世界的に注目されているアフリカの将来性
21世紀のフロンティアと呼ばれ、長期的な経済発展が期待されているアフリカ。
世界的な物価高騰や、一部の国ではイスラム過激派のテロといった社会不安、または自然災害、環境問題といった課題を抱えながらも、国連の報告によるとアフリカ全体の経済成長率は2023年に3.3%、2024年に3.5%予想といずれも世界平均を上回り、じわじわと国際的な影響力を増しています。
アフリカでは今、どういったポジティブな変化が起きているのでしょうか?
まず、現代のアフリカでは人類史上最速とも言われる急速な人口増により、どの国においても人口構成が若い世代中心になっています。この若い世代がこれから経験する子育てや住宅購入といったライフイベントと並行し、各国では都市化や高速道路網、鉄道といった社会インフラ整備により「人口ボーナス期」を迎えると予想されており、長期的な経済成長が見込まれています。同様な状況が戦後の日本の高度経済成長期にも見られました。
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さらに、どの国も平均年齢が若いため、新しい技術の導入やライフスタイルの変化に柔軟という特徴があります。既存の社会インフラが乏しいところに一気にデジタル化やIT導入が進む「リープフロッグ現象」が各国で見られる点にも注目すべきでしょう。結果として、モバイル決済やEコマースなどの普及が先進国を上回るスピードで進んでいる国もあります。
(関連記事:フィンテックが促進するアフリカの越境ECとスタートアップの発展)
このような背景により、日本企業のアフリカ進出の件数も着実に増えています。特に規制の枠に囚われないビジネスを志すならば、むしろアフリカにこそチャンスが眠っているかもしれません。
従来、日本の若者やビジネスパーソンにとって就職、起業といった海外挑戦の舞台は欧米またはアジアが中心でした。しかし、アフリカ経済の将来性や得られるであろう経験値やスキルを考えると、アフリカも有力な選択肢になり得るのではないでしょうか。
そこで、これからアフリカに関わる仕事、具体的には就職・起業・インターンなどに挑戦し、ビジネスキャリアを積み上げていくにはどのような道筋があるかを紹介したいと思います。
まずは情報収集から!
もしあなたがアフリカに関わる仕事に就きたい、特に現地で働きたいと考えているならば、まずは具体的に現地での仕事や生活をイメージするための情報収集からスタートするのが良いでしょう。
すでに多くの日本人がアフリカでのインターンを経験したり、アフリカでの現地駐在や海外就職、または自ら起業といった様々な形でビジネスに取り組んでいます。また、国際NGOやJICA青年海外協力隊などに所属するという方法もあります。そういったアフリカ経験者の生の声が集まるメディアをいくつか紹介します。
BE FORWARD
弊社、株式会社ビィ・フォアードが運営する、アフリカビジネスのノウハウや、各国の社会や経済の様々なトピックに特化した情報サイトです。これまでに株式会社ビィ・フォアードが15年以上の中古車輸出ビジネスを通じてアフリカ全域で培ってきたビジネス経験だけでなく、例えば最近の記事だけでも、ヘルスケア、カーボンクレジット、スマート農業などといった、幅広い分野についてアフリカ各国の最新情報が紹介されているため、より具体的にアフリカビジネスや現地での生活についてイメージする助けとなるのではないでしょうか。
Africa Quest .com
一般社団法人アフリカクエストが運営するウェブメディアで、合計2,000本を越える記事が収録されています。また、アフリカに関する最新のビジネストピックだけでなく、海外青年協力隊員、現地駐在のビジネスマン、ベンチャー起業家、バックパッカーなどが寄稿しているため、様々な視点による現地の生の情報を知ることができます。また、ウェブメディアの他にも、雑誌、Podcast、SNSといった媒体でも発信中です。
タイガーモブ
2016年に設立された海外インターン専門のエージェントであるタイガーモブは、アジアを始め、アフリカ、南米、中東といった新興国を中心に世界各国でのインターン紹介を行っており、これまでの実績は累計1400人にのぼります。
同社のウェブサイトには、海外インターン体験談(タイモブログ)として豊富な事例が紹介されており、国や職種からの絞り込みも可能なので効率よく情報収集を行えるのではないでしょうか。
求められるスキル、経験、マインドとは?
では、実際にアフリカを舞台に活躍するためにはどのような資質、スキル、あるいは業務経験が求められているのでしょうか。海外インターン、民間企業(日系メーカー)、JICA、国際NGOといった幾つかの実際の求人募集から確認してみましょう。
事例1 インターン・日系企業(ケニア・ナイロビ、最低3ヶ月以上)
ケニアを拠点に社会課題解決型ビジネス創出を目指すコンサルティング会社でのインターンです。業務内容はアフリカ現地の市場調査および業務資料作成、ウェブサイト・SNS運用、現地研修プログラムおよびコミュニティハウスの運営など。応募条件は以下の通りです。
①英語中級レベル(TOEIC800点以上)
②業務を遂行する上で必要な日本語力
③基本的なPCスキル
④Googleアプリ(ドック、スプレッドシート、スライド他)、 E-mail等実務でのPC使用経験
⑤オンライン会議システム(Zoom等)やチャットサービス、SNSなどの基本的なスキル
この例に関しては、現地駐在ということから英語力については一般的なビジネス英語レベル(TOEIC730点以上)より高い、外資系企業レベルが要求されていますが、それ以外の項目についてはそれほど厳しくはありません。むしろ外国生活に適応する柔軟性、コミュニケーション能力や現地での生活を不便さも含め楽しむことができるメンタルの強さが重要と考えられます。
事例2 インターン・農業(ウガンダ、3ヶ月)
ウガンダ農村部でバニラ・カカオ農園を運営する日系ベンチャー企業でのインターンです。業務内容としては現地の農園、加工場での農作業、及び雑務(経理業務やSNS発信等)。応募に際して求められる資質は以下の通りです。
①経営コンセプトを理解し共有できること
②ウガンダ人スタッフと基本的な日常会話ができる英語力
③アフリカの田舎生活への適応できること
④成果に向かってコミットする意識を持ち能動的に考えて動けること
アフリカの大地での農業・農産物加工、現地マネージメントという仕事そのものはタフですが、トラブル対応力、サバイバル能力、交渉力といったものを培う得難い経験となるでしょう。
事例3 求人募集・日系メーカー(社会人採用、新規事業開発責任者)
募集人材は、アフリカ向けの2輪電動バイク事業の管理職候補です。現地でのマーケティング(市場調査等・競合調査)を踏まえた新規事業開発の責任者で、具体的には相手国の政府、現地パートナー企業との折衝など対外業務および、管理職としてのマネージメント及び社内調整と多岐にわたります。
応募条件としては、英語を用いて海外のステークホルダーと折衝しながらの
①プロジェクト型の新規事業開発 、または、②プロジェクトマネジメントの経験が必須です。アフリカでの新規ビジネス立ち上げという難易度も責任も大きなポストであるからこそ、高スペックの人材を獲得したいという意図が伝わってきます。
事例4 求人募集・国際協力機構(JICA) セネガル現地事務所勤務
次は、海外協力隊など様々な国際協力事業を行っているJICAのアフリカ派遣求人の事例です。
業務内容は、政情が不安定化している西アフリカ諸国の治安情勢の分析と、現地駐在のJICA関係者に対し、必要に応じて注意喚起や具体的な安全対策・措置を講じるという、重要かつ専門性を要するものです。そのため、応募者に求められるスペックも高く、語学力については、英語、仏語の両方において以下のような高いレベルが要求されています。
①英語:TOEIC730点、TOEICS&W290点、TOEFL550点(CBT213点、iBT79点)、英検準1級、国連英検B級、IELTS 6.0、ケンブリッジ英検FCE以上
②仏語:仏検2級、DELF第1段階(DELF B1)、仏語能力認定試験(TEF)361点以上、仏文部省認定仏語能力テスト(TCF)300点以上相当
また、職務経験においても過去に同じような業務経験(3年以上)があること及び、国際機関の経験、JICA企画調査員の経験、安全管理担当の経験、開発途上国での業務経験が望ましいとされています。
事例5 現地スタッフ募集・国境なき医師団(国際協力活動NGO)
アフリカの紛争地帯、伝染病発生地域などで活動する国際NGO「国境なき医師団」は医療支援だけでなく、避難民への食料支援、清潔な水を供給するための技術支援など幅広く活動しており、医療職だけではなく非医療職も含めた様々な職種で募集が行われています。具体的には現地の活動を物資調達や管理面から支えるゼネラル・ロジスティシャンや、車両整備、建設、水・衛生、電気、医療機器の保守管理の専門職などがあります。
ゼネラル・ロジスティシャンの場合、応募条件は、2年以上の実務経験、ロジスティックの専門分野のうち少なくとも1つの分野のスキルまたは実務経験、管理職・チームリーダー等の業務経験です。また、NGOや発展途上国での経験は選考にあたって評価されるでしょう。
まとめ
ここまで、アフリカでのインターン、就職により現地でのビジネスや国際協力活動に携わるための情報収集方法や、具体的な求人事例を踏まえ、求められる人物像、語学力、業務経験、マインドなどを紹介してきました。
お読みいただいてアフリカビジネスへの興味、関心がさらに強まったのであれば、まずは旅行、または短期のインターンやボランティアなどによって自分自身で実際にアフリカを訪れて現地の人々と触れ合うことをお勧めします。いきなり海外就職はハードルが高いのであれば、まずはアフリカビジネスに携わる日系企業への就職という選択肢を検討するのも良いかもしれません。
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