金曜日, 3月 29, 2024

アフリカ最新ビジネストレンド アフリカの奇跡、ルワンダの現状 ~後編~

凄惨な内戦を経て、著しい経済成長率を遂げた「アフリカの奇跡」と称されるルワンダ。前編では現在のルワンダの様子や特徴、日本とのつながりの事例をご紹介しました。

後編の今回は、ルワンダのICTへの取り組み、ビジネス事例を中心にお伝えします。

ICT立国を目指す、ルワンダの政策の3つの柱

2000年、ポール・カガメ政権発足後、カガメ大統領は「選択と集中」によって、成長の軸をICT、観光、高付加価値農業の3つに絞り込みました。

その中でも特に、ICT分野ではルワンダのみならずアフリカ地域全体の中心となって、デジタル化やスマートシティ化、社会経済の発展を牽引しています。

アフリカ地域ICT分野の中心地、ルワンダ

ルワンダの首都キガリ、ビジネス地区の眺め

ICT分野で活躍する女性を後押しする「Ms.Geekプログラム」

ルワンダは国家としてICTに注力し、若者や女性に向けた教育や起業を積極的に推進しています。

Miss Geek Rwandaは、STEM(科学、技術、工学、数学の4分野の頭文字)分野での起業を志す13歳から21歳の女性を対象としたコンペティションです。優勝者には賞金のほか、起業に向けた教育プログラムや設備の提供などが行われます。Miss Geek Rwandaは2014年にルワンダで開始し、現在はMs.Geek Africaとして、アフリカ地域の22か国が参加するコンペティションへと規模を拡大しています。

Ms.Geekプログラムの主催団体Girls in ICT Rwandaは、ルワンダの女性起業家や専門家とルワンダ政府のICT省が提携して誕生しました。ルワンダでは政府が一体となって、男性が中心と思われがちなSTEM分野やICT分野への女性の参入、キャリア構築に注力しています。

アフリカのデジタル化を推進する「スマートアフリカ」

スマートアフリカは、アフリカ地域のデジタル化推進に取り組む組織です。

アフリカ地域の 32 カ国、国際機関、グローバルに展開する民間企業から構成されています。

フェイスブック社、インテル社、マイクロソフト社など40以上の民間企業が加盟しており、2021年には日本のソフトバンク株式会社も提携。アフリカでの低価格なブロードバンドサービスの提供に向けた協業に合意しました。インターネット接続環境の構築から、将来は産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進まで取り組みを拡大するというビジョンを持ち活動しています。

スマートアフリカの本部はルワンダの首都キガリにあり、ルワンダは組織の中心的な役割を担っています。

アフリカ最大級のICTイベント「トランスフォーム・アフリカ・サミット」

トランスフォーム・アフリカ・サミットは、前述の スマートアフリカが主催するアフリカ最大級のICTイベントです。アフリカ地域に共通したICT重要課題の議論の場であり、最新技術やアフリカ地域向けのソリューションを公開する見本市としての役割も担っています。

ルワンダの首都キガリはこのイベントの開催地となっており、毎年5月にはICT分野に取り組む世界中の企業や、アフリカ各国から政治家、官僚、起業家、メディアなどが集まります。

トランスフォーム・アフリカ・サミットの開催地、キガリコンベンションセンター

ICT分野で世界とつながるルワンダ

ICT分野で先進的な取り組みを推進するルワンダは、他国の企業からも注目されています。

日本との提携:DMM.HEHE社(旧名称HeHe Labs)

HeHe Labsは2010年にルワンダで設立されたIT企業で、ソフトウェアの開発会社です。2017年に日本企業の合同会社DMM.comが買収しました。

HeHe Labsは、より多くの消費者にリーチできるビジネス環境を整えるためのソフトウェアソリューションを開発・提供するスタートアップです。地理情報テクノロジーを活用し、顧客へより容易にアクセスするためのサービスを開発しました。

2021年には農家と提携し、新鮮な野菜や果物を卸売価格で提供するサブスクリプションサービスをスマートフォンのアプリで展開しています。

創業者でCEOのクラリス・イリバギザ氏は、HeHe Labs を22歳の時に設立。2015年にはForbes誌のアフリカで最も将来性のある30歳以下の起業家30人にも選出されるなど、ルワンダを代表する女性若手起業家として注目されています。また、クラリス氏は、2012年にJICAの支援を受けて、前編でご紹介した神戸情報大学院大学で2カ月間の研修を受けており、日本とのつながりも持っています。

ドイツとの提携:Awesomity Lab社

ルワンダでは首都キガリへの人口集中が進む中、都市の交通インフラの整備が追い付かず、公共交通機関が欠如しており、自家用車普及率も低く、交通渋滞が深刻化しています。

その一方で、ルワンダの携帯電話普及率は約80%、特に都心部ではほぼ100%と非常に高い状況です。

こうした状況の中、ルワンダのAwesomity Lab社は、ルワンダ政府、ドイツ連邦経済協力開発省、ドイツ国際協力公社の支援の下、ドイツ企業と提携しスマートフォンを活用したEV(電気自動車)配車サービスを開始しました。

ドイツのVolkswagen社が車両の現地生産・輸入を担当。同じくドイツのSIEMENS社が充電ステーションの設置管理を担当。 そして、ルワンダのAwesomity Lab社がスマートフォンによる配車アプリ “move” を開発。

moveアプリに迎車位置と行き先を入れると、近くの登録運転手の車両が迎えに来てくれるライドシェアサービスと、個人的利用のための時間制貸出し(カーシェア)サービスを提供します。

Awesomity Lab社とmoveアプリは100万回以上の乗車サービスを提供し、ルワンダのアプリの中でも成功を収めました。

このサービスは、ルワンダ政府の目指す、海外投資の積極的な促進とルワンダ内での国内生産と雇用創出を同時にかなえました。首都キガリをデジタルイノベーション特区として、官民連携によるICT投資を推進した結果、経済的な成功と、交通渋滞という社会問題の改善、環境にやさしい電気自動車の利用を促進しました。

まとめ:アフリカでビジネスを展開するためには?

今回は、ルワンダをテーマにアフリカの現状をお伝えしました。

アフリカでのビジネス展開を考える際には、最適なシステムや顧客のターゲット層などをリサーチし、効果的な戦略を考える必要があります。

BE FORWARDは15年間でアフリカだけでも56の国と地域に販売実績があり、アフリカでの知名度とネットワーク、独自の輸出経路を持っており、それらを生かしたサービスを展開しています。弊社は、アフリカ進出のための調査「マーケットリサーチサービス」、アフリカの企業や個人にリーチする「バナー広告サービス」、商品や物資の輸送には「海外輸送サービス」など、幅広い内容でアフリカへのビジネス進出をサポートします。ご興味を持たれるものがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

参照元:
https://www.girlsinict.rw/msgeekafrica
https://girlsinict.rw/about
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20210630_05/
https://www.facebook.com/heherwanda/
https://dmm-corp.com/press/corporate/480/
https://www.mlit.go.jp/pri/shiryou/press/pdf/shiryou210611_3.pdf
https://awesomity.rw/our-story

浅見 佳
浅見 佳
大学時代バックパッカーとして各地を旅行したことから海外に興味を持ち、2017年に世界一周旅行を経験。訪日外国人へのインタビュー番組のラジオパーソナリティ、海外大学進学に関するイベント運営、貿易事務や翻訳など海外と携わる仕事を幅広く経験。現在は、中古車輸出販売で世界から注目を集める㈱ビィ・フォアードのデジタルマーケティング部にてオンライン集客などに従事。

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