木曜日, 5月 15, 2025

【アフリカビジネス比較】東南アジアのEC・デジタル決済最新動向と意外な共通点とは?

このブログでは、アフリカの最新状況やアフリカビジネスの可能性について様々な切り口から紹介しています。しかし、アフリカは私たちが住む日本から地理的に遠く、また、これまでは経済的にも歴史的にも接点が少なかったため、具体的なイメージを持つのはなかなか難しいのではないでしょうか。

ですが、日本から近く、私たちにとって馴染み深い地域でもある「東南アジア」と比較すると、アフリカについて、より深く理解することができるかもしれません。なぜなら、東南アジアは実はアフリカと多くの共通点を持っているからです。

どちらの地域にも、多くの民族、文化、宗教、政治体制が混在し、西洋列強に植民地化され、独立後も長年、地域紛争や政情不安を経験した歴史を持っています。また、気候的にも熱帯から亜熱帯に属する国が多い、平均年齢が若い、といった点も共通しています。

この記事では、アフリカのEC市場の現状や特徴を、東南アジア諸国の最新のECの普及、キャッシュレス化の状況と比較しながら紹介します。東南アジアとの比較を通じて、アフリカ各国の経済や、アフリカビジネスの実情についてイメージを深めてもらえたら幸いです。

アフリカ/東南アジアのEC市場の現状


地域全体の市場規模と成長率


まず、東南アジアのEC市場の現状について見てみましょう。
米国Google、シンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングスなどがまとめた調査報告書「e-Conomy SEA 2024」によると、東南アジア6カ国(タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール)の電子商取引(EC)の流通取引総額(GMV)は2024年に1,590億ドルであり、前年比15%の増加と推計されています。この成長速度は世界最速レベルと言われています。

一方、アフリカのEC市場はどうなっているでしょうか。
2022年にJETROナイロビ事務所がまとめた調査報告では、アフリカ全体のEC市場規模は2020年に198億ドル、2020~2025年の間は、平均15.5%の成長が続き、2025年には407億ドルに達すると見込まれています。つまり、アフリカのEC市場も、東南アジアと同様、世界最速のスピードで拡大しているのです。

アフリカ各国のEC市場の規模や成長率については、こちらの記事でも解説していますので、ご興味があればご覧ください。
『円安の今こそチャンス到来!?アフリカでの越境ECの魅力について解説』


急速な成長の理由


このように東南アジアのEC市場がこれほど急速に成長している理由とはいったい何なのでしょうか?
アジア開発銀行の調査報告によると、東南アジア経済は、全体として2024年に4.6%、2025年に4.7%の成長が見込まれ、各国では中間所得層が拡大しています。また、日本や欧米に比べて若い人口が多く(ASEAN加盟国の平均年齢は中央値で29.1歳)、急速な都市化インフラ整備が進んでいることもEC市場の成長を支えていると言えるでしょう。

このような人口増、平均年齢の若さ、経済成長、都市化といった状況は、アフリカも共通しています。国連が2024年7月に発表した人口推計によると、アフリカの人口は2024年の統計では15億1,514万人ですが、2050年には24億6,665万人、2100年には38億1,388万人と今後長期にわたり増加すると予想されています。

また、アフリカ全体での平均年齢は19歳と、全世界で最も若いです。これは、現在の人口大国であるインド(28歳)、中国(38歳)と比べても圧倒的であり、上述の人口増のスピードを踏まえると、近い将来アフリカの労働者の数は、インドや中国を超えて世界最大になると見込まれています。

また、アフリカで進む急速な都市化については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
【2025年最新】アフリカで都市化が進む国をランキングで紹介!都市化が進むビジネス注目国6選

アフリカ/東南アジアのEC市場の特徴


次に、東南アジアのEC市場の特徴や最新トレンドについて紹介していきましょう。


SNSマーケティング・ライブコマース


一つ目の特徴は、SNSを活用し、リアルタイムの動画上で商品やサービスを販売する「ライブコマース」がEC市場全体の成長を牽引している、という点です。
東南アジア6カ国(タイ・ベトナム・フィリピン・マレーシア・シンガポール・インドネシア)のECの流通取引総額(GMV)に占めるライブコマースの割合は2022年の5%以下から、2024年に20%へ急増しています。

●関連記事:アフリカのインターネット利用率についてはこちら
【2025年最新】アフリカのIT先進国ランキングを紹介!ITビジネスや越境ECにおすすめの国6選


デジタル決済


日本や欧米などの先進国においては、ECの決済手段は銀行口座に紐付けられたクレジットカード・デビットカードが主流ですが、東南アジアではやや状況が異なります。

例えばラオスにおいては、ECが導入された初期は銀行口座を持つ人が少なかったため、売り手と買い手が直接会って現金決済するケースも多かったといいます。なお、最近では銀行口座と紐付けられたQRコードによる決済も増えてきましたが、それでも2022年のラオスの銀行口座の普及率は37%にすぎません。同様に、ベトナム(31%)、インドネシア(52%)、フィリピン(51%)など、銀行口座の普及率が低い国もまだまだ多いです。

そのため、タイのTrueMoneyベトナムのMoMoインドネシアのGo Payなど、銀行口座を持たない人々でも利用できるデジタル決済サービスが各国で人気となっています。

このように銀行口座の代替手段としてデジタル決済サービスが広く普及している状況は、アフリカとも共通しています。例えば、ケニアの最大手通信キャリアSafaricomが提供する「M-PESA」(携帯電話による送金サービス)や、アフリカのAMAZONと呼ばれる大手ECモール「Jumia」が提供するデジタル決済サービス「Jumia Pay」といった サービスが国境を跨いで広く普及し、銀行口座を持たない多くの人の生活にとって不可欠な存在となっています。

アフリカのデジタル決済サービスについては、以下の記事で詳しく解説されていますので、合わせてご覧ください。
『フィンテックが促進するアフリカの越境ECとスタートアップの発展』

滞在して感じた東南アジア各国の事情


筆者は2025年1月〜2月にベトナム、ラオス、タイに各々2週間ほど滞在していたので、その際に体験した現地の状況を簡単に紹介したいと思います。


お金事情


ベトナム・ラオスにおいては、決済手段は基本的に現金またはQRコード決済です。ホテルや交通機関のチケット窓口なども、現金決済のみというところが多く、クレジットカードはほぼ使えませんでした。(ただしAGODA等の予約サイト経由ならば、ホテル、エアチケット、長距離バスチケットなどのカード決済は可能です)

しかし、両国とも現金の額面のゼロの数が大きく、さらに各紙幣のデザインがよく似ており(例えばベトナムでは全ての紙幣にホー・チミン元主席の肖像)識別にかなり苦労しました。今後、旅行者でも手軽に利用できるデジタル決済サービスが登場し、現金決済による不便解消が進むのを期待したいところです。

一方、タイではホテル、コンビニ、交通機関などでクレジットカード利用可能な場所は増えてきたものの、使い勝手はあまり良くありません。(例えばセブンイレブンでカード決済可能なのは200バーツ以上購入時のみ)また、個人商店や食堂などは、ベトナム・ラオスとあまり変わらず現金またはデジタル決済のみのところが多いです。

アフリカの決済事情についてはこちら


配車アプリ


タイ・ベトナムでは「Grab」が普及しています。事前に料金を確認でき、言葉が通じなくてもアプリ上で行き先を指定し、移動中も常にGPSで位置を把握できるので、旅行者としても使いやすく安心感がありました。また、このGrabアプリには、Uberと同じようにフードデリバリーやモバイル決済のウォレット機能もあります。ちなみに、ラオスでも同様のローカル配車アプリがありましたが、首都ビエンチャン以外の街では使えませんでした。全国で利用できるようになるには、まだ時間がかかりそうです。

アフリカの配車サービスのビジネス事例
『ルワンダとドイツとの提携:Awesomity Lab社』


スマートフォン


今回滞在した3国では、若い世代ではほとんどすべての人がスマートフォンを持っているような印象でした。筆者も、ベトナムでは海外eSIMを利用し、ラオスとタイでは現地キャリアのプリペイドSIMカードを購入したのですが、現地キャリアのSIMカードの料金は海外eSIMやローミングよりも大幅に安く、そのためか現地の人も通信料などはあまり気にせず長時間の動画視聴などしているようです。SNSを利用したライブコマースが人気を集めていることも実感できました。

アフリカのスマートフォン、アプリの利用実態調査はこちら
『ケニア・タンザニアの834名にアンケート!スマートフォン、アプリの利用状況』


SNS


スマートフォンの普及に伴い、各種SNSも生活の一部となっています。特にFacebookは、ベトナム、ラオス、タイの3国全てにおいて利用者が多く、ビジネス用途でアカウントを持つ人も多いです。例として、今回ベトナムで利用した民宿では、宿のWebサイト代わりにFacebookのアカウントを持ち、Google Mapの位置情報も活用しながら、メッセンジャーアプリと翻訳機能を活用して予約の手配などのやりとりを行っていました。

アフリカのSNSの利用実態調査はこちら
『ケニア・タンザニアで人気のSNSとは?アフリカのソーシャルメディア利用実態調査』

株式会社ビィ・フォアードでは、ニーズに合わせてアフリカ現地調査を実施できるマーケットリサーチサービスを提供しています。

まとめ


今回の記事では、日本のとって身近な新興国である東南アジアにおけるECの発展状況やデジタル決済の普及など、最新のアフリカ各国との共通点を紹介してきました。

記事をお読みいただき、東南アジア、またはインド、アフリカといった新興国やそこでのビジネスへの興味や関心が高まったならば、ぜひ、さらに色々な情報を集めたり、さらに、直接現地に赴き、ご自身で実情を確認されてはいかがでしょうか。

弊社、株式会社ビィ・フォアードは、日本最大の越境EC事業者としてアフリカへ年間15万台以上の中古車販売を手がけ、アフリカ各国で月間6000万PVを超える越境ECサイトを運営しております。さらに、アフリカビジネスに役立つ情報や、現地の経済、社会に関する様々な情報をブログにて紹介しているので、興味があればぜひこちらもご覧いただければと思います。

また、株式会社ビィ・フォアードでは、アフリカ市場への進出を検討する日本企業やビジネスパーソンのニーズに合わせて、現地マーケットリサーチ、ウェブ広告、アフリカ各国へ最速・安全・安価で商品を輸送できる海外輸送サポート(ポチロジ)といった、幅広いサービスも展開中です。ご相談は随時、無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

アフリカビジネス事務局
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BE FORWARDは、中古自動車の輸出販売をメインに、アフリカに関するビジネスを幅広く展開しています。 月間販売台数15,000台、アフリカをはじめ世界207の国・地域で商取引を行うグローバルカンパニーです。 越境ECサイトとしては、月間6,000万PV、ネット通販売上高ランキング国内第1位(2023年)。 創業20年、つねに前へとアフリカでのビジネスを切り拓いてきました。その経験と実績をもとに、アフリカビジネス進出を検討する上で役に立つ、アフリカ現地の最新情報をお届けします。

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