経済成長や人口の増加など、これからのビジネスチャンスを秘めたアフリカ大陸。
今回は、GDPや人口、各地域と共同体、日本企業進出数、世界が後押しするアフリカの発展、デジタル化とスタートアップの興隆といったポイントから、アフリカビジネス進出を検討する上で参考となる、アフリカの基本情報をお伝えします。
成長を続けるアフリカ
2025年のアフリカの経済成長率予測 4.5%
国連の発表した報告書によると、アフリカの経済成長率(推定値)は、2023年に3.3%、2024年に3.5%、2025年には4.5%と予測されています。いずれも、世界全体の成長率を上回る見込みで推移しています。
アフリカの主要国(2022年のGDP規模順)の2023年の経済成長率の見通しは、次のとおりです。
エジプト:4.2%
ナイジェリア:3.0%
南アフリカ共和国:0.5%
アルジェリア:3.1%
モロッコ:2.6%
エチオピア:5.5%
ケニア:4.2%
アンゴラ:3.5%
タンザニア:5.0%
ガーナ:3.1%
コートジボワール:6.2%
コンゴ民主共和国:6.8%
【GDPについての詳しい記事はこちら】
「これでアフリカ各国の市場規模がわかる!アフリカ先進国ランキング」
「GDPに見る地域別の成長実績と今後の見通し」
「経済成長を後押しする民間需要はどこから?5つの地域の今とこれから」
2050年のアフリカ人口予測 24億人 (世界人口の4分の1)
アフリカの2021年の総人口は14億人弱で、世界人口の約18%を占めています。これが2050年には、アフリカの総人口は24億人超となり、世界人口の4分の1をアフリカが占めると予測されています。
【人口についての詳しい記事はこちら】
「2050年、世界人口の4分の1がアフリカに:現状〜2100年の人口予測国別ランキング」
地域と共同体
55の国と地域を有するアフリカ大陸は、東西南北及び中部の5つのエリアに区分されます。
面積は約3,000万km2、全世界の約23%を占める広大な土地を持っています。
その中にはアフリカ連合をはじめ、複数の経済共同体が存在します。
AU(African Union):アフリカ連合
アフリカ55の国と地域が加盟する地域共同体。アフリカ諸国の国際社会での地位向上、統一通貨「アフロ」の導入、紛争や独裁政治の根絶などを目標としています。本部はエチオピアのアディスアベバ。
参加国:アルジェリア、アンゴラ、ウガンダ、エジプト、エスワティニ、エチオピア、エリトリア、ガーナ、カーボヴェルデ、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、コートジボワール、コモロ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、サントメ・プリンシペ、ザンビア、シエラレオネ、ジブチ、ジンバブエ、スーダン、セーシェル、赤道ギニア、セネガル、ソマリア、タンザニア、チャド中央アフリカ、チュニジア、トーゴ、ナイジェリア、ナミビア、ニジェール、ブルキナファソ、ブルンジ、ベナン、ボツワナ、マダガスカル、マラウイ、マリ、南アフリカ、南スーダン、モザンビーク、モーリシャスモーリタニア、モロッコ、リビア、リベリア、ルワンダ、レソト、西サハラ(日本未承認の「サハラ・アラブ民主共和国」
AfCFTA(African Continental Free Trade Area: AfCFTA):アフリカ大陸自由貿易圏
アフリカの域内で関税を撤廃し、貿易ルールを共通化することで、アフリカの経済発展と世界における競争力強化につなげることを目指します。アフリカ連合(AU)が主導して取り組んでいます。
参加国:アフリカ連合(AU)加盟の55カ国・地域(うち54カ国・地域署名済み)
SADC (Southern African Development Community):南部アフリカ開発共同体
南部アフリカ域内の開発、平和・安全保障、経済成長の達成を目的。
参加国:タンザニア、ザンビア、ボツワナ、モザンビーク、アンゴラ、ジンバブエ、レソト、スワジランド、マラウイ、ナミビア、南アフリカ、モーリシャス、コンゴ民主共和国、マダガスカル、セーシェル、コモロ
ECOWAS(Economic Community of West African States):西アフリカ諸国経済共同体
西アフリカの域内経済統合を推進する準地域機関として設立。
参加国:ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ
ECCAS(Economic Community of Central African States):中部アフリカ諸国経済共同体
1983年に発足した、域内の紛争の予防・解決を目的とした経済共同体。
参加国:アンゴラ、ガボン、カメルーン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、サントメ・プリンシペ、赤道ギニア、チャド、中央アフリカ、ブルンジ
AMU(Arab Maghreb Union):アラブ・マグレブ連合
アフリカの、マグレブと呼ばれる5か国による経済協力機構。
参加国:モロッコ、アルジェリア、チュニジア、モーリタニア、リビア
世界が後押しするアフリカの発展
日本や世界からも、アフリカのビジネスを後押しする取り組みが行われています。
日本政府が主導するアフリカ開発会議(TICAD)
TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略であり、アフリカの開発をテーマとする国際会議です。1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催しています。2022年8月27~28日には、チュニジアのチュニスで第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)が開催されました。同会議には、20名の首脳級を含むアフリカ48か国が参加しました。次回のTICAD 9は、2025年に日本で開催予定です。
持続可能な開発目標(SDGs)
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
昨今、日本でも様々な企業や団体が取り組むSDGs。貧困や教育、衛生やインフラといった人々の基本的な生活に課題のあるアフリカ地域の社会問題の解決という点で、相性が良く、現地企業との協業も盛んにおこなわれています。
【SDGsに関するビジネス事例はこちら】
「ファッション×SDGs アフリカに貢献する日本発アパレルブランドのビジネス事例」
デジタル化とスタートアップの興隆
アフリカでは、水道や道路といったインフラの整っていない地域もある一方、携帯電話の普及は進んでいます。特に、ナイジェリア、南アフリカ、ケニアといった国々では携帯電話・スマホ普及率が非常に高くなっています。
それに伴い、M–PESAのようなモバイルマネーの普及も進み、それらを活用した新たなビジネスを興す動きが盛んです。デジタル化の急速な発展に伴い、一足飛びに最先端の技術を活用するリープフロッグ現象も起きています。
その主役は現地のスタートアップで、農業、物流など様々な分野で、現地の課題をデジタル技術で克服し、小規模事業者等を取り込むビジネスを生み出しています。
【携帯電話についての詳しい記事はこちら】
「サハラ以南アフリカの携帯電話ユーザー数とスマホ普及率:アフリカで進むデジタル化の今」
【リープフロッグ現象についての詳しい記事はこちら】
「リープフロッグ現象がもたらすアフリカの革新」
【アフリカ現地スタートアップ企業の事例はこちら】
「日本が支援する、アフリカ現地スタートアップのビジネス事例」
「女性起業家のビジネス事例(前編:アフリカ人起業家編)」
日本企業の進出
アフリカには、日本から多種多様な企業が進出しており、その数は増加傾向にあります。
国別では、下記の国の拠点数が多くなっています。
1. | 南アフリカ | 266 |
2. | ケニア | 114 |
3. | モロッコ | 70 |
4. | ガーナ | 57 |
5. | エジプト | 52 |
6. | ナイジェリア | 51 |
7. | タンザニア | 48 |
8. | セネガル | 26 |
9. | チュニジア | 26 |
10. | アルジェリア | 23 |
11. | ウガンダ | 23 |
12. | モザンビーク | 23 |
13. | ルワンダ | 23 |
14. | コートジボワール | 17 |
15. | ザンビア | 14 |
前述のSDGsの観点からアフリカの課題解決に貢献している日本企業や、アフリカ現地スタートアップとのパートナーシップを結ぶ企業など、多くの日本企業がアフリカで活動しています。
【アフリカに進出する日本企業の事例はこちら】
「アフリカに進出する女性起業家のビジネス事例(後編:日本人編)」
「日本企業の進出に見る「最後のフロンティア」アフリカの現在」
アフリカへビジネス進出するためには?
今回は、アフリカビジネス進出を検討する際に参考になる基本情報をお伝えしました。
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参照元:
JETRO
国連世界人口予測2022
外務省 アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)
外務省 TICAD
外務省 SDGs
外務省 海外進出日系企業拠点数調査