土曜日, 6月 21, 2025

日本企業の越境EC、今どうなっている? 最新の取り組みや成功事例を紹介!

全世界で急速に成長する越境EC

世界的なデジタル化・インターネット普及の加速に伴い、現在、全世界的にEコマース(EC)が急速に成長しています。特に、2020年に発生した新型コロナウイルスのパンデミック以降は人々の消費行動のオンライン化が進み、既存の商取引からECへの置き換わりがさらに加速していると言えるでしょう。

経済産業省の統計によれば、2022年の世界のBtoC-EC(企業による消費者向け電子商取引)市場規模は5.44 兆US ドル、EC化率は19.3%と推計されており、2026年には 7.62 兆 US ドル、EC 化率は 23.3%にまで上昇すると予測されています。(参照:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書 経済産業省商務情報政策局 情報経済課)

もちろん、日本国内においても、ECの市場規模、及びEC化率は拡大の一途を辿っており、2023年の国内のBtoC-EC市場規模は、前年比9.23%増の24兆8435億円に拡大しました。

さらに、世界的なトレンドとして現在急速な成長を遂げているのが、国境をまたいだ取引である「越境EC」です。

同じ令和4年度の経済産業省統計によれば、世界の越境EC市場規模は2021年の推計7,850億USドルに対し、2030年の予測は7兆9,380億USドルと、わずか9年で10倍以上に拡大すると見込まれています。

2023年の日本・米国・中国の3カ国間における越境BtoC-ECの販売額比較データによれば、日本は中国、アメリカの両国に対して合計3.5兆円近くの黒字を記録しました。(参照:経済産業省 令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査))

中国向けアメリカ向け合計
①日本のBtoC-EC販売額2.43兆円1.48兆円3.91兆円
②日本のBtoC-EC購入額0.04兆円0.38兆円0.42兆円
日本のBtoC-EC収支(①-②) 2.39兆円1.1兆円3.49兆円

同年の日本全体の貿易収支は、総輸出:約100.9兆円、総輸入:約110.2兆円。つまり、約9.3兆円の貿易赤字となっているので、このBtoC-ECの分野には、すでに日本全体の貿易収支にも貢献するほどのインパクトがあると言えるでしょう。(参照:財務省 令和5年分貿易統計(速報)の概要)

このように活況を呈しているECを支える基盤の一つが、AMAZON、eBay、Shoppify、天猫国際、京東国際といった各国のECプラットフォームの存在です。特に海外においては、単なるオンラインストアの構築だけでなく、多言語対応、現地通貨での決済、クレジットカードや電子マネーといった多様な決済システムへの対応、物流連携、顧客管理、SEOやSNSを活用したマーケティング、顧客サポート窓口、各国の法規制への対応など多岐に渡ります。

越境ECビジネスの方法としては他にも自社サイトの構築という選択肢もあります。しかし、これから初めて越境ECを始める、または実際の店舗や取引先を持たない新規市場へ参入するという場合は、対象国に多くのユーザーを持つECプラットフォームを利用するメリットは大きいのではないでしょうか。

日本企業による越境EC取り組み事例

このように大きな将来性がある越境ECビジネスですが、具体的にどのようなビジネスモデル、成功事例があるのでしょうか。ここからは、日本企業による越境ECの最新の取り組み事例を紹介します。

株式会社ファーストリテイリング

UNIQLO、GUなどのブランドを世界中で展開する株式会社ファーストリテイリングは、2024年度の年間売上高が初めて3兆円を超え、衣料品業界では世界トップ3の売り上げを誇ります。

今や日本を代表するグローバルブランド「ユニクロ」は24の国と地域で2400を超える店舗を展開しています。

同社は『ECを本業に』とのスローガンの元、2023年度は国内ECにて1338億円を売り上げ、国内ネット通販売上高ランキングで9位にランクインしました。特に、実店舗とオンラインを一体化するオムニチャネル施策に注力し、例えばオンライン限定カラー・限定商品の発売、オンライン購入品の受け取りやサイズ交換などを店舗で行えるといったオンライン・店舗のサービスの相乗効果を高める施策を行っています。

また、全世界売り上げのうちEC化率30%を目標に、海外においても各国の店舗展開と並行してグローバル統一のデジタルコマースプラットフォームを構築し、スマホアプリやECサイトと店舗を併用することによって顧客とダイレクトに繋がるための環境を整えてきました。

その結果、2021年度にはアプリ・EC会員はグローバルで約1億4000万人に増えており、海外事業のEC化率は約20%まで伸長し、グループ全体のEC売上高も約3800億円と全体の約18%に達しています。

アイディーテンジャパン株式会社

アイディーテンジャパン株式会社は、2008年の創業以来「Japan’s Native Products (地域産品) の新しい価値を見つける」というコンセプトのもと、日本各地で伝統を受け継ぎ発展してきた日本酒、およびその文化を世界に発信するため、越境EC事業に取り組んできました。

2021年にスタートした多言語対応の越境ECサイト「Japanpage:Sake」では、世界一律の商品価格で日本酒を1本から世界50カ国以上に輸送できるサービスを実現しました。

また、海外への小口配送の際の輸送費高騰を抑えるため、国内で主流の四合瓶ではなく直径83mm×高さ173mmサイズ(容量180ml)のアルミ缶による日本酒ブランド「KURA ONE」を立ち上げました。その結果、輸送費の削減と、日本酒を初めて味わう海外の顧客でも飲みやすいサイズでの販売を両立させることにより、現地での販売増に繋げています。小容量の缶による販売という特長を生かし、様々な産地、酒米の種類の異なる銘酒を詰め合わせて販売するといった取り組みも行い、越境ECを通じて日本酒文化の国際的な発信へ貢献しています。

株式会社TOKYO OTAKU MODE

株式会社TOKYO OTAKU MODEは2012年に米国デラウェア州にて創業し、日本のコンテンツの海外販売を通じ、日本の良さを発信するという理念のもとで今や世界的に注目されている日本のアニメ、漫画といったポップカルチャーに関する製品の越境EC、海外配送代行事業を行っているスタートアップ企業です。

注目すべきはそのSNS戦略で、同社では世界中の約2000万人からフォローされるFacebookページを基盤として、アニメグッズなどの商品販売やタイアップ広告といった事業を展開し、世界130カ国以上の顧客に商品を販売しています。

また、現在、アニメや漫画などのキャラクターグッズ販売では世界的に海賊版が横行して問題となっていますが、同社ならばメーカー純正品を購入できる、というユーザーからの高い信頼を得ていることが強みと言えるでしょう。

なお、同社は2023年に以前から提携関係にあった小学館グループの一員となり、現在は小学館グループの持つコンテンツ、知的財産も活用しながら、TOKYO OTAKU MODEブランドの発信と越境ECビジネスなどの海外展開の強化に取り組んでいます。

株式会社ビィ・フォアード

弊社、株式会社ビィ・フォアードは2004年に創業し、当初はニュージーランド、オーストラリア、カナダなどへ日本製のスポーツカー輸出ビジネスからスタートしました。

2008年頃から本格的にスタートしたアフリカへの中古車輸出は、現在では月15000台という規模に成長し、新興国を中心に世界207の国と地域との取引実績があります。2023年度の売上高は日本からの輸出を主にする越境EC業者として最大の1084.3億円で、国内ネット通販売上高ランキングでは11位にランクインしました。将来の目標として新興国のamazonを目指して市場開拓と商材の拡充に取り組んでいます。

では、株式会社ビィ・フォアードのビジネスモデルの特色とはどのようなものでしょうか?

一つ目は、世界で最も品質がよく価格的にも優れた日本の中古車を、世界各国の消費者が購入しやすいECプラットフォームを構築したことです。このサイトには消費者自身がスマートフォンでアクセスでき、中古車の購入だけでなく、通関や海外物流まで全ての手続きをワンストップで行うことができます。それだけでなく、掲載されている写真などの商品情報も充実しており、消費者からの高い支持を得ています。

二つ目は、独自の物流網を整備し、船舶輸送だけでなく消費者の元へ陸路で届ける体制を整えたことにより、納期短縮とコストダウンを実現しました。この物流網は、アフリカなどで越境ECを行う他社の物流サービスへも活用されています。

三つ目は、代金先払いで中古車販売を行うビジネスモデルを確立したことにより、キャッシュフローに強みを持っていることです。このような販売方法が可能であることも現地の消費者から高い信頼を得ている証左と言えるでしょう。

四つ目は、新興国、特にアフリカ各国における高い知名度と現地に密着したマーケティング力です。例えばアフリカ各国にエージェントオフィスを設置し、同社のECサイトは38の言語に対応しており、全世界で月間6000万PVを誇ります。また各国への援助活動に積極的に参加し、マラウイではプロサッカーチームのスポンサーとなるなど、地域への貢献にも積極的に取り組んでいます。

なお、株式会社ビィ・フォアードの越境EC事例については、過去にもこちらの記事で紹介しておりますので、ぜひあわせてお読みください。

・アフリカビジネスを切り拓く!越境ECサイトによる中古車輸出販売、BE FORWARDのビジネス事例

・越境EC売上高ランキング国内No.1!越境ECで成功をおさめたビジネスモデルを解説(前編)

・越境EC売上高ランキング国内No.1!越境ECで成功をおさめたビジネスモデルを解説(後編)

株式会社ビィ・フォアードによる越境EC支援サービス

現在取引がない国や地域での越境ECビジネスを、市場調査からビジネスの立ち上げまで全て独力で行うのは大変手間もかかり、海外特有のリスクもあります。しかし、株式会社ビィ・フォアードでは、これから越境ECビジネスを検討している企業様を対象に、自社の越境ECプラットフォームや海外ネットワークを活用した様々なサービスをご用意しています。アフリカや新興国での越境ECビジネスにご興味があれば、ぜひ詳細をご確認ください。

BE FORWARDマーケットプレイス

海外マーケットへの参入・拡大を狙う中古車販売業者様を対象として、株式会社ビィ・フォアードが運営する中古車輸出プラットフォーム「beforward.jp」に中古車を掲載し、販売、輸出、納車までを代行するサービスです。また、Marketplaceについては、以下の記事に詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
・アフリカビジネス 中古車輸出に新規参入するためになぜ「Beforward Marketplace」がいいのか 

アフリカマーケットリサーチ

アフリカへのビジネス進出や認知度向上を目指す企業様向けの市場調査サービスです。株式会社ビィ・フォアードのアフリカでの知名度と、56の国・地域における現地パートナー93法人という幅広いネットワークを活用し、個別にご要望をヒアリングの上で最適なプランをご提案いたします。具体的には、オンラインアンケート、現地でのグループZOOMインタビュー、現地スタッフによる店頭訪問・競合他社製品の取り寄せといったサービスを実施しています。

バナー広告サービス

クライアント企業様のアフリカビジネスのための広告ニーズに応えて、月間6,000万ページビュー数を超え、アフリカで最も知名度の高い越境ECサイト「beforward.jp」国別ランディングページにバナー広告を掲載できるサービスです。

ポチロジ(海外輸送代行サービス)

海外に拠点を持たない日本企業様を対象とした、越境ECのための海外物流サービスです。具体的には国際航空便サービス、コンテナ混載サービス、中古車輸送サービスを展開しています。ユーザー企業様は株式会社ビィ・フォアードの倉庫までの貨物搬入を行っていただくだけで、その後の現地カスタマーまでの物流を全て対応します。

今回の記事では、日本発の越境ECビジネスの様々な成功事例とその理由、および弊社ビィ・フォアードのビジネスについてご紹介いたしました。アフリカ・新興国向けビジネス、および越境ECの立ち上げに興味をお持ちの企業のみなさま、ぜひ弊社、株式会社ビィ・フォアードへご相談ください!
ご相談は随時、無料で受け付けております。

アフリカビジネス事務局
アフリカビジネス事務局
BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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