アフリカ進出した日本企業:CASE2・レック株式会社~日本企業のアフリカ進出は、市場調査がカギを握る~

ビィ・フォアードのリレーションシップサービスを使い、実際にアフリカに進出した日本企業を取り上げるインタビューシリーズ「アフリカ進出した日本企業」第2弾。

今回は、モザンビークのカーニバルでの商品サンプリング、そしてタンザニアの国際商業祭「サバサバ」への共同出展という二つの市場調査を行った、レック株式会社に話を聞いた。

―取材協力―
レック株式会社/海外営業本部 海外営業部 広域事業課 統括主任
靳 慈渝 (ジン ジユ)  

■レック株式会社
人気商品「激落ちくん」をはじめ、フック、キッチン&テーブルウェア、バス・トイレタリー、ランドリーなど家庭日用品の製造・販売ならびに輸出入を行っている。
【業種・サービス内容】家庭用品、ギフト用品、企業向け販促品の製造販売ならびに輸出入
【従業員数】 450人

1.日本の8割の家庭を支える家庭用品メーカー・レックの海外進出

―まずは、貴社のビジネスと海外展開について教えてください。

弊社は元々プラスチックを中心とした、家庭用品メーカーです。現在では、フック・キッチン&テーブルウェア、バス・トイレタリー、ランドリーといった幅広い商品を生産しており、日本の8割の家庭には、何かしら弊社の家庭用品があると言われています。特に、代表商品である「激落ちくん」(メラミンスポンジ)は、日本の市場では82%という高い認知度を持っています。

ですが、海外市場となるとかなり後発です。現在海外で進出している国は、韓国、中国、台湾、香港、シンガポール、タイやベトナムといった、アジアの近隣国を中心としており、あとは北米に現地法人ができたところで、アフリカについては進出に向けての市場調査中です。

ー競争の激しい新興国の市場では、どんな戦略を取っているのでしょうか?

参入機会が見込みやすい現地の市場で、まだない機能を持った商材を中心に、Made by Japanブランドという高い品質をアピールして展開しています。

具体的には、激落ちくんのスポンジとクリーナーを中心としたキッチン周りのカテゴリーがひとつ、もうひとつはベビー用品を中心としたカテゴリーです。現地でのマーケティングも行っていますが、アジア圏は日本の売れ筋商品がそのまま売れていることが多いですね。“日本で人気であること”が人気の理由だからです。パッケージについても、基本は日本語のままで、必要な事項だけ現地語のラベルを作って貼っています。

とはいえ、後発のためまだまだ今はブランドとして覚えてもらう必要がある段階ですので、例えば、清掃用品のパッケージにはかならず激落ちくんの顔を付ける、といった形で認知拡大を図っています。


*棚にずらりと並ぶ、”激落ちくん”。顔の表情も父親風や王様風など、実は様々な種類が展開されている。

ー新興国では、品質よりも「安くて最低限使えるもの」が必要とされている印象があるのですが、品質を訴求して響くものなのでしょうか?

そこはやはり、商品にもよりますね。例え新興国でも、新生児や子供向けのものであればやっぱり安ければ何でもいい、という訳にはいきません。お母さんたちは、子供のために少しでも品質が良い商品を買いたいと思っています。

例えば、弊社の新生児向けのおしりふき「水99.9%」などがいい例です。おしりふきに使われるウェットティッシュは専門用語で不織布と呼ばれ、基本的にはこの不織布と水で出来ています。それを密閉させてパッケージに収納するのですが、これはとても腐りやすくカビが生えやすい。 

だから、各メーカーではその対策のために、防腐剤や防カビ剤を大量に入れることが多くなります。そうすると品質は担保されますが、赤ちゃんや子供のデリケートなお肌にとっては良い影響はありせん。

そこで弊社は成分の99.9%を純粋な水、薬品はたった0.1%しか使わない商品を開発しました。これは他社が追随できない数値です。また、価格もそこまで変わらない金額で提供しています。こうやって、品質が求められる商品を中心に、ポテンシャルのあるゾーンを狙っています。

実際にインターネットレビューでは、使用したママさんの声として他社商品から切り替えたことにより、敏感肌の赤ちゃんのおしりの赤みが前より軽減されたという声もありました。

ー新興国では、BOP層向けに小ロットにして単価を抑えた商品にしたほうが売れやすい、という状況があると聞きますが、その辺りはいかがでしょうか?

はい、そういった市場のニーズは確かにあります。例えば、このおしりふきでも日本では3つで1パックとして売っているのですが、アジアではよりお買い求めいただきやすいようにバラ売りで販売しています。

弊社の商品は、品質が高いことから、一度使用していただければ必ずファンになっていただける自信があります。市場では後発なこともあり、よりたくさんのお客様が商品を手にして頂ける工夫はどんどんしていきたいですね。


※99.9%が純粋な水というおしりふき「水99.9%」。日本では3個パックだがアジアではBOP層も買いやすいようバラ売りで販売。

2.ビィ・フォアードとのアフリカ市場調査の取り組み

―ビィ・フォアードとの取り組みに至った背景を教えて下さい。
最初は、ビィ・フォアードさんからアフリカ向けに販促品を制作したい、というお話を頂いているうちに、弊社のアフリカ進出に向けた現地マーケティングの話になりました。ラストフロンティアと呼ばれるアフリカ市場は前々から気になっていたため、まずは調査の目的で2014年にモザンビークのマプトで行われたカーニバルで商品サンプリングを行いました。

※カーニバルの様子。ビィ・フォアードのスポンサーロゴが入ったTシャツを着る参加者たち。

モザンビークは、今後のアフリカで高い経済成長が見込まれている国の一つです。そして、このカーニバルは同国の文化省、教育省、観光省および、マプト市議会と民間団体のスポンサーの支援を受けている、年に一度の一大イベント。ビィ・フォアードさんは、モザンビークでも大きくビジネスを展開されており、メインスポンサーとしても入られるとのことから、このカーニバル会場での商品サンプリング、23種類・約1,000点もの無料配布が実現しました。

お陰様で、サンプリングは非常に好調で、すべての商品が配布されました。特にボトルキャップとボトルケース手提げなどの反響が大きく、市場調査としてよりリアルな声を集めることができました。

ーその後はどのように展開されたのでしょうか?

その後は、2015年にタンザニアの中心地・ダルエスサラームで開催される国際商業祭「サバサバ」への共同出展の話を頂きました。

この見本市は毎年来場者数20万人を誇り、首相や政府要人の方々もたくさんいらっしゃるとのことから、BtoCからBtoBまで含めた市場調査として、非常に良い機会でした。


*「サバサバ」の意味は、開催時の7月の”7”がタンザニアの言語であるスワヒリ語で「サバ」と呼ばれることから、その名前が付けられた。

展示会では、価格勝負の中国製の商品が圧倒的に台頭する中、Made by Japanである弊社のボディタオルやおしりふきなどが「安心・安全で長く使えるという」声をたくさん頂きました。アフリカの人々の中でも、日本製品には長く使える高い品質が期待されている、という手応えが確かに感じられた瞬間でした。

そして、この時の市場調査の結果を踏まえ、その後、アフリカでも大きな市場国であるケニアとナイジェリアでのテストマーケティングにつなげることができました。


※ケニアのスーパーで実施したテストマーケティングの様子。おしりふきが高い評判を得た。


※現地のスーパーの棚に陳列される商品。

3.今後の課題と展望について

ー今後の課題と展望について、お聞かせください。

今回ビィ・フォアードさんとのアフリカ市場調査の取り組みを行ってみて、Japan Qualityは大きなポテンシャルがあることはわかりました。

しかし、まだまだ販売価格や、チャネルの開拓といった点では課題が残ります。特に、物流面などによる、商品の価格との兼ね合いなどは家庭用品にとってかなり大きな要素です。

今後はこの辺りを含め、強い物流力と現地ネットワークを持つビィ・フォアードさんと共に、引き続きより良い道を模索して行きたいと考えています。