【2025年版】アフリカビジネス注目国「ケニア」|経済・人口・日系企業の進出状況を徹底解説

「東アフリカ経済を牽引するIT先進国」ケニア

「ケニア」と言う国名を聞き、野生動物の楽園サバンナ、地平線に沈む真紅の太陽といった豊かな自然を連想する方が多いかもしれません。

その一方、ケニアは21世紀のフロンティアと呼ばれるアフリカの中でも特に順調な経済成長を遂げており、今や東アフリカ経済を牽引するIT先進国として存在感を高めています。

そこで本記事では、アフリカビジネス最重要国の一つであるケニアの経済や社会の最新事情、さらに日系企業のビジネス進出事例についても最新のデータから掘り下げてお伝えします。

弊社、BE FORWARDの提供するアフリカマーケットリサーチでは、ケニア現地のアンケート会員を対象に現地調査が可能です。ケニアへの進出をお考えの方、ご興味をお持ちの方はぜひこちらもご覧ください。

データから見るケニア:人口、民族、地理など

「人口増」そして「若さ」が経済成長の追い風に

ケニアの人口は5244万人で、アフリカでは第7位です。(参照元:2024年IMF推計)他のアフリカ諸国と同様に人口増のペースは早く、過去30年間でほぼ倍増しました。現在、出生率はやや鈍化してきたものの、今後も年間100万人以上というペースで人口増加が見込まれており、2050年には約8400万人まで増えると予測されています。(参照元:UN World Population Prospects 2024)

そして、国全体の平均年齢は非常に若く、15歳未満が39%、15〜60歳が55.3%となっています。さらに、今後ケニアは生産年齢人口が増加する人口ボーナス期に入るため、経済成長への追い風が期待できるでしょう。

●関連記事:アフリカで人口の多い都市ランキングTOP5 ビジネス進出に最適な都市とは?

「超・多民族国家」ケニア

ケニアは、なんと100以上の民族が暮らす多民族国家です。代表的な民族だけでも、キクユ族(22%)、ルヒア族(14%)、ルオ族(13%)、カレンジ族(12%)、カンバ族(11%)と数多く、他にマサイ族、サンブル族、トゥルカナ族、ソマリ族などが居住しています。

そのため、イギリス植民地時代から使われている英語と、タンザニア、ウガンダ他、東アフリカ諸国の共通語であるスワヒリ語が公用語とされています。

宗教はキリスト教徒が多数派で全体の約83%(うちプロテスタント約47%、カトリック約23%、その他宗派約13%)を占めていますが、イスラム教徒人口も約11%、さらに、伝統宗教やヒンドゥー教徒なども暮らしています。このようにケニアに多くの宗教が根付いた背景は、古来から交易などで様々な民族と交流してきた歴史によるものです。

東アフリカ最大の都市ナイロビ・国際貿易港モンバサ

次に、ケニアの首都ナイロビ第二の都市モンバサについて紹介します。

現在約500万人の人口を擁するナイロビは、赤道直下に位置するものの標高1700mの高原地帯にあるために年間を通して涼しく、平均気温は17℃です。近代的なビルが立ち並ぶ様子からリトル・ニューヨークと称される一方で、すぐ近くにはナイロビ国立公園の広大なサファリが広がり、東アフリカ観光の玄関口としても発展してきました。

また、近年はIT経済の発展を背景に「シリコンサバンナ」の異名を持ち、アフリカならではの社会課題へ取り組む数多くのユニークなITスタートアップを輩出する都市としても注目されています。

南東部のインド洋に面した第二の都市モンバサ(人口約140万人)は東アフリカ最大の国際貿易港で、ウガンダなど周辺の内陸国向けも含めた物流の要として発展しています。

なお、ケニアの都市人口は現在、全人口の約30%にすぎません。近年ナイロビを中心に急速に都市化が進んでいますが、今後の経済発展にともなう都市化のポテンシャルも大きいため、道路、鉄道、通信、エネルギーなどのインフラビジネスにも注目です。

広大な国土と多様な気候

ケニアの国土面積は約58万㎢で、日本の約1.5倍とかなり広大な国です。

赤道直下に位置しているものの、標高が高い中央部は年間を通して涼しく、適度な降水量もあり農耕に適しています。

ケニアは農業がGDPの約2割、輸出の約3割を稼ぎ出す農業大国で、主要な農産物は、紅茶、コーヒー、切り花などです。他にも大豆、麦、じゃがいも、豆類、畜産などが広く行われています。

政情・治安

過去には大統領選挙の際に民族対立による暴力も見られましたが、現在は議会制民主主義が定着しつつあり、政権交代も平和裡に行われています。

近隣諸国との関係は良好で、内戦に苦しむソマリアなどからの難民の受け入れ、和平調停などへも積極的に関与してきました。また、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダンとともに結成された東アフリカ共同体(EAC)の盟主として域内貿易活性化へ向けたインフラ整備などの経済協力を進めています。

治安についてはどうでしょうか?ソマリア・ウガンダ・南スーダンとの国境地帯など一部地域はイスラム系過激派の活動が見られたり、昨今のインフレ悪化の影響で首都ナイロビでもCBD(市内中心部)など一部地区では治安が悪化しています。

しかし、現在のケニアでは、治安上のリスクが高いのはあくまで一部地域にとどまるため、最新の情報を入手し、リスクが高い地域を避ければビジネス、観光なども問題なく行える状況と言えるでしょう。なお、ケニアにおける治安状況については、こちらの記事でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

東アフリカ最大のケニア経済

次にケニア経済の最新状況について見てみましょう。

まず、GDP(名目・2024年)は約1209億USドルで世界では65位、アフリカでは7位ですが、東アフリカ諸国の中では最大規模で、域内のGDP合計の約4割を占めています。(参照:IMF推計)

一人当たりGDPは国全体では2,305USドルですが、経済力が高い首都ナイロビではすでに6000USドルを超えています。これは、過去の日本に置き換えると高度成長期の真っ只中であった1970年代後半と同じ水準です。

産業別GDP構成比(2021年度)は、トップが約22%を占める農林水産業、その次が約11%の交通・運輸業、他は製造業、建設業、小売・卸売業、金融業が各7〜8%という内訳です。

2024年の実質GDP成長率は4.7%で、過去20年ほどの成長率の推移をみてもリーマンショックのあった2008年、コロナショックが起きた2020年以外はほぼ4%以上の経済成長を記録しています。ただし、GDPの構成比の中で農業が占めるウェイトが相対的に高いため、天候不順などによって農業生産が変動した場合のGDPへの影響には注意が必要です。

急速にIT化が進む「シリコンサバンナ」 

さて、現在ケニアはアフリカきってのIT先進国としても知られています。

そのきっかけとなったのは、2007年にケニア最大の通信事業者サファリコムが開始した世界初の携帯電話のショートメッセージ機能により送金できるモバイルマネーシステム「M-PESA」です。

ケニア国民の多くは現在も銀行口座を持っていません。しかし、M-PESAによって、送金、受け取りだけでなく、預金、決済、ローンといった従来は銀行口座が必須であった様々な金融サービスを利用が可能になりました。

現在M-PESAはケニアの全国民の80%に普及し、総取引額はGDPの半分を超える巨大なサービスへと成長し、人々の生活に必要不可欠なインフラとしての地位を確立しています。

さらに、ケニアのEコマース市場は現在アフリカ3位で、平均16.4%の成長率で拡大しており、2025年の市場規模は23億ドルと予測されています。このような急成長の要因は、国民の平均年齢の若さとスマートフォン普及によるモバイルインターネット人口の拡大です。すでにケニアでは携帯電話の普及率は全人口の100%以上に達し、その半数以上がスマートフォンを利用していると言われています。

アフリカでは、このように社会課題をITによって解決する動きが活発で、既成概念を覆すようなサービスが次々に実現しています。ケニアでのスタートアップ勃興の動きについては、こちらの記事でも紹介しておりますので、ご興味があればぜひご覧ください。

●関連記事:シリコン・サバンナ、ケニアの現状

課題:インフレーションと貧富の格差拡大

今まで紹介してきたようにケニア経済は将来有望といえますが、その一方で幾つかの課題も抱えています。

まず、石油などエネルギー資源の海外依存度が高く、特に石油は100%輸入頼りという状況です。経済成長に伴ってエネルギ〜需要も高まっているため、ロシアによるウクライナ侵攻の直後などのように国際的な原油価格が高騰すると、経済への影響が非常に大きくなります。

次に、国内の製造業がまだ脆弱なので、世界的なインフレーションなどによって輸入消費財価格が上昇するとケニア国内で消費者物価を直撃する点も課題です。対策として、例えばスマートフォンはケニア政府肝入りで国産メーカーが設立されるといった動きも取られています。

●関連記事:ケニア・タンザニアの834名にアンケート!スマートフォン、アプリの利用状況

急速に発展する首都ナイロビですが、その一方でアフリカ最大と言われるキベラスラムが存在し、一説には100万人が居住していると言われています。経済成長によって貧富の格差が拡大しつつあり、2024年には政府の増税案に抗議するデモが暴徒化して多数の死者が出るなど、貧困問題が治安の不安定要素となっている点も見過ごせません。

日系企業の進出事例

商船三井

海運大手の商船三井は、2023年にナイロビに面積800平方メートルの倉庫2棟を設置して倉庫業に乗り出しました。ケニアを起点に東アフリカを網羅するロジスティクス網の構築を計る戦略です。

高い保管品質が必要となる医療用品や医薬品、医療機器等といったヘルスケア分野に注力しており、2024年にはケニアの大手医療用品製造会社であるRevital Healthcare (EPZ) Limitedとの提携で合意し、モンバサ経済特区にて医療用品・医薬品の物流センター建設を予定しています。

荏原製作所

ポンプやタービンといった産業用機器大手の荏原製作所は、2022年にナイロビに販売拠点を開設し、農業用ポンプ・産業用ポンプの市場開拓を行っています。

また、ケニア農業の生産性向上へ向けた新規事業として、未電化地域でも駆動し水資源を有効活用できるソーラー点滴灌漑設備のリースビジネスも開始しました。

住友商事

総合商社大手の住友商事は、2023年にサファリコム及びその傘下企業のM-PESAと共同で、ケニアのフィンテック分野などを対象に優良スタートアップを発掘、共同で新規事業を創出するアクセラレータープログラムを開始しました。

一例として、ケニア、ウガンダ等でモバイル少額決済によるスマートフォン、家庭用ソーラーシステム、電動バイクなどの割賦販売を行うM-KOPA社へ出資し、事業拡大や顧客基盤の拡大へのサポートを進めています。

サグリ

兵庫県丹波市に本社を置く農業支援スタートアップのサグリ株式会社は、ケニアの農業サービス企業であるLentera Africa Ltdと提携し現地にて事業を開始しました。

具体的なビジネスモデルとしては、サグリ社がAIポリゴンと衛星データによる土壌化学性評価をLentera社の傘下の農家及び管理する農地向けに提供し、効率的な農地の管理と生産性の向上へ貢献しています。

まとめ

今回の記事では、東アフリカのハブとして着実な経済成長を遂げ、さらにIT活用で注目されるケニアの最新事情と、現地へ進出する日本企業について紹介いたしました。アフリカビジネスには非常に大きな可能性があるものの、実際に進出を成功させるためには、綿密な事前の現地リサーチに基づいた戦略的な事業展開が大変重要です。

その第一歩として、弊社、株式会社ビィ・フォアードでは、アフリカビジネスのエキスパートとして豊富な実績、ノウハウを「マーケットリサーチサービス」により提供しています。ケニアのアンケート会員を対象に、以下のような現地調査が可能です。

・ケニア・タンザニアの1,131人に聞いた!動画サービスについてのアンケート調査
・ケニア・タンザニアの1,162人に聞いた!服やファッションについてのアンケート調査(前編)

また、株式会社ビィ・フォアードでは、アフリカビジネスに対して様々な切り口からブログによる情報発信を行っております。ご興味がありましたら、こちらのリンクよりご参照ください。

参考:
ジェトロ ケニア経済概況
ジェトロ 地域・分析レポート
商船三井 ニュースレポート
住友商事
日本エネルギー経済研究所

アフリカビジネス事務局
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BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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