アフリカ進出した日本企業:CASE3・株式会社アンカーネットワークサービス~ビィ・フォアードの物流力が、アフリカと日本をつなぐ中古PCビジネスを実現~

ビィ・フォアードのリレーションシップサービスを使い、実際にアフリカに進出した日本企業を取り上げるインタビューシリーズ「アフリカ進出した日本企業」第3弾。

今回は、国内だけでなく、海外、特にアフリカを始めとした新興国に対し、PCやオフィス機器の中古品を販売する株式会社アンカーネットワークサービスに話を聞いた。

同社は、国際協力機構(JICA)が主催するABEイニシアティブ*で、アフリカに対し積極的にリユース・リサイクル技術の交流を展開しており、また、自社だけではなく、顧客企業のCSRとして、新興国の教育機関や被災地に向けた中古品提供などの取り組みも行っている。

*アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)

―取材協力―
株式会社アンカーネットワークサービス/執行役員
神谷 いずみ 様(以下:神谷)

ABE
イニシアティブ インターンシップ(エチオピア)
Mulatu Bayisa Taye 様(以下:Mulatu)

 ■株式会社アンカーネットワークサービス
【業種・サービス内容】PCなどのIT機器その他不要資産の処分(リユース、リサイクル)、データ消去等のサービスを全国展開している。
【従業員数】 140人

1.変わりゆく中古品市場と、アフリカ進出にかけた特別な思い

―まずは、貴社のビジネスとPC・オフィス機器におけるリユース・リサイクル業界の動向を教えてください。

神谷:当社は、日本国内の企業様から、PCを始めとしたオフィス機器を回収し、リサイクル、及び、リユースを行う事業を展開しています。

回収した機器で再販できるものは、データ消去と必要に応じてOSのインストールを行い、梱包して販売します。再販不可なものについては解体し、使える部品や素材をリサイクルしています。

これまで日本では、中古品よりも新品が好まれる傾向が強く、中古品の普及率は高くはありませんでした。当社は中古品を、主に国内の業者へ販売していますが、当時はそこから海外に輸出されることが多かったようです。

しかし、PCの性能も昔は急速なスピードで向上していたので、頻繁に買い替える必要がありましたが、近年ではその性能もある程度成熟し、以前ほど新品に替える必要がないケースが多くなりました。

実際の調査でも、最近では新品も中古のPCもさほど変わらない価格になってきているにも関わらず、新品PCの販売台数は年々減少傾向にあります。

法人向けは、ある程度一定した需要が見込まれるのですが、個人向けについては確実に減ってきています。これはやはり、スマホの普及率が高まり、PCが必要ではなくなって来ていることが要因と考えられています。

法人企業も、昔は5年リースで新品を買うことがほとんどでしたが、最近ではその傾向も変わってきています。例えば、サポートデスクやコールセンターのお客様からは「新品や高性能でなくとも最低限の機能があれば十分なので、安く大量にPCを仕入れたい」といったご相談を頂くことが増えました。

そんな中で、当社の認知度も少しずつ広まってきているのを感じています。


*株式会社アンカーネットワークサービス執行役員/神谷いずみ様

―海外戦略におけるアフリカの位置づけは?

神谷:日本全体が人口減少の局面に入り、国内市場の拡大が望めなくなったため、業界全体として海外輸出には積極的です。そういった背景もあり、当社もこれまで、直接的、また、間接的に海外への進出を図って参りました。

一方、創業者の碇は、30年前に創業してから、中古品業界の「いかに安く仕入れて高く売るか」という利益至上主義の体質に疑問を持って来ました。そうではなく、もっと「資源を大切にしたい」「IT機器を使って、社会の格差・情報格差を少しでも縮めたい」という思いを基に、特に新興国に対して、質の高いIT機器を安価でご提供することに人一倍こだわりを持っています。

現在の取引先の市場として大きいのは、東南アジアのような大口の取次業者がいる、ある程度の需要が見込める地域が中心ではあるものの、アフリカに対しては特に強い思い入れがあります。

新興国では、使用済みのPCから金を取り出そうと、液体で溶かしたり素焼きをして銅を取ろうとしたりと、不適切に処理してしまい、環境に非常に良くないケースが多々発生しています。

こういった現状から、当社では質の高い安価PCを提供するだけではなく、正しいリサイクルの技術を伝えることも大きなミッションであると考え、2016年からABEイニシアティブを通じたアフリカのインターン生の受け入れを始めました。

2.ビィ・フォアードの物流力が、アフリカと日本をつなぐ中古PCビジネスを実現

 

※ABEイニシアティブで、リサイクルビジネスを学ぶMulatuさん。職場の仲間からも信頼され、仕事を任されている。

―ビィ・フォアードとの取り組みに至った経緯を教えて下さい。

神谷:ABEイニシアティブでは、2016年から短期と長期を含めて全部で10名のアフリカ人学生を受け入れてきました。

内容としては、座学に加えて当社のリサイクル・リユースの現場を見学し、実際に働いてもらいます。そして、プログラムの最後には、これからアフリカに帰ったら、将来当社とどのようなビジネスプランが考えられるか?を発表する場を設けています。

ビィ・フォアードさんとの出会いは、その中の一人であるザンビアから来た学生さんが、当社のPCを自国に輸入して販売するビジネスをしたい、と提案してくれたことがきっかけでした。

是非ビジネスを始めたい、という気持ちは強かったのですが、ザンビアはアフリカの中でも内陸地。アフリカの近郊の港までは運ぶことは出来ても、その先の輸送方法が見当たらず、また最初からあまりたくさんの数は買えないため、小ロットでの輸送となることから、輸送方法の調査は困難を極めました。

そんな中、「アフリカ 輸送」といったキーワードで検索していたところ、ビィ・フォアードさんのサイトにたどり着きました。そこには、アフリカ向けに独自の物流ネットワークを持っていることが強みとあり、ご連絡したところ、すぐに回答を頂き小ロットでも確実に内陸地に届ける輸送方法をご提案頂きました。金額も非常にリーズナブルで、本当に助かりました。


※ABEイニシアティブ インターンシップ/Mulatu Bayisa Taye 様(エチオピア)

―ABEイニシアティブに興味を持ったきっかけは何ですか?

Mulatu:アンカーネットワークサービスとの出会いは、2017年の3月にABEイニシアティブのプログラム説明会で社員さんにお会いし、その活動を知りました。元々僕は大学でエンジニアリングを専攻していたのですが、お話を聞いてリサイクルのビジネスについてすごく興味を持ちました。

エチオピアでもリサイクルビジネスを行っている会社はなくはないのですが、技術的にはまだそこまで進んでいないのが現状です。

そのため、進路を考える中で、日本のアンカーネットワークサービスで本格的に学びたいと思い、2017年の夏に短期インターンに参加する決意をしました。現在は、大学院卒業後の長期インターンとして、再びアンカーネットワークサービスで学んでいます。

―アフリカでのPCの普及状況とリサイクル・リユースビジネスの現状を教えて下さい。

Mulatu
:国や地域によってもかなり異なりますが、最近では政府もIT化を推進しており、特に教育などではICT化を小学校から進めている関係で、一部の学校では、中古PCが無償で配布されることもあります。

もちろん、新品や高い性能のものではないですが、それでも十分必要な機能が付いていますし、デジタルに対するリテラシーは確実に高まってきています。

また、中古PCの普及によって、家庭でも一家に一台から、一人一台へと変わってきつつあります。中古であれば、学生などにとっても比較的手に届きやすいです。

―ABEイニシアティブで学んだことは?また、今後アフリカでどう活かしていきたいですか?

Mulatu:日本はそもそも、あらゆる製品についてハイクオリティで知られています。それは中古品でも同じであり、今回アンカーネットワークサービスでリサイクルを学びましたが、作業工程の全てで一つ一つ丁寧に細かくチェックする。さすが日本だ!と思いました。

その他にも、タイムマネジメントや、職場の整理整頓、品質管理とどれを取っても新しい発見だらけでした。何よりすごいと思ったのは、始業前の朝礼と挨拶です。

朝礼では「いらっしゃいませ」「おはようございます」といった声掛けや、作業現場では怪我をしないようにラジオ体操も行っています。とても良い習慣だと思いました。こういったシステムは、アフリカにも持って帰りたいです。

アフリカはラストフロンティアと呼ばれ、急拡大している市場であり、中古PCやオフィス機器の需要もたくさんあります。しかしその一方で、先進国のようにIT機器を廃棄する際の法律やシステムは整備されておらず、その辺の空き地に使用済のIT機器がたくさん捨てられているのもよく見る光景です。

アンカーネットワークサービスで学んだ、リサイクルとリユースビジネスは、自国に帰ってから活かせる場面がたくさんあると今から楽しみです。また、中古PCを日本から輸入する際には、是非、ビィ・フォアードさんに物流のサポートをお願いしようと思います。

※仕事熱心なMulatuさん。同僚からは帰国を惜しまれる声がたくさん聞かれているという。

3.今後の課題と展望について

―今後の課題と展望について、お聞かせください。
神谷: 今後、アフリカ人学生のインターン受け入れを継続していくことで、現地とのつながりがさらに増えていく予定ですので、物流面でもますますお世話になると思います。さらには、ビィ・フォアードさんが運営する越境ECサイトで、当社の商品の販売を試してみたいです。

また、ビィ・フォアードさんは、アフリカ以外でも、オセアニアや南米など様々な新興国に販売と物流網をお持ちですので、弊社のCSRビジネスなどにおいても、世界中の国を対象にご一緒していければと考えています。