アフリカに関わったことがない人であればアフリカのイメージは、ジャングル、砂漠や自然のイメージが先行してしまいがちです。しかし、実際にはアフリカの人口は2050年には地球の4分の1を占める人数まで増加し、平均実質GDP成長率ではアフリカの国がトップになると予測されており、ビジネスの可能性を秘めた巨大経済圏としていわれています。
何だか夢が広がる「最後のフロンティア」という言葉に開拓したいと思う反面、未開拓の地での起業や展開では「本当にビジネスチャンス?」と不安を感じる方も少なくないと思います。実際に最後のフロンティアと言われつつも、多くの企業が進出できていないのが現状です。
新しくアフリカビジネスを起業したい方や、既に日本で中古車企業をお持ちの方や中古車以外でもECサイトをお持ちの方で、日本からアフリカや世界へ新たに販売チャネルを増やしたい!という方に起業や開拓の手がかりを紹介したいと思います。
今回は、アフリカビジネスのなかでも中古車輸出にフォーカスし、現状やなぜアフリカなのか?をご紹介します。
中古車輸出の推移と現状

全世界への中古車輸出台数の推移は、2009 年のリーマンショック以降は右肩上がりで上昇していましたが、直近5年の中古車輸出台数の推移を見てみると、2016年はチャイナショックの影響で円高と資源国の景気低迷によって前年比約5 %減少、昨年の2019年は過去最高を期待されていましたが消費税前駆け込み需要が予想より少なく、また自然災害も影響し129万台と前年割れしています。
一方、アフリカへの輸出台数は、対照的な動きを見せています。2017年こそ前年の世界の景気の影響があったのでしょうが、その後は毎年3割以上のペースで増加しています。もしこれがアフリカ経済の変化を表しているとすれば大変な数字です。
なお、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により誰にも予測できない状況が続いていましたが、7月以降からは徐々に回復の兆しを見せています。
なぜアフリカに中古車が売れるのか 中古車がニューカー?

先ほどのグラフで示されたように、アフリカへの輸出台数は2016年チャイナショック以降、順調に増加しています。では、なぜ日本の中古車がアフリカに売れるのか?
まず一つ目に、日本の中古車は質が高いということ。
日本人が車を買い替える周期は平均7年と短く、走行距離が短い、
車両も綺麗な状態を保っています。年式10年落ち、走行距離10万㎞の中古車でも、綺麗な日本車はアフリカ人にとって「ニューカー!」となるのです。また劣悪の道路が多いアフリカでは丈夫で、修理ができる日本車はとても重宝されています。
実際にアフリカを走る車のほとんどが日本車で、トヨタはとても有名です。ペイントで日本語が書かれている車も日本車の証!そのまま乗りこなしています。
なぜアフリカに中古車が売れるのか 日本の端から端までを車で移動?

次に、アフリカには公共交通機関のインフラが十分に整っていないことです。
面積でいうと日本の80倍の大きさになるアフリカ大陸ですが、鉄道や新幹線などはほとんど走っていません。どこへ行くにも、車で出かける必要があります。また、内陸国は物資調達を沿岸国からの輸入に頼らざるを得ないため、近くの港(近くと言っても2,000kmもあります。これは札幌から福岡までの距離)から車で輸送する必要があります。
ちなみに、日本の中古車は東アフリカへ売れていきます。それは、東アフリカは旧イギリス領が多いため右ハンドル、西アフリカ諸国は旧フランス領が多いため左ハンドルの車が売れます。国によっては、右ハンドルの輸入禁止規制がありますので注意が必要です。
なぜアフリカに中古車が売れるのか 将来4人に1人はアフリカ人?
次に、冒頭でもお伝えしたようにアフリカ大陸の人口は増え続けています。現在は約10億人ですが、2050年には倍増し20億人に達すると予測されています。(※1)。また、年齢層別に見てみると、購買力のある中間層が2050年には15億人に増加すると予測されています。(※2)
中間層の拡大によりアフリカの消費は底上げされると言えるでしょう。人口の増加と消費の底上げにより、中古車の購入も増加傾向を辿ると見てとれます。
なぜアフリカに中古車が売れるのか 電気がなくてもインターネット?
次に、携帯電話の普及が理由にあります。アフリカの低所得国でも、ネット普及率は高くないのに対し、携帯電話保有率は2003年には5%程度だったのが2014年には85%まで増加しています。(※3)現在ケニアでは、SIMカード購入数で換算すると人口の100%を超えているそうです。
テレビがない、電気がないところでも携帯でインターネットを使うというのは日本では少し違和感がありますが、それほどアフリカでは携帯電話が普及しており、昨今では携帯電話で車を購入する時代になっています。そのため、アフリカビジネスには現地に店舗がなくても、ECサイトに日本の中古車や商品を掲載することで、遠く離れたアフリカへ日本の商品を販売することが可能ということです。
また、アフリカでは電子決済が進んでいます。現在ではスマートフォンの普及率も上がっていますが、フューチャーフォンでもショートメッセージでの決済・送金ができたり、日本でいうコンビニのようなお店キオスクで簡単にお金の受け渡しができたりするのです。
アフリカビジネスを起業するためには
少しアフリカビジネス、中古車輸出について知っていただき、身近に感じていただけましたでしょうか。これらの理由によって、日本の中古車輸出は順調に推移してきました。
しかし、アフリカビジネス起業や新たにアフリカへの販売チャネルの開拓にはまだまだ知らないと失敗する?壁もあるのです。是非「中古車輸出でアフリカビジネスを起業(2) アフリカ進出の大きな壁」をご覧ください。
出典
※1 世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(日本語訳)|国際連合広報センター
※2 表2-11 世界の主要地域,年齢(3区分)別人口:1950,2020,2050,2100|年国立社会保障・人口問題研究所ホームページ
著者 :大島 亜也奈 エステティシャン、化粧品メーカーなどの美容関連企業を10年経験した後、中古車輸出企業の広報へ転身。役職がら世界を相手にする経営の最前線を目の当たりにする機会が多い。アフリカ マラウイにて活動しているサッカーチームのマネジメントも兼務し、アフリカに深く携わっている。