アフリカビジネスのチャンス獲得に向けた日本国の活動

世界から注目されるアフリカ

「グローバル市場の最後のフロンティア」として世界中の投資家から熱い視線が注がれているアフリカ市場。
急速に拡大する人口、膨大なインフラ需要、スタートアップ企業が牽引するビジネス環境の変化など、アフリカビジネスの将来性が見込める要素が揃っていることが背景にあります。
そのため、アフリカビジネスを目論む外国企業の数は急速に増え、経済的または政治的な困難に直面しながらもアフリカ大陸の成長の機会を十分に活かそうとしています。

アフリカの大地は農業の機会、鉱業、エネルギー資源を有し、成長を望む若者たちにとっては大きな経済的可能性を有しているのです。それと同時に、その可能性を最大限活かすためにはアフリカの本当のニーズを知らなければなりません。

アフリカは文化的・民族的に幅広い多様性を持っています。地域によって言語、食文化、資源が異なり、また仕事上での習慣やしきたりも驚くほど違います。アフリカでビジネスに成功するには、その土地にある文化や状況を常に考慮に入れなければなりません。

次に、アフリカビジネスのチャンス獲得を支援するために、日本が国を挙げてアフリカに関する情報を集約し、アフリカビジネスに関連する取組みを行っていますので、ご紹介したいと思います。

TICAD(アフリカ開発会議)

TICAD(ティカッド)とは、「アフリカ開発会議」のことであり、Tokyo International Conference on African Developmentの略称です。1993年以降、日本政府が主導し、国連、世界銀行、国連開発計画(UNDP)、及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催するアフリカの開発をテーマとする国際会議です。アフリカと国際社会の広範な関係者が、アフリカ開発の現状と課題を話し合い、開発の重点分野に対して合意を形成するプロセスとなっています。

現在は3年に1度、首脳会議がアフリカと日本で交互に開催されています。
第1回アフリカ開発会議であるTICAD1は1993年に、第2回であるTICAD2は1998年に、第3回のTICAD3は2003年にいずれも東京で開催されました。
その後、TICAD4は2008年に、TICAD5は2013年に横浜で開催されました。
そして、TICAD6は2016年8月に初のアフリカ大陸での開催となりました。場所はケニアのナイロビ。アフリカ53か国、開発パートナーとして参加する諸国、国際機関、民間セクターの代表など約1万1000人が参加しました。
TICAD7は2019年8月28日~30日に横浜で開催されました。この時は日・アフリカ間の貿易・投資促進が重要なテーマのひとつとなりました。

JBCA(アフリカビジネス協議会)

JBCAとは、Japan Business Council for Africaの略称です。「TICAD 官民円卓会議」(2019年3月18日)において、アフリカビジネスを官民で恒常的に議論するための会議体を設置して欲しいという要望を受け、官民の活動をさらに充実させるべく立ち上げられました。
商社や食品など消費財メーカー、自動車メーカーなど約80社、そのうちアフリカで展開するスタートアップ企業(創業間もないベンチャー企業)や中小企業が24社参加しています。

この協議会では、アフリカビジネスを展開するための優先課題や提案をもとに、次のような支援案を検討実施するとされています。

  1. アフリカビジネスに関連した情報収集、ネットワーキング、マッチング
  2. アフリカのビジネス環境の改善
  3. 関係省庁・機関が個別に有する事業支援ツール
  4. 上記に限らず、アフリカビジネス支援に関連する関係省庁・機関の連携策 など

いくつかのワーキンググループを立ち上げ、ビジネス機会の拡大や投資環境整備につなげていくことを目的としています。具体的な内容としては、現場の課題ニーズをくみ上げ、税制上の優遇策や税関などの煩雑な手続きの迅速化など、課題解決を現地政府に要望するとしています。
またアフリカの一部地域では、携帯電話による電子マネーが普及しています。例えば都市部以外では銀行自体がなく、銀行口座を持たない人も少なくありません。しかし、携帯電話による電子マネーを使えれば、物品購入代金に充てたり、電気やガスの料金を支払えたりと、ビジネス機会が整っていると言えるでしょう。

日本の今後の課題

JETROの調査では、2017年の対アフリカ投資残高は、アフリカ各国の宗主国だったフランスを筆頭に、米国、英国、中国と続き、日本は10位にとどまっています。そのため、期待される日本の技術・サービス、問題解決の貢献、日本との架け橋も担う人材育成などで差別化していきたい考えです。

日本企業がアフリカでシェアを拡大するにつれ、直面するのは、メンテナンスやアフターサービスを手がける人材をどう育てるかといった課題が挙げられます。
これらすべてを日本人の手で行うことは困難であることから、人材育成の発想も大きく転換し、製造現場だけでなくサービス分野にも拡大していく方針です。

一方で、これまでの日本企業によるアフリカビジネスは、一部の大企業が中心で、中堅・中小企業の進出が進んでいないのが実情でした。
しかし、その中でも日本の産業資材や機械を販売する分野は、「日本プレミアム」が通用し、日本企業が商機を見いだしやすい分野と言われています。
具体的な現地ニーズを掘り起こし、そこから得られる情報を中堅・中小企業につないでいくこと、あるいは現地の事業を徹底的にサポートすることで、より多くの日本企業がアフリカでのビジネスチャンスをつかむための第一歩となるのではないかと考えられています。

このようにアフリカビジネス支援策を通じて、現実的なビジネスチャンスとして捉えるためのきっかけとなる施策を展開し、アフリカに挑戦する中堅・中小企業などのすそ野が拡大していくことが期待されています。

(出典)

経済産業省「通商政策 アフリカ
SankeiBiz「アフリカビジネス協議会が初会合
METI Journal「政策特集アフリカビジネスの新戦略 vol.7

著者: 小山内 裕
コンピューターメーカー 米デルにてアメリカ人、中国人、マレーシア人、シンガポール人、フランス人、ブラジル人などで組織されたグローバルチームのマネージャーを経験。会社勤めの傍らMBAを取得し2008年に独立。
2011年からビィ・フォアードの情報技術整備に参画。メインマーケットであるアフリカを理解することも兼ね各国を訪問。
海外に行けば観光名所よりも朝のマーケットや地元の人々が多く訪れる場所へ行き交流することを好む。