アフリカでは、総人口の半数以上が農業関連産業(アグリビジネス)に従事していると言われており、アフリカ経済を担う重要な産業の一つです。未だに多くの非耕作地が存在し、その規模は将来的なアフリカ人口増加でさえも担うことができる程です。一方で、アフリカでのアグリビジネスにはまだまだ多くの課題が残されており、「アグリテックによる農業ブーム(革命)が起こる」と予想されています。
アフリカが抱えるアグリビジネスの課題

例えば、アフリカでのアグリビジネスには以下のような課題があります。
・効率的な生産ができない(ノウハウ不足、または共有不足)
・効率的な生産を行うための設備投資や信金調達ができない
・価格交渉力のある作物が生産できない (近隣国からの輸入作物に比べ、国内作物の品質・価格面の優位性が低く、付加価値をつけることができていない)
・良い環境や設備での作物貯蔵ができない
・輸送、販売手段の欠如
・ファイナンスに関する知識や能力不足 など
このように、アフリカでのアグリビジネスには多くの課題があり、収穫できたものの様々な理由で販売することができず腐ってしまう作物の量は4,800万人の1年間の食糧に値します。では、具体的にアグリテックにより、どのように課題が解決されるのでしょうか?
情報参照元:アイ・シー・ネット株式会社「令和元年度アフリカ 地域におけるアグリビジネス展開可能 性調査委託事業」
アグリテックとは?アグリテックのメリット
AgriTechはAgriculture(農業)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で日本国内では「スマート農業」という言葉が使われることもあります。その名の通り、IoTやビッグデータ、ドローンなどを駆使した様々な製品やサービスを用いてアグリビジネスの課題を解決します。日本でも人手不足の農家がドローンやビッグデータを用いて広大な敷地の農作業の管理や収穫時期の確認などを行う事例が増えており、その技術はアフリカのみならず、世界的に重要な役割を果たしています。
特にアフリカのように、広大な敷地でかつ人との繋がりでビジネスが左右される文化のある地域では、アグリテックの導入により今まで繋がることができなかった金融サービスやサプライチェーンの再編成などを仲介者なしに農家が自ら交渉とやりとりができるようになるため、仲介費用や工数の削減にもつながります。
アグリテックによるメリット例:
1. 仲介なしに必要なサービスやセクターと繋がることができるため、費用(人件費や交通費など)や工数の削減につながり、その分保健サービスの加入などを利用することができるようになる。
2. より多くのアグリビジネス従事者がアグリテックを利用することで、動向や傾向を明確にすることができ、課題に取り組みやすくなる。
3. システムやプラットフォーム上で取引を行うため、取引の際に、農家と買取り側の間で発生していた不正行為(農家からの不正搾取など)を軽減することができる。
4. アプリやサイトを使用するアグリテックの場合は、アグリビジネスに関連するサービスやビジネス(保健会社や金融機関など)との連携もできるものがあり、様々な分野での改善も期待できる。 など
なぜ今、アグリテックがアフリカで加速しているのか?
以前はアフリカに残る資源を求め、世界中の国がアフリカの資源を輸出する傾向がありました。しかし、資源ブーム収束を迎える2010年以降から徐々にアフリカ人口増加を見込んだ「民間消費・投資」が注目されるようになりました。
- アフリカの民間消費・投資経済
アフリカの人口増加は国内の消費市場を拡大することに大きくつながります。そしてその需要を支えるアフリカ経済の主な産業は農業です。つまりアフリカ国内で生産し消費できる農業は特にアフリカの一部の貧困層〜中間層の経済を回し、改善させる効果があると期待されています。しかし、農作物は多くの国で生産できるものであるため、競争が激しく、より付加価値のあるものや効率的な販売手段を確立することが重要です。そのため、特にアフリカの多くの国や地域の技術力では補うことができない部分を先進国が「アグリテック」という形で技術投資・市場参入するようになりました。
- 携帯電話の普及率
アフリカ地域での農業には様々な課題がありますが、天候や気候による課題とは別に特に「産地形成や必要な機材の供給が不十分であること」がよく見られます。例えば農業協同組合がうまく機能しておらず、時には不当な搾取が発生することもあり、農家が販売に至るまでの課題が多いという現状です。しかし携帯電話の普及率が増加するにつれ、メッセージ機能や農業関連産業用に開発された管理システムを伴うアプリを使用することでスムーズに、かつ低コストで販売までの過程を改善することができます。また、アプリを導入する企業側としてもユーザーの声を集め、改善策となる新たなビジネスにも取り組むことができるようになります。
アグリテック事業例:
Wefarm: 独立農家がWefarmを通して他者とコミュニケーション、取引などをしネットワークを作るツール。Covid-19前から使用されるようになり、実際に農家の関心や悩みについての現地の生の声を収集することに成功。例えば、多くの国の農家がCovid-19やその影響について悩んでいるとき、アフリカの多くのユーザーは「天候やイナゴの大量発生」について悩んでいたことなど現地のニーズを明確にすることが可能に。
M-Farm: 農家に商品の国内価格情報を共有するアプリで、7,000人以上もの農家が登録しています。このアプリを通して、農家は他の農家や小売店などと直接繋がることができるため、今まで困難であった大量販売や、仲介者なしでの販路確保ができるようになりました。
まとめ
このようにアフリカの農業関連産業はポテンシャルがありますが課題も多く、特に様々なセクターでの課題と合わせて解決に取り組む必要があります。
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