凄惨な内戦を経て、著しい経済成長率を遂げた「アフリカの奇跡」と称されるルワンダ。
街の清潔さ、安全性、ビジネスのしやすさ、ITに強い人材の輩出など、たくさんの点で日本を含め世界中から注目されています。
そんなルワンダの現状を、前編と後編の二回に分けてご紹介します。前編の今回はルワンダの特徴や日本とのつながり、後編ではICT分野での取り組みというテーマで、ルワンダの最新情報をお伝えします。
ルワンダが「アフリカの奇跡」と呼ばれる理由
1994年、ルワンダではツチ族とフツ族の対立が激化しました。1994年4月のハビヤリマナ大統領暗殺を契機に、フツ過激派によるツチ及びフツ穏健派の大虐殺が始まり、同年7月までの犠牲者は80~100万人と言われています。その被害はすさまじく、国の経済・社会基盤も壊滅状態となりました。
その後、新政権が成立し、平和を取り戻すという政府の強い指導力で武装解除の取り組みや戦闘員だった人々の就労支援に力を入れるなどをして立て直しを図り、治安や教育水準の向上とともに、急速な経済成長を実現しました。
2019年の経済成長率も9.4%と非常に高く、近年も経済成長を続けており、ビジネス環境の拡大や首都キガリの発展の様子などから「アフリカの奇跡」と呼ばれています。
アフリカのシンガポール、ルワンダの現状
ルワンダは、国の地理的な条件、街の清潔さなどの様子がアジア地域の中のシンガポールに似ていることから、アフリカのシンガポールとも呼ばれています。
ルワンダは、人口は1,263万人(2019年)、国土は2.63万平方キロメートル、日本の四国の約1.5倍の小さな国です。アフリカ大陸の真ん中に位置する内陸国で、東アフリカ、さらにはアフリカ全土に進出する上でのハブとなり得る場所です。
ルワンダは環境問題に厳しく、ゴミも落ちていない清潔な国です。2008年から、ビニール袋などいわゆるプラスチックバッグの製造も持ち込みも利用も全面禁止となりました。たくさんの清掃員を雇用していることに加え、ルワンダには「ウムガンダ」もあります。それは国で決められた清掃の日です。毎月最終土曜日に行われる地域奉仕活動で、18〜60歳は基本的に参加義務があります。公共の場の清潔さを保つとともに、地域コミュニティの一体感も生まれています。
世界の中でも有数の男女平等な国
世界153カ国を対象としたジェンダー・ギャップ指数では、ルワンダは第7位。(2021年)ジェンダー格差が少ない北欧の国々に次いでランクインしています。
特に、ルワンダは女性の政治参加では世界でトップ。ルワンダでは、憲法において、国の「指導的機関の地位のうち少なくとも30%を女性が占めるものとする」と規定し、国会議員に占める女性の割合が高く、女性の社会進出が進んでいます。
ビジネスが始めやすい国
世界銀行の報告書「Doing Business (投資環境ランキング)2020」では、ルワンダは全世界190か国地域中38位、アフリカ第2位という高い順位にランクインしています。
ルワンダはビジネスを始める環境を整えており、会社登記はオンライン上で数時間で完了し、法人設立認可証を取得できます。また、会社設立時の資本金も必要ありません。
MICE(Meeting、Incentive tour、Convention・Conference、Exhibitionの頭文字をとった造語。多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称)にも力を入れており、海外からのビジネス訪問も積極的に誘致しています。
ルワンダと日本のつながり 神戸市・尼崎市の取り組み事例
神戸市はルワンダのICT分野での活躍に注目し、教育やビジネスで積極的に結びついています。
KOBE STARTUP AFRICA in Rwanda
2016年、スタートアップのエコシステムを作る神戸市とICT立国を目指すルワンダは、経済交流を開始しました。その一環として、起業家マインドを持った人材を育成する目的で企画されたプログラムです。
ルワンダに日本の学生や社会人を派遣し、現地企業の視察や課題解決の他、ビジネスプランの策定や検証、プレゼンなどを行います。このプログラムでは、現地起業家(農家向けマイクロファイナンスやプログラマー養成といった事業)とのコラボレーションも可能です。
起業やアフリカでのビジネスに興味がある人に良い機会となりそうです。コロナウイルスの影響で、2022年はオンラインで実施しました。
神戸情報大学院大学、ICT人材育成事業
神戸情報大学院大学は、人間力を有する高度ICT人材の育成を目的とした専門職大学院です。
ICTイノベーターコースでは、ルワンダをはじめ、タンザニアやエチオピアなどアフリカ各国からの留学生を積極的に受け入れています。
2020年にはルワンダICT商工会議所とJICAとの共催で「ルワンダ・スタートアップ企業ピッチイベント in KOBE」を開催しました。ICT分野のスタートアップ企業の代表が来日し、各社事業内容を、アフリカ進出に興味を持っている起業家たちをはじめとした参加者に対しプレゼンテーションを行いました。
日本とルワンダを繋げる教育環境や活動を行うことで、ルワンダのICT人材の活躍、日本企業のアフリカビジネス拡大に貢献することが期待されます。
ルワンダを雷から守る ⾳⽻電機⼯業株式会社
ルワンダは雷被害が非常に多く、死傷者も出ています。電子機器の故障やインターネット接続にも影響があり、雷被害への対策のニーズがあるものの対応が遅れていることが課題でした。
兵庫県尼崎市に本社を置く⾳⽻電機⼯業は、全国でも数少ない、雷害対策を専⾨とした企業です。2015年に神⼾情報⼤学院⼤学からの紹介でルワンダからのインターンシップ⽣を受け⼊れたことをきっかけに、現地の現状を知り、アフリカ市場開拓に関⼼を持ちました。現地調査を進め、2017年にはJICAによる中小企業海外展開支援事業として採択されました。
現地の人々の安全を守るために貢献し支援しながら、市場としてのアフリカの可能性も追求しています。
前編の今回は、ルワンダの特徴や現在の様子、日本とのつながりを中心にお伝えしました。後編では、ルワンダでのICTを活用したビジネス事例をお伝えします。
まとめ:アフリカでビジネスを展開するためには?
今回は、ルワンダをテーマにアフリカの現状をお伝えしました。
アフリカでのビジネス展開を考える際には、最適なシステムや顧客のターゲット層などをリサーチし、効果的な戦略を考える必要があります。
BE FORWARDは15年間でアフリカだけでも56の国と地域に販売実績があり、アフリカでの知名度とネットワーク、独自の輸出経路を持っており、それらを生かしたサービスを展開しています。弊社は、アフリカ進出のための調査「マーケットリサーチサービス」、アフリカの企業や個人にリーチする「バナー広告サービス」、商品や物資の輸送には「海外輸送サービス」など、幅広い内容でアフリカへのビジネス進出をサポートします。ご興味を持たれるものがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
参照元:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/rwanda/data.html
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2021.pdf
https://documents1.worldbank.org/curated/en/688761571934946384/pdf/Doing-Business-2020-Comparing-Business-Regulation-in-190-Economies.pdf
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h19/zentai/danjyo/html/column/col01_00_03_02.html
https://www.kobe-startupafrica.com/
https://www.jica.go.jp/priv_partner/information/sdgs/2019/20190816_01.html