アフリカ進出した日本企業~CASE 1・株式会社ビッグウェーブ~中古パーツの新市場開拓に欠かせない“小ロット対応”の実現で500倍の売上を記録~

ビィ・フォアードのリレーションシップサービスを使い、実際にアフリカに進出した日本企業を取り上げるインタビューシリーズ「アフリカ進出した日本企業」第1弾。

今回は、国内最大級の中古パーツの供給網を持ち、越境ECサイト https://autoparts.beforward.jp/ を通じて商品を販売、急成長を遂げている株式会社ビッグウェーブに話を聞いた。

―取材協力―
株式会社ビッグウェーブ代表取締役社長 服部 厚司様

■株式会社ビッグウェーブ
【業種・サービス内容】 自動車補修用リサイクルパーツの生産・販売、自動車機能部品の検査・リビルト、自動車部品の研究開発、自動車部品情報ネットワークシステムの開発・運営・保守、加盟店への教育・研修
【従業員数】10人
・・・自動車補修用リサイクルパーツの商品化・販売に携わる組織のパイオニアであり、現在は在庫総数160万点以上、ネットワーク接続社数260社(300拠点)を超える巨大流通ネットワーク。自動車補修用リサイクルパーツの商品化にかかわる各種研究開発や、エンジンスターター&テスターのビッグマウスを始めとする各種テスター機の開発も行っている。

1.中古パーツ業界の市場動向と海外進出

―まずは、貴社のビジネスである中古パーツの業界について教えてください。

国内の中古パーツの市場規模についての正式な流通金額はないのですが、シンクタンクの調査では大体中古パーツ市場が1200億円、また同じくらいの規模でリビルト(部品単位まで分解し、清掃や再組立した上で、新品時と同じような性能状態に戻したもの)市場が存在すると言われています。(出典:*『平成25年度中小企業支援調査報告書』矢野経済研究所より)

中古パーツのもっとも大きな商品特徴は「生産」できる商品ではなく、「発生」する商品である点です。まず、新品のパーツが生産されて、その車輌が廃棄され不要になって初めて商品が発生します。

つまり、計画的に生産できるものではないため、在庫を確保するためには商品が発生した時にできる限り大量に、たくさんの種類を仕入れておかなければなりません。

たとえば、カローラのヘッドライトだけでもさまざまな種類があって、同じ年式の同じ車種だとしてもいくつか種類があります。よく大手メーカーさんなどから「そんなに在庫持って大丈夫ですか?!」と驚かれることもありますが、逆に、在庫の種類を揃えないとユーザーのニーズに答えられずビジネスが成り立たないのです。

そういった背景から、同業同士でネットワークを組んで、それぞれ保有している在庫を保管し合って助け合っていく、というのが我々の先代が作り上げた業界のシステムになっています。

今では、弊社のネットワークだけで60万点を保有し、その他大手2社のネットワークを合わせると、大体200万点ほどの在庫が入手できる体制を組んでいます。


*株式会社ビッグウェーブ本社(愛知県あま市)

*工場横には中古パーツを取り出す元となる解体車がずらりと並ぶ。

―海外進出は以前から検討されていたのでしょうか?

海外における日本の中古パーツ需要は以前から一定以上あり、取引自体は少ないながらありました。

日本車はクオリティが高く優秀なので、ビィ・フォアードさんのご活躍もあり、グローバルで220国以上・つまりほぼ全世界と地域に新品か中古いずれかの形で行き渡っています。

日本ではもう乗られなくなった古い年式の車やELV(解体自動車)でも、新興国などではまるで新車かのごとく重宝されます。そうなると、付随して日本では需要がなくなったパーツの需要がそこから出てくる訳ですね。

しかし、海外、とくにアフリカに商品を送る海上コンテナ船はとても大きいため、出荷させるためには一度に大量な貨物をまとめて送らないと採算が合いません。

そうなると、仕入れる側の海外のディーラーも在庫リスク覚悟で発注せざるを得ず、受注に至らないケースが多々ありました。そのため、海外進出については「輸送時の小ロット対応」が長年の課題でした。

*取り出したパーツを出荷に向けて整備している様子。

2:ビィ・ファードとアフリカ進出を目指した背景~提携開始にいたるまで

―ビィ・フォアードとの提携はどういった経緯から始まったのでしょうか?

最初は、弊社の加盟店オーナーから、ビィ・フォアードさんが中古パーツの供給ができる企業を探している、と聞いたのがきっかけでした。

さっそく、山川社長にお会いしたところ「アフリカを始めとした新興国に中古車を売った際、あわせてアフターメンテナンスとしてパーツの問合せを受けることが非常に多い。なんとか必要とされている商品を現地へ供給できる道はないだろうか?」と解決策を模索されていました。

お話をしていく中で、ビィ・フォアードさんはすでに“月間約7,000台もの車をアフリカに輸送する物流力”を持っており、我々の海外進出における一番の課題だった“小ロットの受注・輸送”という壁を壊すことができるかもしれない、という話になり「これは大きなチャンスだ!」と提携を決めました。

―提携にあたって懸念した点はありましたか?

基本的に、中古パーツの販売はビィ・フォアードさんの越境ECサイト https://autoparts.beforward.jp/で行い、我々の役割は持っている部品の写真や在庫データを提供すること。

そして、受注が決まった商品を国内の指定倉庫にお送りするのみ、という非常にシンプルな座組だったため、大きな懸念点はありませんでした。

*年々注文が増加している越境ECサイトBE FORWARD.JPのオートパーツサイト。

何より、ビィ・フォアードさんはすでにアフリカや新興国で10年に渡りビジネスを行っていた為、知名度も高く、また、商品の発送も必ず受注して着金があったもののみが対象でしたので、その点も魅力的でした。

3:アフリカ進出・提携開始後のビジネスの状況

―実際に提携が始まってからビジネスの状況はいかがでしょうか?

越境EC は半年そこらで結果がでるものではない、というのは頭では理解していましたが、確か最初の1~2年はあまり売れなかったのが現実でした。でも2年過ぎた辺りからここ半年にかけて急に受注が伸び始め、今では始めた当初の約500倍になりました。

要因としては、以前はアフリカのタンザニアからがほとんどだったサイトのアクセスが、北米や欧州や南米なども含めた全世界へと広がったことも大きく起因しているように感じます。ビィ・フォアードさん側のPRや、グローバルに幅広いネットワークを駆使していただいたことも結果に大きく繋がっているのではと思います。

実は我々も以前、北米の最大手ECプラットフォームに自分たちで出店したことがありました。しかし、中古パーツは特殊な製品であるがゆえ、カスタマーサポートに専門的な知識が必要になるなど非常に大変でした。ビィ・フォアードさんであればそういった点も同業であるため安心して進めることができました。

―売れる商品の傾向や単価等は日本と違いはありますか?

受注データを見ていると、あまり高額単価の商品は出ないですね。単価は低めだけど、一日に何十件も受注が動いているという状況です。

おそらく、BOP層などの平均所得は高くなくても、購買意欲が強い層が購買の中心にいるからかもしれません。

あと、売れ筋商品の具体的なラインナップは日本とそんなには変わりませんが、外装品とかではなく小さい商品が多いのと、ドアミラーやテールランプといったものも多いです。

アフリカは、まだまだインフラ整備が整っていなくて舗装道路じゃないところも多いのか、足回りの製品なんかもよく出ます。

北米等ではガレージも大きく、オートパーツを自分で取り付けるDIYが好きな方々も結構いらっしゃるようです。アフリカでも、皆さん車の修理の仕方はかなり慣れているため、修理のしやすさも車選びのポイントの一つみたいですね。日本車は修理もしやすいし壊れにくい、という点ですごく人気のようです。

*アフリカに向けて出荷作業を終えたダンボール。

4:今後の展望について

―現状の課題と今後の展望についてお聞かせください。

今、日本の中古車が「発生する」台数は大体年間500万台と言われています。その500万台のうちの150万台が海外へ輸出され、残りの300万台強が解体されたり部品を抜かれたり、修繕される形で再販されます。新車の売れる台数も大体同じくらいで、年間約490万台前後です。

でも、これからは、その台数が少子高齢化や技術の進歩で、新車の耐久年数がさらに上がることの影響から、もう少し減っていくのではないかと予想されます。

これは仕入れという面では課題になりますが、逆に、だからこそ「ひとつの車を長く使う」ための中古パーツの需要はもっと上がり、我々のビジネスはよりいっそう必要とされるのではないか、とも予測しています。

また、これに伴い、車の整備のやり方や正しい知識を現地の人に授ける、といったハードだけではなく、ソフトの部分の需要も出てくるでしょう。

たとえば、ハイブリッドなどの電気制御で動く車については、海外だと修理ができない場合も多い。Prius等のハイブリッド車に乗っていても、壊れたまま乗っている様子も見られますので、やはり車の修理や知識、それがわかる人材がもっと必要です。

まだまだ時間はかかる話にはなりますが、そういった教育や人材交流といったソフトの部分でもビィ・フォアードさんのご協力の元、サポートしてきたいですね。