アフリカビジネスへの進出を検討しているものの、手がかりが見つからない。そんな経営者やビジネスパーソンの方に、アフリカにおける金融資産や投資信託の動向を紹介します。
投資信託とビジネスは関係ないように見えますが、そうではありません。投資信託で得られるリターンは、投資先におけるビジネスの将来性から生まれてくるからです。アフリカビジネスの有望さとリスクを、投資信託は教えてくれるのです。
南アフリカ株式市場のインデックスを表すチャートでは、過去10年で年率5.7%以上の成長を遂げていることがわかります。15億人規模のアフリカ市場はこれからも拡大を続ける見込みです。モバイル決済の急速な広まりのような、革新的なビジネスチャンスがアフリカでは生まれています。
この記事では、投資信託を通じて見えてくる、ビジネスで注目すべきアフリカの国6選を紹介します。また、アフリカビジネスへの進出におけるリスクもあわせて説明します。
この記事を読み終わる頃には、アフリカのどの国に進出できる見込みがありそうか、またどのようなリスクに備えるべきかを知ることができます。アフリカビジネスへの進出を検討する上で有用な情報となるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
投資信託とアフリカビジネス
投資信託において、アフリカは世界的にも魅力的な投資先として注目を集めています。これまで、アフリカ市場は投資リスクが高いと見られてきました。しかし、ここ最近は経済が大きく発展し、社会情勢も安定してきた国も増えています。
こうした結果、投資先としての魅力が高まっています。アフリカ最大の株式市場である南アフリカのチャートを見てみましょう。平均的な株価を表すインデックスは、過去10年間、年あたり5.7%以上のペースで上昇しています。主要なアフリカ株式市場は、着実に成長を続けているのです。
投資信託を通じたアフリカへの投資は、アフリカの成長を資産運用に取り込むうえで、有効な手段となっています。世界の新興国市場インデックスにおけるアフリカ諸国のウェイトも徐々に増加。高いリターンを期待する投資家には、おすすめの投資先として注目されています。
投資信託に見るアフリカビジネスの有望性
アフリカの金融商品が投資信託に組み込まれているのは、市場がアフリカビジネスに成長性があると評価している証拠です。
たとえば、野村証券と同じグループの会社では、アフリカでの資産運用を中心とした投資信託を販売しています。報告書を見ると、9割以上の資金を南アフリカで運用し、エジプトやケニア、ナイジェリアなどの資産を組み込んでいると分かります(2024年9月30日現在)。

投資信託を通じたアフリカ投資は、単なる投機的な動きではありません。アフリカ現地における企業が着実に事業を大きくさせていることを示しています。背景には、インフラ整備の進展や中間層の拡大など、実体経済が発展している点も反映しているでしょう。
投資信託を通じてアフリカに注目が集まっているのは、アフリカビジネスがこれから成長していくと期待されていることのあらわれです。
なぜアフリカビジネスは有望なのか?アフリカ経済と社会の今後
なぜ、アフリカビジネスの成長に期待が集まっているのでしょうか?
アフリカが成長していく見込みを支える最大の要因は、その人口動態です。国連の推計によれば、2024年には15億人を超える人々がアフリカに暮らしています。2050年には25億人に達するとの見込みです。
今後、ますます人口が増えていくアフリカは、魅力的な消費市場であると捉えられ、最後のフロンティアとも呼ばれています。
アフリカは若い人たちが多数を占める地域であるのも特徴です。特に、サハラ以南では、30歳以下の人たちが全人口の70%に達していると言われます。
若い人たちが多いのは、ビジネスの観点では魅力的です。生産年齢(15〜64歳)人口が増えると、労働力の供給という意味でも、これからの経済成長を引っ張っていくと期待できます。
人口の増加に加え、アフリカでは「リープフロッグ」と呼ばれる現象が見られ、すでに飛躍的な経済発展が進んでいます。「リープフロッグ」とは、既存のインフラを経ずに最新技術を導入し、一足飛びに急速な発展を遂げることです。
たとえば、モバイルマネーが広く普及しており、デジタル化をもとにした新たなアフリカビジネスが次々と立ち上がっています。ケニアにおいて、モバイル決済ができるM-PESAが急速に広まった事例は有名です。
これからもアフリカでは、従来型の商売のやり方を一気に飛び越え、革新的なビジネスが生まれるでしょう。
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投資信託から見るアフリカビジネスにおすすめの国6選

投資信託を通じて、アフリカのどの国がビジネスにとって有望かを考えることもできます。
ここでは、投資信託から見るアフリカビジネスにおすすめの国として、以下の6つを紹介します。
・南アフリカ
・エジプト
・ナイジェリア
・モロッコ
・ケニア
・タンザニア
これらの国における金融資産は多くの場合、投資信託に組み込まれています。上でも説明したとおり、投資信託に組み込まれているならば、有望な投資先と考えられていることを意味します。
1. 南アフリカ
南アフリカは、アフリカ大陸では最も成熟した株式市場を持ち、投資信託でも多くの資産が組み込まれています。南アフリカのヨハネスブルグ証券取引所は、大手企業が多く上場し、安定的な成長を続けています。投資家にとって信頼性が高い市場で、多くの資金が世界中から集まっているのです。
南アフリカの経済自体も、人口の増加と都市化が進み、消費市場も拡大しています。市場に集まる投資マネーとあいまって、南アフリカにおけるビジネスを後押しするでしょう。産業としては鉱業や金融業が発展している一方で、近年ではIT産業の発展とともにサービス業が拡大しています。今後も南アフリカは、長期的な経済成長が期待できます。
2. エジプト
エジプトはアフリカ大陸でもっとも成長を遂げてきた経済の一つです。投資信託においても重要な位置を占めています。エネルギーやインフラ、観光業などの分野で投資が盛んです。
エジプトの人口は1億人を超え現在も増え続けていることから、消費者市場としての魅力も増しています。政府は経済改革を進め、外国投資の促進やインフラ開発、温暖化対策への取り組みにも積極的です。今後も経済発展が見込まれるため、エジプトは成長市場として、アフリカビジネスの検討に値するでしょう。
3. ナイジェリア
ナイジェリアは2億2千万人以上の人口を有しており、アフリカで最も多くの人が暮らす国です。その消費市場の拡大が投資信託でも注目を集めています。エネルギーや金融、通信など幅広い産業での取引が活発で、経済の多様化が進行中です。
人口構成も若年層が多く、今後の労働力の増加が見込まれます。また、若年世代が多いことから、国内需要の拡大も期待が大きいです。ナイジェリアは今後、ビジネスと投資の両面で成長が楽しみな市場です。
4. モロッコ
モロッコは安定した政治状況と経済成長が評価されています。また、地理的・歴史的な経緯から、モロッコはヨーロッパ諸国との関係が強いです。
アフリカの中ではリスクを抑えた投資ができると考えられ、投資信託でも注目される国の一つです。特に金融や農業、再生可能エネルギー分野で成長が続いていくでしょう。
政府はインフラ整備やビジネス環境の改善にも積極的な姿勢です。安定的な成長が見込まれる市場として、ビジネスチャンスが多く存在します。
5. ケニア
ケニアは東アフリカの経済ハブとして急速に成長しており、投資信託においても有望な国として評価されています。ナイロビの証券取引所はアフリカでも活発な市場の一つです。
ケニアは2023年には人口が5,500万人に達し、10年前と比べると2割以上増えています。人口増加は若年層の数が増えることで牽引されており、今後の労働力も大きくなる見込みです。若年人口が増えると消費市場の拡大にもつながり、これからの内需の成長に大きな期待が寄せられています。
モバイル決済やフィンテックの分野でもイノベーションが進んでいます。M-PESAと呼ばれるモバイル決済サービスが急速に広まった事例は有名です。こうしたモバイル決済サービスが普及することで、ECサービスなど、ケニアでは多くのビジネスが生まれています。
6. タンザニア
タンザニアは安定した経済成長を続け、投資信託でも注目される新興市場の一つです。タンザニアにおいては農業や鉱業、観光業が活発で、タンザニアでのプロジェクトは国内外の投資家に支持されています。
タンザニアも人口増加率が高く、若い労働力が増えていく点が今後の経済成長を支える重要な要素です。政府はインフラ整備に力を入れており、道路や港湾、エネルギー関連のプロジェクトが進行しています。また、観光業の成長も経済を支える大きな柱です。
タンザニアは現状、上であげた国よりは経済規模がまだ小さいですが、今後の成長市場として期待されています。
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投資信託から見るアフリカビジネスのリスク

これまで説明してきたとおり、アフリカでは、高い経済成長と大きなビジネスチャンスが期待できます。一方で、アフリカならではの重大なリスクもあることは否定できません。平均的なリターンは高いものの、アフリカ関連ファンドは時として大きな損失を被る場合もあります。
このようなリスクは、実際にアフリカビジネスへ進出する際も同じように直面します。投資信託の市場で観察されるリスクを分析するのは、アフリカビジネスへ進出を考える上でも有益です。
ここでは、アフリカビジネスに潜む3つのリスクを詳しく説明します。
・社会的リスク
・経済的リスク
・政治的リスク
社会的リスク
アフリカビジネスへの参入を検討する際、まず直面するのが社会的リスクです。社会的リスクの代表例として、未熟なインフラや社会システムがあげられます。アフリカ諸国の多くは経済発展の途中であり、日本にいれば当然あるであろうインフラや社会システムが整っていない場合が多いです。
たとえば、不安定な電力供給は製造業にとっては深刻な課題です。突然の停電が生じれば、生産ラインを停止せざるを得ません。製品によっては、電圧変動によって品質を保てなくなる状況も起こるでしょう。
さらに、上下水道や医療に関するインフラも問題です。インフラ設備が整っていないと、従業員の健康管理や緊急時の対応に問題が生じ、事業継続に関わるリスクとなります。
経済的リスク
アフリカ市場における経済的リスクの特徴は、変動が大きい点と予測が難しいことにあります。多くのアフリカ諸国では、市場メカニズムや金融システムが発展途上であり、経済ショックに対する耐性が比較的低い状態です。
たとえば、エジプトでは2023年にインフレ率が年あたり30%を超える事態となりました。激しい物価上昇は、エジプト経済に大きな悪影響を与えています。
為替リスクも見過ごせません。多くのアフリカ諸国は、商品を輸入に頼る場合が多いです。国際市場や政治情勢が変わると、現地通貨の価値が急落する場合がよくあります。通貨価値の暴落は、原材料にかかる費用が膨らみ、現地従業員に対する給与支払いや運転資金の管理にも影響を及ぼします。
金融市場の未成熟さも、資金調達や送金に支障をもたらします。日本では信頼できる銀行間システムがあり、振り込みや送金でトラブルが起こるのはまず考えられません。しかしアフリカでは、銀行システムの信頼性や効率性が十分でない場合も多いです。日常的な金融取引であっても予期せぬ障害にでくわすかもしれません。
政治的リスク
政治的リスクは、アフリカビジネスが続けられなくなる深刻な要因の一つです。政治体制が不安定な国では、突発的なクーデターや内戦が起こることで、一夜にして事業が止まってしまう可能性があります。2021年にスーダンで発生したクーデターでは、多くの企業が事業の一時停止を余儀なくされました。
同じような理由で、テロの可能性もアフリカビジネスにとっては脅威です。
政府によってある日突然、法律・規則が変わってしまう場合もあります。国によっては資産を強制的に接収されるリスクも無視できません。公務員の賄賂や汚職、行政手続きの不透明性も、アフリカビジネスを進める上では大きな壁となります。
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アフリカに対する投資が投資信託で注目されているのは、今後のアフリカビジネスが有望だと示しています。アフリカビジネスへの進出は、事業を大きく展開する上で有力な選択肢の一つになるでしょう。
しかし、アフリカでのビジネスを進めるならば、リスクに備えた現地における情報収集が必要です。
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参照元:
Trading Economics
野村アセットマネジメント「野村アフリカ株投資」マンスリーレポート
ECA “As Africa’s Population Crosses 1.5 Billion, The Demographic Window Is Opening; Getting The Dividend Requires More Time And Stronger Effort”
UN “Young People’s Potential, the Key to Africa’s Sustainable Development”
世界銀行Databank
外務省 ナイジェリア基礎データ
三菱UFJコンサルティング&リサーチ「モロッコ経済の現状と今後の課題」
JETRO ビジネス短信


