土曜日, 11月 8, 2025

【2024年最新】アフリカの農業ビジネス国ランキングを紹介!注目すべきアフリカの農業国6選

アフリカでの農業、と聞いてどのような風景を想像するでしょうか。

「砂漠だらけで、農業をできる地域があまりない」
「伝統的な農法で、芋をわずかに作っている」

こうしたイメージは、いずれも正しくありません。

アフリカでは、農業はGDPの20〜30%を占め、労働人口の約60%が働いている重要な産業です。アフリカと一言で言っても、国によって主要な作物や状況は異なります。

この記事では、世界銀行の最新データをもとに、アフリカで農業ビジネスが盛んな国をランキング形式で紹介します。注目すべき国として、農業生産額が大きいトップ6も選びました。

アフリカにおける農業が直面している課題もあわせて解説します。農業生産性の低さや教育・インフラの不足などさまざまな課題に対して、各国政府も取り組みを進めているところです。

農業を通じて、アフリカでビジネスを展開してみたいとお考えの方、ぜひこの記事を最後までご覧ください!

アフリカにおける農業ビジネスの現状

まず、アフリカにおける農業ビジネスの現状を、下にあげた2つの点から解説します。

・アフリカ全土における農業データ
・アフリカにおける農業の特徴

アフリカ各国における農業の状況を知る前に、アフリカ全体で共通している農業ビジネスの特徴を、しっかりと確認しておきましょう。

アフリカ全土における農業データ

アフリカにおけるほとんどの国では、農業は主要産業として経済を支えています。

アフリカでは、農業部門の生産額はGDPの20〜30%を占めている国が多いです。ちなみに日本では、およそ1%がGDPに占める農業部門の割合です。

アフリカにおいては、農業は多くの労働者が働く産業でもあります。アフリカ全体で見ると、労働人口の約60%が農業に従事していると言われています。日本の農業人口は、労働人口の2%にも達していません。

農業はアフリカ経済の基盤となっていると言えます。アフリカにおける食料安全保障や雇用創出を考えるうえで、大きな役割を持っているのです。アフリカでは他の地域以上に、農業開発への取り組みが欠かせません。

アフリカにおける農業の特徴

アフリカにおける農業の特徴として、次の2点を紹介します。

・小規模な農家が多数を占める
・主食となる作物と収益を得るための作物を、ともに栽培する

アフリカでは小規模な農家が大多数を占めています。規模の小さな農家は主に家族単位で運営されており、農地もあまり広くありません。こうした状況が、農業生産性の低さにつながっています。

多くの農家は、食料供給を支える主食作物と、収益を得るための換金作物をともに栽培する混合農業を行っています。換金作物は、プランテーション農業をきっかけに作られるようになった場合も多いです。

主食となる作物としては、トウモロコシやキャッサバ(芋類の一種)、ソルガム(イネ科モロコシ属の穀物)などが主な作物です。換金作物は、カカオやコーヒー、茶など多岐にわたります。

さまざまな種類の作物を生産することで、農業のリスク分散につながっています。一方で、効率的な経営を進め、収益性を向上させるうえでは、混合農業は課題ともなっています。

●関連記事:アフリカのバリューチェーン・サプライチェーンを変革し手頃な食品価格の実現に挑むアフリカビジネス事例

【2024年最新】アフリカ農業国ランキングを公開!

一言でアフリカと言っても、国によってどのように農業が行われているかは大きく異なります。
アフリカでの農業ビジネスを検討する際には、どの国に注目すればよいのでしょうか。

この記事では世界銀行のデータベースをもとに、アフリカで農業ビジネスが盛んな国ランキングを公開します。

アフリカの国々が2023年に生み出した、農業(農林水産業)の付加価値生産額をランキング形式にしたものです。

それでは、早速ランキングをご覧ください。ランキングの表は以下のとおりです。

なお、表中で太字になっている国は、人口が1,000万人を超える規模の大きな国を表しています。

順位国名農林水産業の付加価値額
(10億米国ドル)
1ナイジェリア123.1
2エジプト49.5
3エチオピア34.5
4アルジェリア22.2
5タンザニア17.3
6ケニア16.1
7ガーナ15.0
8スーダン14.8
9モロッコ13.1
10コートジボワール11.2
11アンゴラ10.6
12ウガンダ10.5
13南アフリカ9.2
14コンゴ民主共和国8.4
15カメルーン7.0
16マリ6.6
17ニジェール6.2
18モザンビーク5.1
19ベナン4.7
20チャド4.3
21チュニジア4.1
22セネガル4.1
23シエラレオネ3.3
24マダガスカル3.2
25ブルキナファソ3.0
26ギニア3.0
27ルワンダ2.8
28マラウイ2.5
29リビア1.8
30モーリタニア1.7
31トーゴ1.5
32リベリア1.4
33ガボン1.2
34ブルンジ1.1
35ザンビア1.0
36コンゴ共和国0.9
37ナミビア0.8
38中央アフリカ0.7
39ギニアビサウ0.6
40モーリシャス0.5
41ガンビア0.4
42コモロ0.4
43エスワティニ0.4
44ボツワナ0.3
45赤道ギニア0.3
46レソト0.1
47カーボベルデ0.1
48ジブチ0.1
49セーシェル0.1
出典:The World Bank | Databank 表は著者により作成
注:太字の国は人口が1,000万人超えの国。なお、サントメ・プリンシペ、ソマリア、ジンバブエの3か国はデータが存在しないため、ランキングから除外している。

アフリカ農業国ランキングで、上位となった6つの国は次のとおりです。

  1. ナイジェリア
  2. エジプト
  3. エチオピア
  4. アルジェリア
  5. タンザニア
  6. ケニア

農業の付加価値額が多かった国6選について、農業事情を詳しく見てみましょう。

【1位】ナイジェリア

ナイジェリアにおける農業は、GDPの約25%を占め、労働人口の約7割が従事する重要な産業となっています。主食であるキャッサバやヤムイモが多く作られています。コメも生産量が多くアフリカで1位です。

ナイジェリアはアフリカでもっとも多くの国民を擁している国です。豊富な労働力を背景に、多くの人たちが農業に従事しています。

ナイジェリア政府も、経済発展のために農業を重要な産業と位置付け、積極的に農業支援に取り組んでいます。

たとえば、農業協同組合を作り、農業技術や資金調達などのサポートを推し進めている最中です。日本でいえばJAに近い組織を作っていると言えるでしょう。

【2位】エジプト

エジプトの農業は、農地にできる土地が限られているにもかかわらず、高い生産性を誇ります。ナイル川の恵みを受けた肥沃な土地と日照が多い気候が、生産性を高めている要因です。

主な作物としては、小麦やコメ、トマト、オレンジなどがあります。特に、オレンジは世界に向けて多く輸出される品目のひとつです。

一方で、人口増加や農業活動が急速に進むことによって、水不足や農地の塩害化が課題となっています。課題解決へ向けて、政府は新たな農地の開拓や灌漑システムの改善を進めているところです。

【3位】エチオピア

エチオピアでは、農業は国の経済の基盤です。農業生産額はGDPの3分の1以上を占めています。

小規模な農家が中心で、トウモロコシ、ソルガム、小麦などが主な作物です。コーヒーも輸出品として有名です。

近年、政府が主導する取り組みにより、農業技術の進歩や灌漑設備の広がりが進んでいます。しかし、他国と比べると依然として生産性は低く、農村部を中心に食糧が足りていないとの議論があります。

【4位】アルジェリア

アルジェリアの農業は、GDPおよそ13%の規模となっています。主な特徴として、ジャガイモやナツメヤシ、すいかの生産が盛んです。特にジャガイモの生産は順調に増えており、ほぼ自給自足を達成できています。

一方で、気候条件や水資源の確保は、アルジェリアの農業にとって大きな課題となっています。

アルジェリアはアフリカの中でも最も広い国土を持っています。しかし国土の8割以上はサハラ砂漠であり、大規模な農業には向いていない土地とされてきました。

政府は「農業政策ロードマップ」をもとに食料自給率向上と輸出拡大を目指して、灌漑技術の活用や農業の機械化を推し進めています。また、サハラ砂漠での作物栽培を広げる試みも行われています。

【5位】タンザニア

タンザニアは、農業による生産額がGDPの4分の1近くに達しています。

主食作物としては、トウモロコシやキャッサバの生産量が多いです。カシューナッツやコーヒーなど、さまざまな換金作物も輸出されています。

近年は灌漑稲作が普及してきたことで、コメの品質が改善しつつあり、生産も伸びてきました。

小規模な農家が中心となって活動しており、生産性の低さがやはり課題となっています。農家の中には雨水に頼る伝統的な農業を営む人たちも多く、インフラ・技術の改善やさらなる農業開発が必要です。

【6位】ケニア

農業による生産活動はGDPの20%以上を占めており、ケニア経済にとって重要な産業です。

トウモロコシや小麦、コーヒー、紅茶、切り花などの園芸作物が主に生産されている品目です。東部アフリカの中では発展している地域だと言えます。

一方で、気候変動による乾燥地域の拡大や、干ばつによる生産性の低下が課題となっています。

こうした課題に対してケニア政府は、2019年から「農業変革・成長戦略」に取り組んでいる最中です。変革・成長戦略の一環として、小規模な農家に対する農業支援や灌漑設備などのインフラ整備が進められています。

以上が、アフリカで農業が盛んな国6選です。上で紹介した国において、農業を通じたビジネス展開に興味を持たれたら、BE FORWARDのアフリカマーケットリサーチの利用をご検討ください。

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●関連記事:アフリカで人気の動画とは? ケニア・タンザニアの1,131人に聞いた!動画サービスについてのアンケート調査

アフリカにおける農業ビジネスをめぐる課題

アフリカ農業へ向けてビジネス展開を考える上で、現地での課題を把握することは重要です。

アフリカにおける農業ビジネスをめぐる課題として、以下にあげる4点がよく指摘されます。

・低い農業生産性
・農業技術や教育の不足
・農家が使える金融インフラの未整備
・農業に関する政策やインフラ整備の不足

これら4つの課題について、それぞれ詳しく解説しましょう。

課題1. 農業生産性が低い

アフリカの農業では、他の地域と比べて生産性が低い傾向にあります。

小規模な農家が大半を占め、それぞれの農家が持つ耕地も広くありません。また、多くの農家は、自給自足の主食作物と、収入源となる換金作物を同時に栽培しています。

こうした農業のスタイルが、農業生産性を押し下げてしまう一因です。

課題2. 農業技術と教育が不足している

アフリカの農業は、技術と教育が低い水準にあり、生産性の向上が阻まれています。

多くの農家は体系的な教育を受けていません。現代的な農業技術や知識に触れる機会がほとんどなく、伝統的な農法に依存してしまうのです。

たとえば、以下にあげる技術や知識が、農家に十分に知られていません。

・高度な灌漑システム
・高い収量を達成できる種子
・適切な肥料の使用

農業に関する教育プログラムは存在しています。しかし、高等教育を受けた人材の多くは、官僚や他の分野に流出しています。現場での技術指導や知識共有が不足し、農業支援が不十分となっているのです。

こうした状況は、農家が最新の技術や市場情報を活かす能力を制限し、生産性を低迷させてしまいます。

課題3. 農家が使える金融インフラがない

アフリカの小規模農家は、金融インフラが発達しておらず、必要な資金を調達する手段が限られています。

アフリカでは、多くの農家は土地の所有権を持っておらず、担保を提供できませんでした。その結果、伝統的な金融機関からの融資を受けることが困難です。

金融機関とのやり取りができない農家は、肥料や農機具などの購入資金を確保できません。その結果、生産性の向上が妨げられているおそれがあります。

ただし近年では、土地管理を進める取り組みを通じて、農家の土地所有を確立する動きも見られます。

たとえば、エチオピアやタンザニア、ガーナなどでは、土地調査・登録への取り組みが進んでいると、世界銀行より報告されています。

課題4. 農業に関する政策やインフラ対策が不足している

アフリカにおける農業の発展は、農業政策やインフラ対策が不十分であることによって妨げられています。

多くの国では、輸出に伴う関税や規制など、農作物の輸出に関する政策が複雑です。農家や企業の生産性を下げてしまう要因となっています。

農村部の広いエリアにおいて、道路や灌漑設備などの農業インフラも足りていません。農業のために必要な物資や設備を運んだり、収穫した作物を市場へ輸送するのが困難な状況です。

アフリカでは水資源の確保に苦しんでいる地域が多いです。灌漑設備の不足は、農業生産性を低下させ、気候変動に対する脆弱性を高めています。

政府も課題は認識しています。それぞれの国で成長戦略や開発プランをつくり、対策が進められているところです。

●関連記事:【2024年最新】アフリカビジネスに必要な水資源が豊かな国は?国連大学「水の安全保障」ランキングと水についての注意点3選を紹介

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アフリカマーケットリサーチによる調査のイメージをつかみたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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参照元:
アフリカ開発銀行グループ「アフリカの食糧増産」
世界銀行Databank
世界銀行 “UNLOCKING AFRICA’S AGRICULTURAL POTENTIAL”
総務省統計局「労働力調査」

農林水産省「GDP(国内総生産)に関する統計」
農林水産省「令和5年度 食料・農業・農村白書」
農林水産省「海外農林水産情報」
農林水産政策研究所「[主要国農業政策・貿易政策]プロ研資料 第2号(2020.3) 第4章」

アフリカビジネス事務局
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BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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