アフリカは今も人口・経済ともに成長を続けている地域で、BOPビジネスが有望だと言われます。
BOPビジネスとは、一言で説明すれば、低所得者向けの製品・サービスを広める事業です。アフリカは世界的に見ると所得が低い人が多く、BOPビジネスにとって重要な市場となっています。
アフリカにおけるBOPビジネスにうまく参入していけば、顧客の新規開拓につながります。ビジネスを通して現地の人たちの暮らしを良くすることで、社会貢献も果たせる取り組みです。
この記事では、アフリカでBOP市場規模が大きい国はどこか、ランキング形式で紹介します。
アフリカにおけるBOPビジネスの現状と可能性

アフリカにおけるBOPビジネスの現状を知るために、以下の3点を説明します。
・BOPビジネスとは何か?
・BOPビジネスはいつどのように生まれたか?
・なぜBOPビジネスが注目されるのか?
BOPビジネスとは何か?
BOP(Base of the Pyramid)ビジネスとは、低所得層の人々を対象とした事業や営みです。BOPは年間所得がおよそ3,000ドル(およそ45万円)以下の人たちが対象とされ、全世界では約40億人からなる巨大な市場と言われています。
特にアフリカのBOP市場は、大きく注目されています。アフリカではまだまだ多くの人々が、低所得の中で暮らしているのが理由です。
BOPビジネスを通じて、所得が低い人たちでも購入できる価格で、生活の質を向上させる製品やサービスを提供します。
新たな顧客層へアプローチすることで、企業にとっても新たな収益の機会をもたらすと考えられます。
BOPビジネスの誕生と背景
BOPビジネスは2002年、ミシガン大学のC.K.プラハラード教授らにより発表された研究が注目されるきっかけとなりました。
その際に出版された論文”The Fortune at the Bottom of the Pyramid”を通じ、従来無視されがちだった低所得層の市場が広く認識されるようになります。プラハラード教授は「貧困層を単なる援助の対象ではなく、消費者として尊重すべき」という考え方を提唱しています。
長年、援助依存型の経済から脱却を目指してきたアフリカにとって、BOPビジネスは自立的な経済発展の可能性を秘めているのです。
なぜ今、BOPビジネスが注目されるのか
BOPビジネスが注目されるようになった理由は、大きく分ければ3つあります。
・市場規模がとても大きい
・技術革新により流通経路が整ってきた
・社会課題の解決方法として認知されてきた
BOP市場の規模はとても大きく、アフリカだけでも約5,000億ドル規模の市場が存在すると推計されています。ナイジェリアやエジプトなど、人口の多い国々では、巨大なBOP市場が形成されています。
技術革新が進み、流通経路の発展も大きな要因です。インフラやネットワーク・モバイル通信網が発展し、これまでアクセスが難しかった消費者層にも、製品やサービスが届くようになりました。
アフリカでは携帯電話の普及率が急速に高まり、モバイルマネーなどのサービスが広がっています。
持続可能な開発と社会貢献の観点からも、BOPビジネスは注目を集めています。CSRやSDGsが重要とされてきている中、BOPビジネスは社会課題解決に貢献する機会ともなっています。
アフリカでBOPビジネスにおすすめの国ランキングを紹介!上位5か国を詳しく解説
アフリカでBOPビジネスにおすすめできる国をランキング形式で紹介します。
ランキングは、世界銀行のデータをもとに、BOPビジネスの対象となる人口(以下、「BOP人口」)が多い順にランキングを作りました。BOPの人口が多い国は、それだけ潜在的な市場規模が大きいと考えられます。
アフリカでBOPビジネスにおすすめの国ランキングをご覧ください!
| 順位 | 国名 | BOP人口(百万人) | 人口(百万人) |
| 1 | ナイジェリア | 183.6 | 202.1 |
| 2 | コンゴ民主共和国 | 90.7 | 92.9 |
| 3 | エジプト | 73.2 | 106.4 |
| 4 | タンザニア | 53.5 | 57.9 |
| 5 | ケニア | 48.4 | 53.0 |
| 6 | ウガンダ | 40.0 | 43.9 |
| 7 | モザンビーク | 29.9 | 31.1 |
| 8 | ニジェール | 24.8 | 25.7 |
| 9 | アンゴラ | 24.5 | 31.5 |
| 10 | コートジボワール | 21.4 | 28.0 |
| 11 | カメルーン | 21.0 | 27.7 |
| 12 | ブルキナファソ | 19.8 | 22.5 |
| 13 | マリ | 19.1 | 22.3 |
| 14 | ザンビア | 18.6 | 20.0 |
| 15 | マラウイ | 18.5 | 19.0 |
| 16 | チャド | 15.7 | 17.7 |
| 17 | ジンバブエ | 13.1 | 15.4 |
| 18 | セネガル | 13.0 | 17.2 |
| 19 | ブルンジ | 11.9 | 12.3 |
| 20 | ギニア | 11.0 | 12.7 |
| 21 | ベナン | 10.8 | 13.3 |
| 22 | トーゴ | 7.6 | 8.8 |
| 23 | シエラレオネ | 7.1 | 7.9 |
| 24 | 中央アフリカ | 5.3 | 5.5 |
| 25 | モーリタニア | 3.0 | 4.5 |
| 26 | ガンビア | 2.1 | 2.6 |
| 27 | チュニジア | 2.0 | 12.3 |
| 28 | ギニアビサウ | 1.9 | 2.1 |
| 29 | レソト | 1.8 | 2.2 |
| 30 | ジブチ | 0.8 | 1.0 |
| 31 | ガボン | 0.7 | 2.1 |
| 32 | モーリシャス | 0.2 | 1.3 |
| 33 | サントメ・プリンシペ | 0.2 | 0.2 |
| 34 | セーシェル | 0.0 | 0.1 |
出所:世界銀行 Poverty and Inequality Platformより作成。BOP人口は、1日あたりの所得が6.85米ドルを下回る人口として計算。2017〜22年に報告されたデータがある全34か国のみを掲載。
BOPの市場規模が大きく、おすすめできる上位5か国は次のとおりです。
出所:世界銀行 Poverty and Inequality Platformより作成。
それぞれの国におけるBOPビジネス事情を、より詳しく解説します。
【おすすめの国1】ナイジェリア
ナイジェリアでは低所得層が大きな市場を形成しています。ナイジェリアの多くの人々は1日1.90ドル未満で生活しており、貧困層が多く存在します。企業は中小がGDPの50%を占め、雇用の86.3%を提供しています。
ナイジェリアでは、BOPビジネスも実際に展開しています。大手エネルギー会社のOandoはBOP市場向けにLPG(液化石油ガス)ストーブを販売しています。ストーブだけでなく、LPGを配送するためのステーションなどのインフラ整備にも携わっているのです。政府も低所得者向けの金融サービスを提供し、BOPビジネスを支えています。
【おすすめの国2】コンゴ民主共和国
コンゴ民主共和国は貧困層の多い国で、人口の72%が1日1.90ドル未満で生活していると言われています。BOPビジネスを通じて、低所得層向けに生活必需品や金融サービスを提供しています。
コンゴ民主共和国におけるBOPビジネスの具体例として、産業廃棄物を活用するMakala Bioがあげられます。Makala Bioは、木の削りかすや炭の粉などの産業廃棄物をもとに、消費者向けの固形燃料を製造・販売している企業です。
非公式に貯蓄や融資のサービスを提供する事業者も、きちんとした銀行がない地域で役割を果たしています。
【おすすめの国3】エジプト
エジプトでは人口の約67%が1日3ドル以下の所得で暮らしているとの報告があります。こうした人々は、生活必需品の入手にも苦しんでおり、BOPビジネスへの潜在的な需要は大きいです。
エジプトにおけるBOPビジネスの具体例として、Brimoreの取り組みがあげられます。Brimoreは低所得層の女性を販売員として雇用し、金融リテラシーやEコマースなどの研修を受けさせています。研修には95%の販売員が参加し、女性の社会参画と業績の向上をともに実現しました。
【おすすめの国4】タンザニア
タンザニアにも低所得で暮らす人々は多く、BOP市場の規模は大きいと考えられます。低所得で暮らす人々は、電力や水、医療や金融など、さまざまな商品・サービスへのアクセスが不足しています。
低所得層に向けたBOPビジネスの例として、M-KOPA Solarの事例があげられます。M-KOPA Solarは低所得世帯向けに、「支払いながら利用する」方式で再生可能エネルギーを提供しています。最初に35ドルを預ければ、あとは1日0.58ドルの料金を支払えば太陽光発電システムを使えるようになる仕組みです。
住友商事は、現地企業向けに蚊帳を製造するためのライセンスを提供し、マラリア対策や地元企業の育成をサポートしています。
【おすすめの国5】ケニア
ケニアでは若者や女性が人口の多くを占めており、低所得者も多いと言われています。低所得で暮らす人々は、低賃金の非正規雇用や自給自足の農業に就いている場合が多いです。
ケニアにおけるBOP層向けのビジネスにはさまざまな成功例があります。タンザニアでも紹介したM-KOPA Solarの「支払いながら利用できる」太陽光発電システムはケニアでも利用が広がっています。
米国企業であるペイゴー・エナジーは、LPGをボンベに詰めてガスを量り売りするサービスを展開しています。消費者向けにエネルギーを安価で提供し、環境問題や健康問題も改善しました。
アフリカでBOPビジネスにおすすめの5か国を解説しました。さらにアフリカのビジネス事情を知りたい方は、
・ブログ「アフリカビジネス」の他の記事
・アフリカでの市場調査「アフリカマーケットリサーチ」
もあわせてご覧ください!
越境ECでアフリカに広がるBOPビジネスとその事例

越境ECは、アフリカにおいてBOPビジネスを広げる上で、大きな役割を果たしています。なぜ越境ECが大きな影響力を持っているのか、以下にあげる3つの理由を事例も含めて解説します。
・消費者が市場へアクセスしやすくなる
・市場参加者のつながりを強める
・情報共有や対話が進む
消費者が市場へ参加しやすくなる
越境ECは、これまで物流や流通経路が十分に整備されていなかった地域に対しても、製品やサービスを届ける手段です。
アフリカの多くの地域では小売店舗が少なく、商品の選択肢も限られていました。越境ECによって世界中の商品にアクセスできます。より安い価格で、自分たちに必要な商品を選べるようになるのです。
たとえば、タンザニアやケニアでは、ネット・スマートフォンを通じて中古車や自動車部品、家電製品などの購入が増えている事例があります。越境ECによって、手頃な価格で簡単に買い物ができるようになっているのです。
●関連記事:発展するアフリカは中古車ビジネスのフロンティア!越境ECが広げるその可能性とは
●関連記事:越境EC売上高ランキング国内No.1!越境ECで成功をおさめたビジネスモデルを解説
市場参加者の結びつきを強める
越境ECは、地元の生産者と金融サービス、さらには国際的な企業など、多くの人たちを一つのプラットフォーム上で結びつけます。アフリカの生産者も、越境ECプラットフォームを通じて世界にアクセスできるようになりました。
日本企業にとっても、実店舗を構える必要がなく、アフリカ市場への参入障壁が低くなります。越境ECを活用することで、アフリカの消費者に直接アプローチできるようになりました。
過去の事例でも、品質の高い日本製品は評価が高く、アフリカのBOP層からも関心を集めています。
情報共有と対話をうながす
越境ECサービスでは、企業や消費者は情報やノウハウを共有しやすくなります。消費者からの反応をリアルタイムで収集し、製品やサービスを改善でき、BOPビジネスの成功確率を高めることができます。
越境ECプラットフォームを使えば、ビジネスパートナー同士での情報共有も可能です。サプライチェーンにおける情報が見えるようになり、より効率的な物流や在庫管理につながります。
インフラ整備が十分でないアフリカにおいて、物流コストの削減やサービス品質の向上につながるのは大きなメリットです。
アフリカにおける越境ECについてさらに知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください!
●関連記事:世界中のユーザーがあなたの商品を待っている!「越境EC」の魅力と立ち上げ方をわかりやすく説明します
●関連記事:アフリカで人気のECサイトとは? 現地の越境ECランキング、アフリカビジネスの始め方や注意点をご紹介
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アフリカでのBOPビジネスに向けてサポートします!
アフリカでは、BOPビジネスにとって魅力的な場所になっています。しかし興味はあっても、現地の情報が得られずお悩みの方は多いです。
「アフリカのBOPビジネスの中で、自社製品にはどのくらい需要がありそうか」
「アフリカビジネスの経験が少なく、現地でどのようにBOPビジネスを展開するか相談したい」
こうした課題をお持ちの方は、アフリカマーケットリサーチをご活用ください。アフリカ各国における都市部の様子から、ビジネス進出に向けて必要な現地情報まで、幅広く調査をお手伝いいたします。
アフリカマーケットリサーチによる調査のイメージをつかみたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
●関連記事:ケニア・タンザニアで人気のSNSとは?アフリカのソーシャルメディア利用実態調査
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アフリカでのBOPビジネスを成功させるために、さまざまなサービスで幅広く支援いたします。
参考資料
Prahalad and Hart (2002) “The fortune at the bottom of the pyramid,” strategy+business, 26.
世界銀行 Poverty and Inequality Platform
BusinessDay “GEEP: Integrating Nigeria’s bottom of the pyramid into the mainstream economy”
Agapitova et al. (2020) “Social Entrepreneurship for Inclusive Growth in the Democratic Republic of Congo”


