【2025年版】アフリカビジネス注目国「エジプト」|経済・人口・日系企業の進出状況を徹底解説

知っているようで知らない国、エジプト

アジアとアフリカ、二つの大陸をまたぐ唯一の国であるエジプト。地政学上の要衝に位置するこの国は、古代から現在まで常に、政治、経済、文化や宗教など様々な面で重要な役割を果たしてきました。

「ナイル川の賜物」と呼ばれ、古代王朝だけでなくローマ帝国も支えた豊かな農業地帯
イスラム世界の中心として栄えた首都カイロ
…アジアとヨーロッパを結ぶ国際貿易の要、スエズ運河
…第二次世界大戦後、非同盟諸国のリーダーとして存在感を発揮
…ピラミッド、アブ・シンベル神殿など数多くの世界遺産を持つ観光大国

おそらく私たち日本人にとっても、アフリカの中では情報量が多い国ではないでしょうか?
しかしこれは、エジプトという国のほんの一面に過ぎません。

エジプトはアフリカトップクラスのGDPを誇る地域大国、かつ将来的にも持続的に人口増と経済成長が予想されている、アフリカビジネスにおいて非常に重要な国なのです。

それでは、エジプトの実情と将来有望な分野、日本企業の進出状況まで最新データから紹介していきましょう。

数字で見るエジプト:人口、地理、政治経済

アフリカ第3位の人口と民族・宗教構成

エジプトはナイジェリア、エチオピアに次ぐアフリカ第3位の人口大国です。IMF(国際通貨基金)の推計では2024年の人口は1億730万人で、過去30年で倍増しました。平均年齢は24歳と若く、現在も毎年2%近く増加が続いており、2050年の推定人口は1億7400万人と予想されています。

 民族・宗教構成としては、イスラム教スンニ派を奉じるアラブ系が全体の90%程度を占めますが、キリスト教徒(エジプト独自の宗派であるコプト教徒)も約1000万人ほどが暮らしています。

世界有数の大都市:首都カイロ 

エジプトの首都カイロは中東、アラブ世界を代表する都市です。周辺地域を含めた「グレーター・カイロ」の人口は約2,260万人(2024年推定)と世界有数の規模ですが、急激な過密化による慢性的な交通渋滞や住環境、公衆衛生の悪化に直面しています。

そのためエジプト政府は現在、カイロ郊外の荒野を開発し新首都を建設しています。第一フェーズとしてすでに行政機関や主要企業の本社移転が行われ、2027年までに150万人が居住できるように住宅、道路、上下水道、鉄道などのインフラ整備が進められる予定です。

地理:エジプトは「ナイル川の賜物」 

 エジプトの国土面積は100万㎢で日本の2.3倍もあります。しかし、その大半が砂漠気候のため、北部の地中海沿岸を除きほとんど雨が降りません。そのためエジプトの農業は古代からナイル川の水と上流からもたらされる肥沃な土壌に頼っており、耕地面積も国土のわずか4%にとどまります。

1970年に完成したアスワン・ハイ・ダムはエジプト南部でナイル川を堰き止め、灌漑による耕地面積の拡大やそれまで不可能だった多毛作を可能にさせたため、エジプトの食料生産は大幅に増えました。しかし過剰な灌漑がもたらす塩害や、ナイル川の水質悪化による住血吸虫病の流行という問題も発生しています。

また、近年では人口増や工業化による水不足が発生するだけでなく、上流のエチオピア、スーダンとの水資源活用権の争いも起きています。今後も、いかにナイル川からの恩恵を利用出来るかがエジプトの将来を左右すると言えそうです。

政情:権威主義的だが比較的安定している

エジプトでは1952年の共和制移行後、ナセル、サダト、ムバラクという軍人出身の大統領が長期政権を維持していたものの、2010年に「アラブの春」の影響で一時的に民主化します。しかし、急激なイスラム化政策が国内の政治経済の混乱を招いたため、2013年に再びクーデターが発生し、その後の大統領選挙で再び軍人出身のシシ大統領が就任しました。シシ政権は権威主義的な面もありますが、エジプト経済の好転により政情は安定し、現在は3期目を迎えています。

これまで軍部主導の政権のもとでは世俗的な政策がとられてきたため、経済状況の悪化などにより政権の求心力が低下すると、イスラム主義的な勢力への支持が強まる傾向があります。もしアラブ屈指の大国であるエジプトで政情が不安定化すれば、アラブ・中東地域全体への影響も大きいと言えそうです。

経済:実は購買力平価GDPではアフリカトップ!

 2024年のエジプト経済の規模は、名目GDPベースでは3830億USドルでアフリカ2位、世界全体では43位です。他の大陸で比較すると、パキスタンやルーマニアといった国がエジプトと同程度の経済規模です。しかし、評価指標を「購買力平価GDP」に変えると、エジプトのGDPは2兆2265億USドルとなり、アフリカ首位、世界全体でも17位とかなり順位が上がってきます。(参照元:世界経済のネタ帳)

これは、どういう理由なのでしょうか?「購買力平価GDP」とは、各国の名目GDPを各年の購買力平価(PPP)のレートで米ドル換算した値で、各国の物価水準の差を修正し、より実質的な比較を行うための指標とされています。つまり現在のエジプトは諸外国よりも物価が安く、自国通貨(エジプトポンド)の持つ購買力が相対的に高いと言えるのです。

また、エジプトのGDP(購買力平価GDP)は過去40年ほど右肩上がりで成長しており、特に21世紀に入ってからは成長が加速し、2000年から2024年の間に約6倍の規模となりました。(参照元:世界経済のネタ帳)今後も人口ボーナスの恩恵や政府主導のインフラ投資などを背景に基本的には順調な経済成長が続くと見込まれています。

比較的バランスがとれた産業構成

エジプトの主要産業のGDP構成比は、製造業・鉱業といった第二次産業が約36%農業が約12%商業+運輸業が約16%宿泊+飲食(≒観光業)が約9%情報通信+金融+不動産などのサービス産業が約27%となります。(参照元:国連(2018年統計より))

アフリカには、特定の商品作物や石油などの天然資源に主要産業が偏る、モノカルチャー的な経済構造を持った国がいまだ数多く見られますが、その中でエジプトの産業構成は比較的バランスが良いと言えそうです。

食料価格の高騰や紛争リスクが課題

 エジプトは世界最大の小麦輸入国であり、主食である小麦需要の半分を輸入に頼っています。そのため、ウクライナ戦争などに起因する世界的な食料価格の高騰などにより、世界銀行の推計によると2024年のインフレ率は33.3%と悪化しました。その後改善が見込まれてはいるものの経済活動への悪影響が懸念されます。

また、ガザ紛争の影響や、イエメンのフーシ派による紅海を航行する商船への攻撃により、2024年のスエズ運河の通行料収入は前年度から60%、金額にして70億ドル(1兆1000億円)ダウンしました。(参照元:ロイター)しかし、2025年5月にアメリカとフーシ派は紅海の商船攻撃停止で合意したとの発表があったため、これがスエズ運河の通行量の回復につながるかが今後注目されます。

今後の注目分野:個人消費、インフラ、再エネ

現在のエジプト経済は生産年齢人口が拡大する人口ボーナス期にあたるので、様々な課題やリスクはあれど当面は持続的な成長が期待できるでしょう。特に成長が期待できる注目ビジネスのキーワードを幾つかあげてみたいと思います。

個人・家計の消費拡大

経済成長によって中間所得層が増加することにより、マイホーム、家具・家電製品、自動車、ファッションや教育投資といった個人・家計による消費ブームが期待できます。日本においても戦後の高度成長期には3Cブーム(マイカー、カラーテレビ、冷蔵庫)などの個人消費の大幅な拡大が経済を刺激しましたが、同じようにエジプトでも消費ブームが起きる可能性は高いのではないでしょうか。

弊社、株式会社BE FORWARDの提供するアフリカマーケットリサーチでは、アフリカの家電に関する現地調査の結果を公開しています。ご興味お持ちであればこちらもあわせてご覧ください。

関連記事:ケニア・タンザニアで聞いた!「家電」の所有状況


Eコマースの急速な成長

全世界的な現象ですが、エジプトにおいても特にスマートフォンによるネット接続拡大によってEコマース市場が急速に成長しています。特にエジプトは若い世代の人口が多く、ネット利用への抵抗が少ないことが今後の市場拡大の追い風となるでしょう。

なお、エジプトでは銀行口座を持つ個人の割合は約30%、クレジットカードを所有者はわずか3%と非常に低いためにEコマース利用時の決済方法は、現金またはモバイル決済が中心ですが、すでに世界的大手のPaypal、Amazon、Apple、Google(Alphabet)などが進出しており、モバイル決済の市場規模は年率約17%と急拡大しています。

国家主導のインフラ整備

現在エジプトでは、総額580億USドルが投じられる予定の新首都建設だけでなく、スエズ運河の拡張化高速鉄道網(スエズ運河沿岸から新首都、カイロを経て地中海に面したアレキサンドリアまでの路線など合計1800km)といった政府主導のインフラ整備が急ピッチで進められています。

再生エネルギー投資(太陽光、風力)

エジプト政府は、国家目標として電源構成のうち再生可能エネルギー由来の発電(太陽光発電、風力発電)の比率を2030年に35%、2035年に42%へ高める計画を推進中です。

特に太陽光発電については、国土の大半が乾燥地帯のため水平面全天日射量(太陽光エネルギーの利用効率)が世界最高水準の6kwh/㎡(日本の1.5倍以上)で発電コストが安いこともあり、世界最大級のベンバン・ソーラーパーク(1465MW:100万世帯分以上の発電能力)の建設など、活発な投資が続いています。

日系企業の進出事例

富士フィルム

アフリカではエジプトなど7ヶ国で内視鏡などのヘルスケア事業を中心に事業を展開中です。内視鏡は小さな病変を早期に発見できるため世界的に需要が増加しており、かつ、エジプトなどの新興国では人口増加、経済成長による医療ニーズの拡大にビジネスチャンスがあります。しかし、内視鏡を取り扱える専門医は世界的に不足しているため、同社ではエジプトにテクノロジーセンターを開設し、現地の専門医の育成にも取り組んでいます。(参照元:JETRO) 

豊田通商

2024年に、40%を出資するスエズ湾風力発電所Ⅰ・Ⅱ(合計設備容量766.5MW)への150MW増設を発表しました。2025年8月の稼働後は、設備容量でアフリカ最大の風力発電所となる見込みです。このプロジェクトには他にも国際協力銀行(JBIC)や三井住友銀行といった日系の金融機関が融資により参加しています。(参照元:豊田通商)

日本工営

建設コンサルタント大手の日本工営グループでは、過密化が激しいカイロ都市圏の交通問題解決のため、カイロ市内中心部とピラミッドのあるギザ地区をつなぐ地下鉄4号線の整備事業に参画しています。この事業は日本政府のODA(円借款)を通じて行われ、日本が持つ世界一のトンネル掘削技術であるシールド工法を駆使し、2029年の開業を目指して建設が進められています。(参照元:日本工営ホームページ、外務省)

ダイキン工業

空調機器大手のダイキン工業は2016年に現地法人を設立し、新首都建設などによるオフィスビル需要を見込んだ業務用エアコン需要、及び、電気代の高騰による一般家庭用の高効率インバータエアコン需要増という二つの市場拡大を見込み、拡販活動中です。2025年3月に新首都に開設された新たな本部オフィスでは、拡販へ向けたショールームだけでなく、メンテナンス、アフターサービス専門技術者育成のための研修施設も稼働を予定しています。

(参照元:JETRO)

まとめ

今回記事では、アフリカ屈指の経済大国であるエジプトの最新状況とビジネスチャンスについて解説しました。しかし、日本から遠く離れ、文化や政情も異なるアフリカビジネスを成功させるには事前の綿密な市場調査と信頼できるパートナーの存在が欠かせません。

弊社、株式会社ビィ・フォアードでは、過去20年近く手掛けてきたアフリカへの中古車輸出ビジネスによって培った現地のビジネスノウハウ、エージェント網を持っています。

こういったリソースを活用し、現地の市場調査、広告、マーケティングといった幅広いアフリカビジネス支援サービスを提供していますので、ご興味があればぜひお気軽にお問い合わせください。

また、弊社、株式会社ビィ・フォアードでは、アフリカビジネスに対して様々な切り口からブログにて情報発信を行っております。ご興味がありましたら、こちらのリンクよりご参照ください。

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参考文献

IMF(国際通貨基金)

JETRO

国際連合

世界経済のネタ帳

豊田通商

日本工営

外務省

アフリカビジネス事務局
アフリカビジネス事務局
BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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