に進んでいます。
観光業は2024年に過去最高の1,570万人の訪問者を記録しました。2030年までに3,000万人を目指す戦略が進められています。
特に新しい観光地の開発やプロモーション活動が効果を発揮しており、日本からの観光客獲得にも注力していく方針です。
【治安が良い国5】アンゴラ
アンゴラの治安状況は改善が進んできています。首都ルアンダでは危険レベルは1となっています(2024年4月12日現在)。ただし依然として犯罪に注意は必要で、特に夜間の外出は慎重にすべきです。
ビジネス面では、アンゴラは2025年に南部アフリカ開発共同体(SADC)の自由貿易できる地域に正式に加盟する予定です。これにより地域内貿易が活性化し、投資機会が拡大してすると考えられます。
また、非石油部門の経済成長率は5.76%と予測されており、天然資源に頼らない経済の構築が進んでいます。
観光に関しては、国際観光展示会FITUR 2025で主要な観光地(カランドゥラ滝やムスロ島など)が紹介されました。国際的なホテルチェーンとの協力を通じて観光インフラの整備が進行中です。
【治安が良い国6】エチオピア
エチオピアは治安、ビジネス、観光のいずれの面でも魅力的な国として注目されています。首都アディスアベバは比較的安定しており、治安は比較的良好です。
ビジネス面では、エチオピア証券取引所(ESX)が設立されました。経済自由化が進み投資環境も整うことで、外国からの投資(FDI)が増えると期待されています。
建設や再生可能エネルギー分野では、展示会も活発に開かれています。たとえば「Big 5 Construct Ethiopia 2025」が開催される予定です。日本企業にとっても、現地で新たなビジネスチャンスを見つける場として期待されています。
観光分野では、政府は新しい観光地開発やインフラ整備を進めています。ラリベラの岩窟教会やシミエン山地などの歴史的・自然的名所に加え、新たな観光地「ベイノウナ村」などが注目されています。
【治安が良い国7】タンザニア
タンザニアは比較的治安が安定しています。首都ダルエスサラームでも犯罪が集中する危険なエリアを避ければ安全に過ごせます。
ビジネス面では、幅広い分野でこれから成長が期待できる国です。現在の主力産業である農業や繊維はもちろん、エネルギー分野でも大規模投資が進み成長すると見込まれています。
都市部を中心にインターネット・モバイル環境が発達しており、フィンテック業界の発展も期待されています。
2024年には国内外から536万人の観光客が訪れました。500万人の観光客を誘致するという政府の目標を前倒しで達成しました。
パンデミックが終焉したことによる旅行需要の増加と、持続可能な観光に対する関心の高まりが要因と考えられます。セレンゲティやザンジバルなど自然豊かな地域が注目を集めています。
治安が悪い国にも安全な地域がある
アフリカには、治安が悪いとされている国もあります。しかし、国全体どこも治安が悪いわけではなく、地域によっては安全にビジネス・観光できるのが実情です。
治安が悪いとよく話題にあがる3つの国で、安全に過ごせる地域を紹介します。
・ケニア
・南アフリカ
・ナイジェリア
ケニアで安全な地域
ケニアの首都ナイロビでは、エリアによって治安の状況は大きく異なります。
高級ホテルや大型ショッピングセンターなどがある地域は、外国人や富裕層が多く住み安全と言えます。逆に首都圏と言えども、スラム街の近くやCBD(都市の中心部)は治安が悪いため、近寄らないようにしましょう。
ケニア東部にある、インド洋沿いのモンバサも比較的安全なエリアと言えます。美しいビーチリゾートとして知られ、観光客に人気の高い都市です。
安全な地域では観光業が盛んで、ナイロビ国立公園やモンバサの歴史的な旧市街など、さまざまな体験が可能です。
ナイロビの都市部では
・政治や学術分野などの国際会議
・展示会などのビジネスイベント
が頻繁に開催されており、ビジネスの拠点としても需要が高まっています。
南アフリカで安全な地域
南アフリカでは治安が悪い地域も多い一方で、比較的安全とされる地域も存在します。
たとえば、ヨハネスブルグのサントン地区やケープタウンの観光エリアは、治安が良く観光客にも人気です。
一方で、ヨハネスブルグなどのCBD(都市中心地区)は、治安が悪いエリアとして知られており、近寄るべきではありません。
ケープタウンやヨハネスブルグでは、ショッピングモールを中心に街づくりが進み、安全な環境で買い物や娯楽を楽しむことができます。
ビジネス面では、MICE(会議・インセンティブ・展示会)観光が拡大しています。
ナイジェリアで安全な地域
ナイジェリアは治安に課題を抱える国として知られていますが、安全に暮らせる地域もいくつかあります。実際、首都アブジャや経済の中心地ラゴスには、比較的治安の良い地域があります。
たとえば、アブジャでは政治や外交の中心地であることから、厳重な警備体制が敷かれています。また、ラゴスはビジネス需要が高く、多くの高級ホテルや商業施設が集まる地域です。
観光面では、国内旅行の人気が高まりつつあり、デジタル技術を活用したスマート観光やエコツーリズムが注目されています。
ここまで、以前ご紹介した治安ランキングと海外危険情報をもとに、総合的に治安の良さを判断いたしました。
前に紹介したアフリカ治安ランキングは下の記事で解説しています。あわせてぜひご覧ください!
アフリカの治安が不安なら越境ECの活用も

アフリカにおいて治安の良い国や地域を紹介しました。しかしこうした情報を知っても、すぐに企業進出しよう、とはならないかもしれません。
現地での治安に不安を覚える方は、越境ECを使ってアフリカへ自社製品を広めていく方法もあります。
越境ECがアフリカで広まっている現状を紹介し、治安面の不安を解決する方法の一つであることも説明します。
アフリカにおける越境ECの広がり
アフリカにおける越境ECは近年、急速に成長しています。越境ECが広がってきた大きな理由のひとつは、アフリカの人たちがオンライン環境に接続できるようになったためです。
モバイル端末・インターネットが普及し、スマートフォンの価格も低下してきました。モバイルマネーの普及率が高いケニアやガーナ、南アフリカなどでは、決済サービスも発展しつつあります。
こうした動きを背景に、都市部の中間層を中心に、ECプラットフォームの利用が拡大しているのです。
現地発のECプラットフォームとしては、ナイジェリアのJumiaがアフリカ諸国で展開しています。「アフリカのAmazon」と呼ばれるまでに成長してきました。中国やUAEなどアフリカの外からも、アフリカ市場への参入が勢いを増しています。
越境ECは、品質の高い日本製品を直接アフリカの消費者に届ける有効な手段です。日本企業にとっても、越境ECは低リスクでアフリカビジネスに参入できる、魅力的な選択肢となっています。
●関連記事:アフリカで人気のECサイトとは? 現地の越境ECランキング、アフリカビジネスの始め方や注意点をご紹介
越境ECなら治安を心配せずに済む
越境ECの最大の利点は、治安リスクを最小限に抑えてアフリカ市場に参入できる点にあります。現地に店舗や拠点がなくても、オンラインプラットフォームを通じて製品やサービスを提供可能です。治安が不安定な地域でも安全にビジネスを展開できます。
越境ECであっても現地パートナーと提携すれば、配送や返品対応など現地で必要となるオペレーションを任せることが可能です。
越境ECは現地での市場調査にも活用できます。越境ECにおいて消費者の反応を見ながら、徐々にビジネス拡大や手直しを進めるのです。
現地での十分な需要を見込めた時点で、治安の良い地域を選んで実店舗・オフィスを設立するという段階を踏むこともできます。
越境ECはアフリカにおけるビジネスへの第一歩として、さまざまな使いみちがあるのです。
●関連記事:越境EC売上高ランキング国内No.1!越境ECで成功をおさめたビジネスモデルを解説
●関連記事:発展するアフリカは中古車ビジネスのフロンティア!越境ECが広げるその可能性とは
越境ECを使ったアフリカビジネスにご興味を持たれましたら、BE FORWARDが提供する次のサービスもおすすめします。
・自動車に関する製品を代理掲載販売できる BE FORWARD MARKETPLACE
・気になる国のLPへバナー広告を出せる バナー広告サービス
アフリカで治安の良い国・地域におけるビジネスを支援します!
アフリカでのビジネスを考えるならば、事業を展開したい国の治安を調べておくのは重要です。
しかし、いざ治安について調べてみても
・自分で調査しても、なかなか情報が手に入らない
・現地の情勢に明るくないため、アフリカでビジネス展開できるかが不安
・治安が良くても、自社製品にどれだけ需要があるかわからない
といった悩みをお持ちの方は多いです。
こうしたお悩みを解決したい方は、ぜひアフリカマーケットリサーチにお声かけください!
アフリカマーケットリサーチでは、現地でのデータを収集し、調査・分析までをお引き受けして、アフリカビジネスを支援しております。
アフリカの全56か国、現地におけるパートナーは93法人にのぼります。アフリカでの治安や市場の調査の支援のためには、パートナーの存在が欠かせません。
アフリカマーケットリサーチでどんな調査ができるかを具体的に知りたい方は、下の記事もぜひご覧ください。
●関連記事:ケニア・タンザニアで人気のSNSとは?アフリカのソーシャルメディア利用実態調査
現地調査が終了した後、実際にアフリカビジネスを展開するならば
・安全で迅速に商品を運ぶ海外輸送サービス(ポチロジ)
・月間6,000万PVを超える弊社越境ECサイトへのバナー広告サービス
などを通じてさらにサポート可能です。
ご相談は無料です。アフリカビジネスにご興味がおありの方はお気軽にお問い合わせください!